虐めをする奴は大概めんどくさい
シリアス成分多め。
相談があるという夏蓮に俺は意外そうな表情をした。夏蓮が相談しに来るなんて珍しいな。夏蓮は基本顔は無表情で感情をあまり表に出さない性格だ。だから悩みがあっても当然相談なんてする筈がない。ましてやその相手が俺ときた。これは並大抵の悩みじゃないな。
「珍しいな。お前が相談なんて」
「..........」
「?どうかしたか?」
「ごめん、やっぱ忘れて」
急に黙り込んだと思ったら夏蓮はそう言って部屋を出ていった。
「え?あ、お、おい」
突然の事に俺は驚き夏蓮を呼び止めようとしたが既に夏蓮は部屋を出た後だった。
何だったんだ?結局。
俺は訳が分からないまま一人ベッドの上で首を傾げた。
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夜兎の部屋から出ていった夏蓮は自室に戻ると先程までの自分の行動に恥じていた。
(何で私あんなことしちゃったんだろう.......)
本当は相談なんてするつもりはなかった。
でも何故かお兄ちゃんの部屋の前を通った時体が勝手に動いてあんなことを言ってしまった。
(追い詰められてるのかな、私)
そう思いながら私は今日の出来事を思い返した。
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今日もまた告白をされた。
相手は同学年の割りと人気のある男子だったけど、お決まりの決まり文句を言って断った。
決まり文句を言った瞬間その男子は「僕の事じゃなかったの!?」と言っていたが、喋ったこともないのにそんなわけあるわけがない。自意識過剰すぎる。
告白もきっちり断り教室に帰ろうとすると、また例によってあの三人組が待ち構えていた。
毎度毎度待ち構えて暇なのか?と言いたくなったがこんなのと会話をするのも嫌なので適当に流してその場を去った。
ここまでなら何時も通りの日常だった。
いや、これを何時も通りというのもあれだけど。教室に帰り次の授業の支度をしようとしたらノートがなくなっていた。
不審に思ったが、私は家に忘れてきたのかと思い特に気にすることなく別のノートを使った。今日は宿題があったがあの程度なら授業中でも出来る。だから特に気にすることなかった。
だがなくなったのはノートだけではない。シャーペンを取り出そうと筆箱の中を開けると、消しゴムがなくなっていた。何処かに落としたかと思ったがそんな記憶何処にもない。
ここで私はようやく悟った。これは盗られたのだと。
犯人は言うまでもなくあいつらだろう。
私はチラッと三人の方を見たら三人はクスクスと笑いながらこちらを見ていた。
やっぱり。本当に面倒な連中。
私は子供染みた連中のやり方に溜め息をついた。
授業が終わった休み時間、私は三人組に一言いうため声をかけた。
「ねぇ、私から盗ったノートと消しゴムを返して」
「えぇ?何の事~?」
「そんなの知らないんですけど~?」
「変な言い掛かりは止めてよね~?」
私の言葉に三人はあからさまな態度を取りながらとぼけた。
まあ、この三人ならそう言うと思った。
私は予想通りの反応に冷静にしていると、三人組の一人の筆箱の中に手を入れた。
「ちょ!ちょっと何すんのよ!」
「これ何?」
私は止めようとする言葉を無視し一つの消しゴムを掴んで三人組に突きだした。その消しゴムは使い古されていて手にしっかり馴染む感覚がする。そう、私の消しゴムだ。
「それがなに?それは私の消しゴムよ」
「違う、これは私の」
そう言って私は消しゴムのカバーを外した。
カバーを外すとそこには『夏蓮』という文字が書いてある。
昔からモテていたせいで盗難はよくあった。だから物には何時も名前を書くようにしてある。
それを見た三人組の一人は悪びれる所か開き直ったような態度を取った。
「そうよ。貴女のよ。で?あったから何?」
「別にそこはどうでもいい。慣れてるから。でもいちいちそういうのされるのは面倒。だからそんな子供染みた事は止めて。見てて哀れ」
私はそれだけ言うと自分の席に戻った。
消しゴムは取り返したがノートに関しては多分何処かに捨てられてるだろう。また新しいのを買わなくちゃ。
三人組は教室の中だからか特に騒ぐことはしなかったが、明らか憎しみの眼差しを送ってきている。言いたいことは言ったがこれじゃあ悪化するだけだろうな。
次の休み時間私はトイレから戻ると私の勘は案の定当たった。
席に着き筆箱を開けると筆箱の裏に落書きがされてあった。
「粋がんな!!」「モテるからって調子乗んな!!」「いい迷惑なんだよ!!」と色々あるが流石にこれは私でも心に来るものがある。
そしてこの言葉に私は少し思い出した事がある。小学生の時クラスの女子に虐められた時のことだ。
あの頃はまだ虐めの対処法も知らず毎日嫌な生活を送っていた。嫌な思い出だ。
放課後になり私は帰ろうとしたが、教室を出ようとした瞬間また三人組がちょっかいをかけてきた。
「やっぱあいつムカつくよね~」
「そうそう、モテるからって調子に乗りすぎ~」
「自分だけ特別とか思ってるでしょ絶対」
名前は言ってないが明らか私に向けて放っている。その言葉に私は耳に貸すまいと逃げるようにして教室を出た。
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ここまで思い返していると、私は何故お兄ちゃんに相談しようとしたのか分かった気がする。
小学生の時、虐められていた私を助けてくれたのは他ならぬお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんは虐められている私を見て有無を言わさずして助けてくれた。
その時のお兄ちゃんは自分が勝手にやったことだと言っていたが、私にはその時のお兄ちゃんが白馬の王子様に見えた。
だからきっと、今回も助けて貰いたかったんだろう。
でもそれでは駄目。今度は自分の力で何とかする。昔にそう決めたんだから。
私は揺らぎようとしていた心を持ち直させると一人強い決心を固めた。
シリアスを書きすぎて......蕁麻疹が.......。
おまけ
【忍術?】
“見てみてー、主ー、忍法影分身”
「おー、【使役魔法】の異空間転移を連続で使ってロウガが二匹に見える」
“まだまだー”
「おー、今度は三匹」
“おりゃー”
「今度は四匹」
“うおー”
「今度は五匹」
“でりゃあー”
「.......百匹目」
次の日、俺の部屋で犬の幽霊が現れたと近所で噂になった。
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【告白】
「神谷さん!付き合って下さい!!」
「ごめん、無理」
「何でですか!?」
「好きな人がいるから」
「それって僕の事ですよね!?」
「いや、違うから」
「とかいってほんとは~?」
「違うつってんだろ。自惚れんな」
「すいませんでした」
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