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それ何処情報?

 満足するまでロウガの毛並みを堪能すると、俺はロウガの頭から手を離し本題に入った。

 俺が手を離すとロウガは若干残念そうに「くぅ~ん」とうねっていたがこのままでは永遠に撫でる事になる。許せロウガ。



「なあロウガ、聞きたいことがあるんだが」

“なーにー?ご主人様ー?”

「お前自分がどうやってここに来たか覚えてるか?」 

“知らなーい”



 知らないかぁ.......それじゃあしょうがないかぁ.........。あれ?ちょっと待て、これ早くも詰んだか?

 


「本当に何も覚えていないのか?どんな小さな事でもいいんだが」

“うんとね~、気づいたらここにいたの”

「その前の記憶はないのか?」

“分かんな~い”



 あ、これ詰んだな。

 出現する前の記憶が分からないと言うロウガに俺は頭を悩ませる。

 参ったな。手掛かりになりそうなモンスターに聞いても分からないのか。これじゃあどうしようもないな。



 俺はどうしたものかと考えていると、ふとロウガを見た。こちらの視線に気づいたロウガはどうかしたのかと首を傾げている。

 モンスターなら分かると思ったんだがなぁ。

 モンスターならなぁ.........ん?待てよ。



「ロウガ、他のモンスターの言葉は分かるか?」

“多分分かるよー”

「そうか、ならまだやれることはあるな」



 そう言って俺は立ち上がった。

 俺のやれること、即ちそれはモンスターの聞き込み調査だ。

 ロウガ同様分からないかもしれないがやってみるしかない。



「行くぞ、ロウガ」

「わん!(はい、ご主人様!)」



 俺は歩き出そうとしたが、ロウガの俺の呼び方に違和感を感じ歩き出そうとしていた足が止まった。



「..........なぁ、ロウガ」

“何ー、ご主人様ー?”

「そのご主人様っていうの止めないか?何かむず痒い」

“じゃあ何て呼べばいいの?”

「普通に夜兎とかでいいぞ」

“やだ”  

 


 いや何故。

 俺の提案に即反対するロウガに俺はその訳を聞いた。



「何で駄目なんだ?」

“ご主人様はご主人様なのー”



 何その屁理屈理論。

 ロウガの謎なまでに頑なに俺の名前を呼ぼうとしない意志に俺は仕方ないと思いせめて呼び方を変える様に言った。



「じゃあせめて呼び方を変えてくれ」

“それじゃあ、当主様ー”



 何故に当主様?別に俺は一国一城の主でも家庭の大黒柱でもないぞ。



「他の呼び方はないのか」

“じゃあご主人ー”



 近所のおばさんかよ。  

 


「他は?」

“殿下”



 俺は王族か何かか。



「他に」

“殿様ー”

「ちょっと待て」



 記憶もないのに何処でそんな言葉知ったんだよ。実は何か覚えてるんじゃないか?    



「他には?」 

“姫様ー”

 


 等々性別が変わったな。もう突っ込む気にもなれないな。



「次」 

“主ー”



 やっとまともなのが来たな。

 まあ、殿様や殿下よりはましだな。

 


「それじゃあこれからはそう呼んでくれ」

“分かった、主ー”



 呼び方も決まり俺とロウガは改めて歩き出した。






ーーーーーーーーーーーーーー






 まだモンスターも出現していないので俺はロウガに街を見せるがてら家まで歩いていた。



“わー!主ーあれ何ー?”

「あれは自転車といって人が乗る乗り物だ」

“鉄の馬車があるー!!”

「あれは馬車じゃなくて車だな」



 初めて見るものにロウガは驚きと興奮を隠せずにいた。てか馬車は知ってるんだな。お前のその知識はどっから来てるんだ?

 俺はロウガの何処か片寄っている知識に疑問に思っていると、



「見てあの人、犬に話しかけてるわよ」

「やだー、怖いわぁ」



 近くにいたおばさん達の会話が聞こえてきた。

 そういえばロウガの声は俺にしか聞こえないんだった。これじゃあ周りから見たら俺は犬に話しかけるただの変質者だな。

 


“?どうしたのー?主ー”

“いや、何でもない”



 人がいるときはなるべく声に出さないようにしよう。俺は一人そう思っていると、急にロウガは立ち止まりあるところをじっと見つめていた。

 俺はロウガの視線の先を見ると焼き鳥屋があった。



“あれが食べたいのか?”

“何か物凄くいい匂いがするー”

“食べてみるか?”

“いいのー?”

“あぁ、ちょっと待ってろ” 



 俺はロウガにそう言うと焼き鳥屋の方に向かった。



「モモ肉タレで二本くれ」

「はい、毎度あり」



 俺は店主に代金を払うと焼き鳥を受けとりロウガの所に戻った。

 俺が戻るとロウガはまだかまだかと言わんばかりにお座りしたまま口を開きながら尻尾を振っている。可愛い奴だな。


  

“ほれ、食ってみろ”



 そう言って俺はロウガの前に焼き鳥を差し出すとロウガは差し出した瞬間に焼き鳥にかぶりついた。

 


“おいしー!!”

“そりゃあよかった”



 焼き鳥を美味しそうに食べるロウガに俺は頬を緩ませながらもう一本の焼き鳥を食べていると、突如魔力の反応がし焼き鳥を食べる手が止まった。

 モンスターが出てきたのか。



“行くぞ、ロウガ”

“分かった!主ー!”



 魔力の反応をロウガも感じ取っていたのかロウガも直ぐに反応し、俺達はモンスターのいる場所へと移動した。

おまけ



「なあロウガ、他にどんな呼び方があったんだ?」


“うんとねー、大将、皇子、旦那、親分、頭、兄貴、先輩、隊長、総帥、団長、提督、閣下、大統領ーーーーーーー”


「是非これからも主と呼んでくれ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ロウガはモンスターだけじゃなくて他の動物の言葉も分かるのか?」 


“分かるよー”


「じゃああの店の前で女子高生達に囲まれている見た目可愛い犬は何て言ってるんだ」


“うんとねー、「おほぉ!!姉ちゃんえらいべっぴんさんやなぁ。もっとそこ撫でてぇなぁ。ほんでもってーーーーー」”


「悪い、さっきの話は忘れてくれ」



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