狼の毛並みって何かいいよな
モンスター出現から数日が経ち、今日は土曜日で学校が休みだ。
普段なら家でぐーたら過ごすのが俺の日課だったが今日は違う。
今日はモンスター出現の原因を探ろうと考えている。最初は収まるまでほっとくつもりだったが、最近モンスター出現のせいで寝不足気味になってきている。そのせいで歩くときは若干ふらつくし、飯を食べる時も頭が上下に揺れる。
何時も寝ている俺からしたらこれは生死に関わる事だ。だから少しでも早く解決させたい。
だがどうやって調べるかだが、今現在分かっている事とすれば、モンスターの出現の判別とその位置くらいだ。正直これだけじゃどうあっても原因を探せそうにない。
じゃあどうするかだが、そこはちゃんと考えてある。その考えとはーーーモンスターに直接聞くことだ。
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「ブォォォブォォォ!!」
今俺の目の前では豚の形をしたモンスターが二足歩行で荒々しく雄叫びをあげている。これ完全にオークだな。
モンスターに直接聞くとはどういう事かというと、ここに来る前に創っといた【使役魔法】を使う。【使役魔法】はその名の通りモンスターを使役する魔法だ。
これがあれば使役したモンスターと会話することが出来る。
今回はそれを使おうと思ったんだが、寝不足のせいか俺は目の前で叫び続けているオークに段々イラついてきた。
「ブォォ「煩い」ォォォ........」
あまりの煩さに俺はオークの顔面を蹴り飛ばした。オークは後ろに吹っ飛んでいき光の粒子となって消滅していった。
あ、煩いからつい蹴り飛ばしてしまった。
まあいいか、俺オークあんまし好きじゃないし。
使役するならもっといい感じのがいいよな。
それにまだモンスターの反応はある。
そう思い俺は気を取り直して他のモンスターの所に行った。
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「グギャァァ!!」
「顔がキモいから却下」
ドガッ!!
「グガァ」
ーーーーーーーーーーー
「ピィィィィ!!」
「見た目はいいが何か弱そう」
バキッ!!
「ピィィ.......」
ーーーーーーーーーーーー
「カサカサカサ」
「生理的に無理」
ボンッ!!
「.........」
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何体ものモンスターを見てきたがどれもいまいちで、残す所最後となった。
熊とか蛇もいたがどれもしっくり来る感じがしなかったんだよな。
途中でかいゴキブリみたいなモンスターもいたがそいつは即【火魔法】で焼却した。
それにしても次で最後か。どうかいいのであってくれ。俺はそんな願いを思いつつ、最後のモンスターがいるであろう場所に転移した。
転移した先は何処かの空き地のようで当然の如く周りに人はいない。
俺は早速モンスターはどこにいるのかと辺りを見回していると、一匹の狼が目の前で吠えていた。
「わん!わんわん!!」
犬みたいに吠えるその狼は灰色の毛に中型犬位の大きさのモンスターだった。
見た目は合格だがあんまり強そうには見えないけど、まあこれでもいいか。
最後だけあって俺はこの狼で妥協し、取り敢えずステータスを見てみることにした。
シルバーウルフ 狼族 Lv5
体力 400/400
魔力 350/350
スキル
噛みつき 突進
中々高いな。
俺はこの狼のステータスの高さに驚いた。
まさかあんな見た目からこんな強さを持っているとは、モンスターは見た目だけじゃないな。
これなら使役してもよさそうだな。
俺は早速使役するために準備を始めた。
先ずモンスターを使役するには相手を屈服させることが必要だ。
だから俺は魔力を放出させシルバーウルフを威圧する。シルバーウルフは俺の威圧に怯え、ふせの状態になった。これぐらいでいいか。
そして俺は【使役魔法】を発動させシルバーウルフを使役するようにイメージした。
“シルバーウルフの使役が完了しました。シルバーウルフに名前を付けください”
すると突然俺の頭の中でアナウンスが鳴り響いた。名前か、そうだなぁ......。
俺はシルバーウルフの名前を考えていると、ふとある名前が頭の中で閃いた。
「それじゃあ今日からお前はロウガだ」
「わん!!」
“シルバーウルフの名前が【ロウガ】に変更されました”
これで使役は完了か。
これでロウガと会話が出来る筈なんだが、少し試してみるか。俺はロウガに念を送るように話しかけた。
“ロウガ聞こえるか”
“聞こえるよ。ご主人様”
“そうか、ならよかった。俺は神谷夜兎だ。これからよろしくなロウガ”
“よろしくねー、ご主人様”
どうやら会話は出来るみたいだ。
ロウガは俺と会話が出来るのが嬉しいのか尻尾をふりふりさせながら俺にじゃれついてきた。
可愛いなこいつ。
俺は膝を折りじゃれついてくるロウガの頭を撫でながら暫くロウガの毛並みを堪能した。
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