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プロローグ 知らない天井だ

 急に意識が途切れ目が覚めたらそこには白い天井があった。



「確かこういう時は、知らない天井だ。だっけ」



 取り敢えずお約束を果たし、体を起こすと白いベッドの上にいた。完全に病院だなここ。

 周りを見渡すと点滴やテレビで見たことあるピコンピコン動くあれに他の人が眠っている。

 やっぱり異世界じゃないよな。   



 俺は一人そう思っていると、不意にドアが開かれた。見るとそこには俺の母さんと父さんが驚いた様子でこちらを見ている。すると段々心配そうな顔をしながら慌ててこちらに駆け寄ってきた。



「夜兎!体は大丈夫なの!何処も痛くない!?」



 母さんは俺を見るなり心配そうに言った。



「あぁ、大丈夫だよ。母さん」



 俺は母さんはそう言うと、母さんは良かったと言いながらホッとしていた。

 母さんは今年40代を迎えるというのに見た目20代だろと言わんばかりに若々しく美人である。    



「本当に大丈夫か?気分はどうだ?」


    

 今度は父さんが母さんの後ろで言ってきた。

 


「いや、特に悪くないよ。父さん」

「そうか、ならいいんだ」



 父さんも父さんで母さんと同じく既に40代であるのにも関わらず見た目20代の渋いイケメンといった感じである。

 この二人を見てるとやっぱり付き合いたてのカップルに見えてしょうがない。

 見た目詐欺だよな。



「無事で良かったわ。一人教室で倒れたって聞いた時は吃驚したわよ」 

「そうだな。なあ夜兎、いったい何があったんだ?他のクラスの人達はどうしたんだ?」    



 父さんにそう聞かれ俺は少し口を閉ざした。やばい、早速その話か。どうする、何て言うか。



「それは、「神谷夜兎君だね?」」



 俺が言おうとした瞬間、今度は数人のおっさん達がぞろぞろと入ってきた。

 見た目まんま刑事だなこの人達。


 

「私は警視庁の鬼瓦だ。少し話を聞かせてくれないかね?」



 まんまじゃなくてものほんの警察だったか。

 聞きたいことってあれだよな。クラスの奴等が異世界に消えていった事だよな。

 しかしどうするか。素直に異世界に行きました何て言っても信じて貰える訳ないしな。

 俺はどうしたものかと考えていると、



「止めてください!夜兎はまだ目覚めたばかりなんです!今はお引き取り下さい!」



 母さんが刑事さん達に怒鳴った。

 急な母さんの怒鳴りに刑事さん達も少し顔をビクッとさせ、余り刺激しない方が良いと判断したのか素直に引き下がった。



「分かりました。ではまた後日伺わせて貰います」



 そう言って刑事さん達はぞろぞろと部屋を出ていった。母さんは基本怒らない人だが怒ると物凄く恐い。一度前に俺は母さんに本気で叱られた事がある。あの時は本当にビビったな。

 俺はその様子を黙って見守ると、



「そういえば今何時だ?」



 俺はそう言って辺りに時計か何かキョロキョロと顔を動かす。



「今は午後の四時だ。日付は変わっていないから安心しろ」



 すると父さんが答えてくれた。 

 まじかい、ってことは俺軽く二時間寝ていたのか。  

 俺はその事に内心驚いていると



「そういえば夏蓮(かれん)は?」

「夏蓮ちゃんなら家で留守番してるわよ。夜兎が倒れたって聞いて少し心配してたわ」



 どうやら夏蓮は来てないようだな。

 夏蓮というのは俺の妹だ。

 中学二年生で母さん似の美人な妹だ。

 仲はそこまで良くないが悪くもない。つまり普通ってことだ。

 その夏蓮に心配されていたとは、お兄ちゃんは少し嬉しいな。



「母さん、そろそろ行かないと」



 父さんは時計を見ながら言った。



「あら、もうそんな時間?それじゃあ夜兎、私達は仕事に戻るわね」

「あぁ、仕事頑張ってね」



 俺がそう言うと父さんと母さんは病室を出ていった。俺はそれを見送るとふぅっと一息つきベッドに寝転んだ。

 そうだ、ステータスは



 

 神谷夜兎 15歳 男 人族 Lv1


 体力 500/500

 魔力 300/300


 スキル


 鑑定 超成長 魔法創造 睡眠強化魔法



 

 やっぱりあるよ。そりゃあ夢じゃないよな。

 俺は新たなスキルである睡眠強化魔法の所に集中した。



 睡眠強化魔法


寝る前に事前に魔法を掛けておく事で自動的に経験値を得る事が出来る。経験値量は寝た時間に比例して多くなる。



 おぉ、これは何とも有難い魔法だ。

 寝るだけで強くなれるとか正に俺にぴったりだな。俺は早速使って寝ようとすると頭の中に詠唱の様な物が頭の中に流れ込んできた。

 これを言えばいいのか。



「エクスリープ」



 その瞬間俺の体が少し光った気がする。心なしか少し体が温かい。これならぐっすり寝られそうだな。

 俺はそう思い布団に身を包ませ眠りに就いた。



 俺はそれから警察の事情聴取やら報道陣の取材やら何やらで色々大変な目に遭うがそこは割愛。


 そんなこんなで一年が経ちーーーーーーーー俺は高校生になった。



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