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何か起こるの確定じゃん

 天気がよく晴れた午後の昼下がり、とある中学校の体育館裏では一人の男子生徒が緊張な顔色を見せながら一人の女子生徒に思いを告げようとしていた。



「神谷さん!!す、好きです!俺と付き合って下さい!!」 

「ごめん、無理」



 告白を受けた女子生徒、夜兎の妹である夏蓮は男子生徒の告白を受けたと同時に何の迷いもなく断った。



 もう何回目だろうか。告白を受けている間夏蓮はずっとそう思っていた。夏蓮は両親に似てとても美人である。顔は無表情ながらもその美しさに心を奪われる生徒は多く、まだ入学してそれほど経っていないというのに夏蓮の下には何度もラブレターや告白が来ている。



「それじゃ」

 


 もう用は済んだので夏蓮はそのまま去ろうとしたが、このままじゃ納得出来ないのか男子生徒が夏蓮を止めに掛かった。



「ま、待ってください!!どうして駄目なんですか!!」



 この台詞も何回目だろうか。夏蓮は段々鬱陶しくなってきたが、このまま黙って行くと後々面倒なので止めの台詞を吐くことにした。



「私、好きな人がいるから」



 その一言に男子生徒は驚愕の表情を見せ、もう無理だと感じたのか沈黙し顔が項垂れた。

 もうこれでいいだろう。夏蓮は項垂れる男子生徒を見て再びその場を去った。



 「好きな人がいるから」、これは夏蓮が告白された時に使う決まり文句だ。

 ストレートに「好きじゃない」と言うと自暴自棄になる奴が出てくる可能性もあるので、夏蓮は何時も告白された時はそう言っている。



 好きな人がいると言っているせいで一抹の希望を持つ人も出てくるが、下手な事を言って逆ギレしてくる人が出てくるよりはまだましだ。

 それに、決まり文句といっても嘘を言っている訳ではない。夏蓮に好きな人がいるというのはあながち間違いではないのだから。



「あれ、神谷さんまた告白されたんだ」

「いいねー、可愛い人はモテて」

「今度は誰を振ったの?私にも紹介してよ」

 


 教室に帰る途中夏蓮の前に三人の女子生徒が現れた。まるで待ち構えていたかのように現れたその三人に夏蓮は内心溜め息をつく。

 白々しい。どうせ見ていた癖に。



「別に、何でもいいでしょ」

「いいじゃん。教えてよ」

「そうそう、別に隠す事ないでしょ」

「どうせすぐバレるんだから」



 それはあんたらが言いふらしているからじゃん。

 夏蓮はそう言いそうになったが、ぐっと堪えた。言ったら言ったでまためんどくさい事を言うに決まっているからだ。



「.......それじゃ」



 これ以上関わるのも面倒でしかないので夏蓮は早々に去ろうとしたが、三人の女子生徒はそれを許さなかった。



「何?逃げるの?」

「もうちょっと話そうよ」

「可愛いからって調子乗んなよ」

 


 先程のおちゃらけた様子は何処に行ったのか。

 威圧を掛けながら夏蓮を囲うように並ぶ三人の女子生徒に夏蓮は少し苛立ちを覚え、三人の女子生徒を睨み付けながら言った。



「どいて」



 抑揚のない低い声と眼力に女子生徒達は怯んだのか少したじろいだ。

 夏蓮は怯んだ女子生徒の間を抜けその場を去る。後ろで女子生徒達が睨んでいたが、夏蓮はそんな事知らんとばかりに涼しい顔をしながら教室へと向かった。

 本当、面倒な連中。


 





ーーーーーーーーーーーーーーーー








 学校も終わり家に帰る途中、夜兎は目の前の物をじっと見つめていた。

 その物というのは青いゼリー状の形をしていてポヨンポヨンと地面を飛び跳ねている。

   

    

(これってあれだよな、国民的ゲームにもよく出てくるあの例のモンスターだよな。え、嘘、本物?いや待て待て、冷静に考えろ。異世界でもないのに本物がここにいるわけないだろ。きっとただの道端に落ちてるでかいゼリーだろう。うん、そうだろうなきっと。

 .........だが目の前でポヨンポヨン跳ねてるな。やっぱり本物?本物なのか?)

  


 夜兎は突然現れたスライムに少し混乱していた。何故スライムが目の前にいるよかというと、夜兎が下校している途中で急に目の前に光が現れ、その光が消えたと同時にスライムが現れたのだ。



 俺は目の前のスライムをどうしようかと悩み、取り敢えず【鑑定】をしてみることにした。



 ノーマルスライム スライム族 Lv3


 体力 20/20

 魔力 10/10


 スキル

なし

 


 やっぱりスライムだったか。そりゃあそうだよな。逆に違ってたら驚きだ。

 俺は目の前にいるのが正真正銘スライムだと分かると、頭の中に次々と疑問が浮かんだ。



 じゃあ何でスライムがここにいるんだ?

 どうやって送り込まれて来たんだ?

 俺は疑問が絶えず暫く考え込んだが何も思いつかなかった。

 まあ、これだけじゃ何も分からないか。

 


 俺はそう思っていると、今だ目の前でポヨンポヨンと跳ねているノーマルスライムがこちらに近付いてきた。 

 ........何か可愛いな。

 ポヨンポヨンと飛び跳ねながらこちらに近付いて来るノーマルスライムに俺は少し可愛さを覚えていると、

 


 ポヨーン!!

「ぐふっ!」



 目の前で跳ねていたノーマルスライムが突如思いっきり俺の方に飛び跳ね体当たりをしてきた。俺は不意を突かれ諸にノーマルスライムの攻撃を喰らい若干むせる。



 だが、レベル差なのか痛みはそれほどなく怪我は特にない。

 忘れていた。こいつは曲がりなりにもモンスターだ。俺は今だ体当たりを繰り返すノーマルスライムに蹴りを浴びせると、ノーマルスライムは力尽き光の粒子となって消えていった。



 結局何だったんだ?  

 俺は理由が分からず訳が分からないまま家に帰ろうとしたが、



「ギィィギィィ!!」



 近くでモンスターらしき声が聞こえた。  

 おいおいまさか.........。

 嫌な予感がし俺は声が聞こえた所に行ってみると、そこには子供位の大きさに緑色の肌をしたモンスターがいた。

 うわ、完全にゴブリンじゃん。



 俺は出現したゴブリンを見てまさかと思い、【気配察知】で辺りを調べてみるとこことは他に別の場所でもモンスターの反応がある。



 いったいどうなってんだ?

 俺はこの事態に戸惑いつつも取り敢えず目の前のモンスターを倒すことにした。

 絶対何か起こるの確定じゃん。

 

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