クラスの異世界召喚
テンプレ要素多め&短めです。
時は遡り夜兎が異世界召喚に取り残された時、別の世界では夜兎のクラスメイト達が突如異世界召喚され騒然としていた。
「おい!!何処だよここ!?」
「どうなってるの!?」
「マジで異世界に来ちまったのかよ!?」
突然見知らぬ場所に来て動揺しているのか、クラスの連中は騒ぎ立てている。それを落ち着かせる為に近くにいた兵士の様な格好をした人達がクラスの連中を宥めるため前に出た。
「皆様、少し落ち着いて下さい」
「先ず我々の話を聞いてください」
「うるせぇ!!そんなことより俺達を元の世界に返せ!!」
「人を勝手に喚ぶんじゃねぇよ!!」
「お家に返してよ!!」
だが兵士の言葉にクラスの人達は落ち着く所か更に激昂し、今にも兵士達に襲いかかって来そうな雰囲気である。
最早話を聞いて貰える様子ではない。
そんなクラスの連中を宥める為に一人の女性が前に出てきた。
「皆様、混乱するのは分かりますがどうか落ち着いて下さい」
その女性はクラスの人達と同じ位の年の外見で長い金髪を靡かせ綺麗なドレスを着こなす美少女だった。その余りの美しさに騒ぎ立てていた男子の殆どが大人しくなり少女に見惚れ、女子はそんな男子を冷ややかな目で静かに見だした。
「私は【プリモス王国】王女、ルリアーノ・プリモスと申します。この度は貴殿方勇者様達を身勝手にお呼びしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
そう言ってルリアーノは頭を下げた。
ルリアーノの突然の謝罪にクラスの人達は段々と冷静になり、やがて一人の生徒が立ち上がりルリアーノの下に近寄った。
「王女様、顔を上げて下さい。僕達は貴女を責めるつもりはありません」
「あの、貴方は」
「僕は天上院輝。よろしくお願いします」
天上院はそう言うと眩しい笑顔で微笑んだ。
その笑顔にルリアーノは惹かれたのか若干頬を赤く染めた。
天上院輝。彼は夜兎のクラスではリーダー的存在であり何時もクラスの中心にいる。文武両道で顔もよく、かなりモテる。どれくらいモテるかというと、週に一回ラブレターが来るほどだ。
この時、クラスの連中は天上院とルリアーノのやり取りを見て思った。「あいつまたやってるよ」と。天上院は文武両道で顔も良い。だがそれだけでなく、彼は天性の女誑しだ。
本人に自覚はないが、彼の無意識に出すその眩しい笑顔と仕草はこれまでに何人もの女性の心を射止めてきている。よく今まで刺されなかったと思うが、そこは彼の人徳だろう。
そしてその女誑しっぷりは異世界でも通用するようだ。現にルリアーノは天上院の笑顔に心を奪われかけている。だが天上院はそんな事知らんとばかりに話を進めた。
「王女様。僕達はこの世界に呼ばれた目的を予め知らされています。魔王を倒すこと、ですよね?」
「は、はいそうです。魔王率いる魔族達は突如私達人族、獣人族を根絶やしにしようとあちこちで虐殺を行っているのです。私達は必死に魔族に抵抗してきたのですが、数の多い魔族には対抗しきれずこのままでは我々は滅びてしまう。そんな中私達の神であるメトロン様に神託を頂いたのです」
「僕達を召喚せよ、ということですね」
「その通りです」
ルリアーノはそう言い終わると真剣な顔でクラスの連中を見詰めた。
「身勝手にお呼びしたことは分かってます。ですがどうか、魔王を撃ち破り、我々の世界を救ってください!!お願い致します!!」
再び勢いよく頭を下げるルリアーノに天上院はすかさずルリアーノのフォローに入った。
「皆、やろうじゃないか!!確かに僕達は無理矢理ここに連れてこられた。でも今この世界の人達は滅亡の危機に瀕している。そんな人達を見過ごす事は出来ない!!そうだろ!?」
天上院の言葉に全員が口ごもった。
普通の人がそこで何を言っても何も変わらないだろう。だがそこは天上院の人徳があった。
やがて決心したのか、一人、また一人と天上院に賛同していく者達が現れ始めた。
「俺はやるぜ!!」
「俺も!!」
「私も!!」
「俺だって!!」
次々と決心していく者が増え、やがてそれは全員となった。
全員が決心してくれた事にルリアーノは感激したのか目に涙を浮かべながら感謝をした。
「皆様.....ありがとうございます!!」
「それじゃあ皆、これから頑張っていこうか!!」
「「「「「「おお!!」」」」」」
こうして天上院率いる総勢39名の勇者が誕生した。だがそこに、一人の勇者がいないことに気付くのは、まだ先の事である。
忘れさられた主人公........。
今回からちょくちょく閑話でクラスサイドの話は書きますが、本格的に出てくるのはまだ先です。
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