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何この強制ルート?

気付いたら1000000pvいってました。これからもよろしくお願いします。

 一週間の臨時休校も終わり、俺は今日一週間振りに学校へ登校した。

 


「おはよう、神谷君」

「おはよう、釜石さん」



 教室に入ると例の如く釜石さんと挨拶を交わし、俺は席に着いた。

 


「やっと学校始まったね。神谷君はこの一週間何してたの?」

「この一週間は本読んだり昼寝したりの毎日だったな」

「相変わらずだね」



 釜石さんは苦笑した。

 本当は空飛んだり、ラーメン食ってたりしたけど面倒だから言わないでおいた。  

 てか、ラーメンは兎も角空飛んでた何て言えないだろ。言ったら言ったでそれもう変な人確定だぞ。



「釜石さんは何してたんだ?」

「私はお母さんの家事を手伝ったり本読んでたりしてたよ」

「釜石さんらしいな」



 それから俺と釜石さんは暫く談笑していると学校のチャイムがなった。

 チャイムが流れるとクラスの人達は皆一斉に席に着きだし本を取り出す。



 何処の高校にもあるかは知らないが、うちの高校では朝の10分間本を読む時間がある。

 俺はその時間では何時もお気に入りのラノベを読むんだが今回は少し違う。



 俺が今回読むのは英単語帳だ。

 何故英単語張なのかというと前に空を飛んだ時に外国語が分からず苦労したからだ。

 正直あの外国人の話を聞いてればスキルは取れたんだが、何か鬱陶しかったからつい転移で飛ばしたんだよな。



 そんなわけで俺はスキルを取得するために英単語帳を読み始めた。隣の奴が何か変な目で見てきたがそこは気にしない。



 俺は英単語帳をペラペラと読み進んでいくと、 


“スキル、【英語理解】を習得しました”



 は?ちょっと待て、【英語理解】?【言語理解】じゃなくて?

 俺はこの事に少し困惑したが、直ぐに納得した。まあ、読んでるの英語だけだしな。

 そりゃあ英語読んでるのに全言語を理解出来る訳ないよな。



 するとあれか、【言語理解】を取る為には幾つかの言語を理解してなきゃいけないのか?  

 だとしたら今直ぐには習得出来ないな。俺は諦めそうになったが、ここであることを思い付いた。



 そうだ、スキルレベルアップさせれば【英語理解】が【言語理解】に進化するんじゃないか?

 俺は早速試そうと再び英単語帳を読み始めた。



“スキルレベルアップにより、【英語理解】が【英会話の極み】に変化しました”



 違った。いや違うんだよ。俺が欲しいのはこれじゃないんだよ。くそ、やっぱり無理なのか。いや待て、まだ諦めるな。まだチャンスはあるぞ。


  

 俺は諦めず再度英単語帳を読み進めた。

 だがやはり二度目の進化となると結構時間が掛かるようで、さっきの倍のページ数を読んだ。



“スキルレベルアップにより、【英会話の極み】が【会話の極意】に変化しました”



 お、これはまさか俺が求めてたスキルか。

 俺は早速手に入れたスキルの説明を見た。



 会話の極意

あらゆる言語の会話を可能にする。話す際に相手に好感を持たれる補正が若干付く。


 

 おーこれだよこれ。これが欲しかったんだ。最後の補正に関しては別にどうでもいいがこれでもう大丈夫だな。



 目当てのスキルを取得した瞬間丁度チャイムが鳴った。担任の武堂が教室に入ってきて朝のホームルームが始まった。







ーーーーーーーーーーーーーーー







 午前の授業が終わり昼休みに入り、俺は釜石さんにまたお昼を誘われたので一緒に屋上へ向かった。

 


 何時もと同じベンチに座り俺と釜石さんは楽しく会話ながら弁当を食べていると、不意に釜石さんが質問をしてきた。



「そういえば神谷君って家事とかするの?」

「家事かー、したことないな」

「しようとは思わないの?」

「いや、家の場合しようというより出来ないな」



 家の母さんは料理だけでなく家事全般もハイスペックだ。掃除は埃一つ残さず取るし、洗濯もこれ新品だっけ?っと思わせる位に完璧だ。  

 正直入る隙がない。夏蓮もたまに手伝っていて、夏蓮も母さん譲りのスペックを持ち合わせている。遺伝だろうか。だから手伝う必要もない。



 俺もちょっとやればスキルが取得出来るから同じ位の事は出来るが、やる意味がない。 

 それにやるのも面倒だしな。

  


「へー、やっぱり神谷君のお母さんって凄いんだね」

「母さんは色々と完璧な人だからな」

「そうなんだー。でもやってみたいとは思わないの?」

「そうだなー。確かに自分で出来たらいいなとは思うな」



 自分で出来れば食いたいもん何時でも食えるしな。まああればの話だが。仮にあってもスキル取得すればいいだけの事だしな。



「お母さんとかは教えて貰わないの?」

「いや、あの人料理に関しては厳しいから教わるのはな」



 母さんに教わる位ならとっととスキルを取るな絶対。

 俺がそう言うと釜石さんは何かを言いたそうにこちらをチラチラ見ながら言いだした。



「じゃ、じゃあさ、私が、料理とか、その、教えても、いいかな?なんて」



 いや、面倒なんでいいです。

 とは流石に言えないな。そんな期待の込められた眼差しでこっちを見るんじゃない。断りづらいだろ。



「だ、駄目、かな?」



 俺が黙っていると釜石さんは目に見えて顔が暗くなり始め、声がどんどん小さくなった。

 ................これはもう断れないな。



「じゃあ、よろしく頼む」



 俺がそう言うと釜石さんの表情がパアアっと明るくなり「やった!」と嬉しそうにしている。 

 何この強制ルート。回避不可か。



「やるのはいいが何処でやるんだ?」

「それなら家においでよ。今日お母さん夜まで仕事だから」

「それじゃあ今日釜石さんの家に行くか」

「うん、一緒に頑張ろうね!」

「あーうん。そうだなー」



 多分数分で終わると思うぞ。スキル取得出来れば大抵の事は出来るし。 

 釜石さんが隣で小さくガッツポーズしているのを余所に俺はこれから起きる面倒な事に小さく溜め息をした。

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