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なんか飼い主に似てるところがある

今回書いたら長かったので、二分割です。

 あー、吃驚した。

 間一髪で黄花を助けることができ、俺は安堵する。

 まさか本当に復活してたとは。戻ったらもろラスボス感のある奴がいて驚いたぞ。

 夏蓮の予感が見事に適中したな。

 空中に浮きながら操鬼を見つめていると、こちらをじっと目を見開かせている黄花に、俺は無事を確認するため声を掛けた。



「大丈夫か?黄花」

「は、はい!大丈夫です」 



 俺が声を掛けると、黄花は若干戸惑いながらも頷いた。

 どうやら、怪我はないようだ。

 黄花の無事も確認し、俺は改めて操鬼の方を見る。



「あれが、妖魔か」



 図体のでかい体格に、黒肌の鬼。

 さっき見た鬼達とは一味も二味も違い、異様な雰囲気を纏っている。

 まさに首領(ドン)って感じだな。

 妖魔が目の前にいるというのに、俺は呑気に考える。



 というのも向こうも向こうで、こちらを眺めては一向に動く気配がない。



「....ニン.....ゲン」  



 人間の俺を見て反応しているのか、操鬼はポツリと呟く。

 妖魔は確か自我がないと聞いたが、本能的に身体は恨みを忘れてないってことだろうか。

 ポツリと呟いてから真顔でこちらを見続けた操鬼だが、突如一転して真顔から怒りの形相に変わった。



「......コロス!」



 その瞬間、操鬼は膝を曲げ一気に真上に跳躍した。

 その図体でどんなジャンプ力を持ってるのだろうか。

 俺に攻撃を仕掛けてくるかと思い咄嗟に構えたが、操鬼は俺を狙わずそのまま素通りしていった。



 あれ?通り過ぎた?

 一瞬にして俺を飛び越え遥か上空まで飛んでいくその操鬼に、俺は驚きながも「おー」と首を上げ観察する。  

 どこまで飛ぶ気なんだろうか。



 ある程度の高さまで飛ぶと、操鬼は右手で拳を引き体勢を整え、なにもない上空で思いっきり振り抜いた。

 振り抜かれた拳は一見空振りに終わるように見えたが、その途中ドーンッ!!となにかにぶつかった鈍い音が響く。



 音が聞こえた瞬間、操鬼の殴った箇所から波を打つようにして、音の正体が姿を現した。

 ここら一帯を囲う、ガラスのような半透明の四角い物体。



(これは、結界か?)

「ま、まさか!?」



 前に黄花から聞いた話を思いだし、俺はそう推測する。

 黄花もそれを見て、驚愕の表情をしてるってことはそうなんだろう。

 鬼の力を封じる結界。操鬼からしたら、先ずこれを破壊したいってことか。

 操鬼の一撃で結界が姿を現すと、操鬼は無言のまま殴ったもう片方の手で再度結界に拳を叩きつけた。



 左手で繰り出された拳で、結界からバキッ!!とヒビが入る音が聞こえる。

 結界にヒビが出来、そこが引き金になったのか波紋が広がるようにヒビが拡大していく。



「......ジャマ」 



 そこに操鬼は間髪入れずに右手でヒビが入った箇所を、終わりとばかりに思いっきり拳を叩きつけようとする。



 あ、これはまずいな。

 流石にこれを破壊されてはまずいと察した俺は、黄花を抱えたまま転移で操鬼のまえに移動する。



「やめい」

「オ゛ァ!?」

 


 操鬼の横に転移し、俺は叩き落とすようにして操鬼を蹴り落とす。

 まさか、突然現れると思ってなかったであろう操鬼は俺の蹴りを受け、短い断末魔を発し地面へと落下していった。



 危ない危ない。

 危うく結界を割られるところだった。

 操鬼を蹴り落としてから、俺は地面に降り黄花を下ろす。

 


「助けて頂いてありがとうございます。夜兎様」

「運よく間に合ってよかった」



 頭を下げる黄花に、俺は「気にするな」といいながら操鬼の方を見る。

 土煙で姿が見えないが、まぁ生きてるだろうな。

 土煙が晴れると、そこには今にも爆発しそうな程怒っている操鬼がこちらを睨んでいた。    まさに鬼の形相だ。



「ニンゲン......ニンゲン」

 

  

 相当人間を恨んでいるようで、さっきから操鬼は俺を見てぶつぶつと呟き怒りを募らせている。

 正直、恨まれるのはお門違いだとは思うが、人間の不始末は同じ人間がつけよう。

 さてはて、とっととやるか。

 鬼の形相で睨む操鬼に、俺は無言のまま静かに前に出る。



「夜兎様?」

「黄花、悪いがお前は手を出すなよ。うっかり流れ弾が当たったなんてあったら嫌だからな」



 そう言い残して、俺は転移で操鬼の後ろに一気に回る。

 遠くから黄花の叫び声が聞こえるが、気にしてはいられない。

 


「鬼さんこちら」



 突然背後から俺の煽り声が聞こえ、操鬼は後ろを向こうとするが、遅すぎる。

 操鬼が背後を向く瞬間に、俺は顔面目掛けて回し蹴りを入れる。

 


「オガァッ!?」  



 諸に蹴りを喰らい、操鬼は首が捩れながら森のなかに飛んでいく。

 途中バキバキッ!!と木がへし折れる音が聞こえ、止まったのか音が止む。 

 暫く、俺は出てくるのを待っていると、木に手を掛けながら操鬼が戻ってきた。


 

「ニンゲン......ユルサナイ...!」   



 少なからずダメージは負っているようで、操鬼は息を荒くしている。

 俺を見て、昔のことでも思いだしてるんだろうか。

 操鬼は狂ったように怒りながら、突っ込んできた。



「ユルサナイ!!」



 がたいに似合わず速度は中々なもので、操鬼は俺に思いっきり拳を振るってくる。

 余程憎んでるんだろうが、同情して一発貰うなんてことはしない。

 迫り来る拳に、俺は紙一重で避け、そのがら空きな腹に炎の拳を叩き込んだ。



爆発拳(フレイナックル)」 

「オ゛ア゛ァ!!?」



 腹に叩き込まれた炎を纏った拳は、触れた瞬間に爆発を起こし、操鬼はまた森の中に吹き飛んでいく。

 今度はさっきより飛んだようで、木がへし折れる音がさっきより長く聞こえた。 



 妖魔っていっても、こんなもんか。

 最近戦った相手がスカラだから、余計弱く感じる。

 まぁ、【破壊神】と比べるもんじゃないけど。



 俺はまた暫く、操鬼が戻ってくるのを待っている。 

 中々現れないと思っていると、突然森の中から折れた木の大木が飛んできた。

 いきなり飛んできた大木に、俺はあぶなっと思いながら避ける。



 すると、操鬼が両手に大木を持ったまま戻ってきた。

 どうやら、真っ向からじゃ勝てないと踏んで飛び道具を使うつもりだろうか。



「ニンゲン......コロス!」



 アホらしい。そんなのが当たる訳がないだろうに。

 大木を持った操鬼は、俺に向かって全力で投げつけてくる。

 俺は転移を使わず普通に避けるが、それでも操鬼は近くにある大木を拾ってでも投げ続けた。


  

 いい加減避けるのにも飽きてきた俺は反撃を加えようとしたその時、操鬼は一つだけ大木を真上に向かって投げた。

 投げられた大木は一直線にヒビが入った箇所に向かっていく。

 そのまま結界を割る気か。飛んでいく大木を見て感ずいた俺は転移で先回りし、大木を蹴り飛ばす。



 これでよし。一時の危機を回避し、下にいる操鬼の方を確認しようとしたが、操鬼の姿がない。

 どこに行ったと思ったが、直後一つの巨大な影が俺の上空に現れた。



「夜兎様!上!!」

  


 遠くから聞こえる黄花の叫びに俺は上を見たが、もう遅い。

 大木が防がれることを予測していた操鬼は、俺を飛び越え直接結界に拳を突き刺した。

 


 突き刺さったことにより、ヒビが更に拡大。

 やがて、結界はもたなくなりパリーンッ!!と結界に穴が空き崩れていく。

 あ、やってしまった。

 結界が崩壊したことにより、これで操鬼の力が中に使えるようになった。

 

 

「ニンゲン...コロス....ユルサナイ」



 その言葉を引き金に、大量の鬼達が俺を取り囲むようにして現れた。

 見たことある小鬼や武装した鬼。その他にも見たことないのが何種類かいる。

 おー、わらわらと出てきたな。

 大勢の鬼に囲まれた俺だが、操鬼は忘れたのだろうか。



 俺が数百といえる鬼を一瞬にして倒したことを。

 それに、今俺がやらなくても、こいつらは全滅する。

 なぜなら、



「わんわんわん!!(ごよーだー!!)」



 今ここにロウガが来てるから。

 犬みたいな鳴き声が聞こえたと同時に、後ろにいた鬼達が一斉に崩れ落ちていく。

 見ると、全員喉を噛みちぎられ血が吹き出し、ピクピクと跳ねている。

 そして、息絶えたのか光の粒子となって消えていった。

 ナイスタイミングだな、ロウガ。



おまけ


【血まみれ】


「血まみれだな、ロウガ」

“鉄くさーい”

「噛みつくからだろうな」

“......主ー”

「?どうした?」 

“頭撫でてー!!”

「うおっ!?ちょ、近づくなって」 

“この気持ちを慰めてよー!!”



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