女子に抱き着かれた時の対処法って何ですか?
どうしよう、この状況.........。
今俺の目の前では釜石さんが泣きながら俺に抱き着いている。
幸い俺が転移した所や首トンした所は見られていないが、この状況はそれより厄介な気がする。
釜石さんどう対処したらいいの?
こんな状況が来るなら正直スキルがバレた方がましだぞ。
今まで面倒だったから人と余り関わらなかったというのに、いきなりこれはハード過ぎるたろ。
どうする?取り敢えず何かした方がいいのか?こういう時は抱き締めたりするのか?する?するのか?えぇい!!やるか!!
俺は意を決して釜石さんをぎゅっと抱き締めた。すると釜石さんは安心したのか俺に顔を埋めて大人しくなった。ふぅ、一先ずは成功だな。
俺は内心ホッとし次なる行動について考えた。
次はどうする。話し掛けるか?いやそんな高難易度な事俺に出来るのか?いや待て、それを実行するのはまだ早い。もう少し待とう。
それから俺は今だ啜り泣いている釜石さんが泣き止むまで待つことにした。うわ、涙と鼻水が制服に........。いや、それも仕方ないか。釜石さんからしたら恐ろしい体験をしたんだからな。
俺は何とも言えない気持ちのままそれから数分位経って釜石さんはやがて泣き止み俺から離れた。
だがその顔は先程の泣き顔とは違って真っ赤になっていた。
「落ち着いたか?」
「う、うん。ありがとう。神谷君」
「それはいいが、顔が赤いがどうかしたのか?まさか、あいつに何かされたのか?」
「う、ううん!!そうじゃないの!!気にしないで!!」
顔が赤い事を言うと釜石さんは何故か慌てた素振りで言った。そこまで否定するなら大丈夫か。ステータス見ても特に異常はないし。
「そ、そういえばどうして神谷君は私がここに居るって分かったの?」
明らかに話を変えようとしているのが見え見えだが、指摘するのも面倒なので一応俺はそれに乗っかっておく事にした。
「窓から釜石さんが連れてかれるのを見たんでな。慌ててこっちに来たんだ」
「そ、そうなんだー。頼み事はもういいの?」
「あぁ、それはもう片付いた」
「そ、そうなんだー」
会話が途切れ明らかまだキョドってはいるがもういいだろう。俺は釜石さんに外に出るよう促した。
「取り敢えずここから離れようか」
「う、うん。そうだね」
そう言って釜石さんは先に体育館倉庫から出ていった。俺はそれを確認すると床に倒れているテロリストに顔を向ける。
出ていく前にこいつをどうにかするか。
流石にここに放置にはしておけない。一人だけここにいるなんて不自然過ぎるしな。
そういう訳で俺は倒れているテロリストに手を当て、【転移魔法】を使い他のテロリストが倒れている教室まで転移させた。これでいいか。
俺はテロリストが転移したのを確認し、体育館倉庫を後にした。
それから俺はおっさんに連絡し俺達は警察に保護されてから、テロリストは全員逮捕された。
一件落着だな。
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私は家に帰り自室に入ると、鞄を床に置いてまたもベッドに倒れこんだ。
今日は大変な一日だったなー。
私は今日の事を思い出していた。
すると神谷君に抱き着いた事を思いだし、私の顔が一気に赤くなった。
うぅ~、思い出さなきゃよかった。
顔をベッドに埋め顔の赤さが収まるのを待つと次第に神谷君に助けられる前の事を思い出した。
自分を襲おうとしたドクロマスクのテロリストの顔、声、威圧感が今でも鮮明に思い出される。
怖かったな........。
もしあの場で神谷君が助けに来てくれなかったと思うと、それだけでも手が震えてくる。
だからあの時の神谷君が来てくれた時は本当に嬉しかった。例え偶々でも自分を助けてくれた事には変わりはない。
神谷君......。今でも神谷君の事を考えると胸がドキドキしてくる。あの時の神谷君の顔、仕草、声、どれを思い出しても顔が熱くなってくる。これってやっぱりあれだよね。そういうことだよね。
私は自分の気持ちの再確認すると、ある決意を固めた。
「明日はもっと神谷君とお話したい」
もっとお話して神谷君ともっと親密な関係になりたい。そして何時かは神谷君と.........きゃあ!!何言ってるの私!!
おかしな妄想で私は一人ベッドの上を転がりながら悶える。でもこの時私は忘れていた。明日から一週間臨時休校になることを。
それを思い出した私は別の意味で恥ずかしくなったのは言うまでもない。
ブックマーク、評価よろしくお願いします。
これで一区切りつきます。ここからは日常話や小説の修正が主になります。
貯めていたのもこれで終わりなので、ここからは不定期になります。