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チートにはチートの能力を

 遠くで強大な爆発音が聞こえる。

 スカラが何かしたんだろうか。

 


「危機一髪だったな.......」



 隣で膝を地面に着けているリーナの無事を確認し、俺はスカラのいる方を見る。

 ここはさっき俺とスカラがいた山の向こう側。

 辺りは緑が生い茂り、木が太陽を遮断し、いくつか光が差し込む。



 咄嗟に転移した為距離が少し近いかもしれないが、まぁ大丈夫だろう。

 これで少しは時間を稼げる。   

 上手いこと逃げられ俺はふぅっと息を吐くと、いきなり場所が変わっていたことにリーナは驚いていた。



「なっ!?こ、ここは.......」

「山の近くだ。俺が一緒に転移させた」



 辺りをキョロキョロと見回しながら戸惑うリーナに、俺は軽く説明する。

 俺の軽い説明で直ぐに状況が呑み込めたリーナは、「はー」っと気の抜けた声を出すが、やがて落ち着きを取り戻す。

 そこに俺は地面に座っているリーナに手を差し出した。



「怪我はないか?」 

「あぁ、大丈夫だ」

 


 差し出した俺の手をリーナにギュッと掴み、俺はリーナを立ち上がらせる。

 一旦安全な場所に来たことで気が緩んだのか、俺は先程スカラがスキルを使った時の感じを思い出した。



 あんなに『死』というものを一番身近に感じたのは初めてだったな。

 身体中の鳥肌がまだ立っている。

 あれはやばかったな。

 顔を歪めながら鳥肌が立っている腕を擦っていると、リーナが申し訳なさそうに顔を俯かせた。



「すまない。私があそこで止められていなければ.......」  



 暗い表情で下を向くリーナ。  

 真面目なリーナのことだ。

 止められず責任でも感じてるんだろう。

 申し訳なさそうにするリーナを見て、俺は何を言ってるんだと思った。

 こいつが責任を感じる必要が何処にあるんだろうか。

 まるで自分のせいといわんばかりな雰囲気を醸し出すリーナに、俺は少し呆れた風に言った。 

  


「別にお前のせいじゃないだろ。それを言うならあいつを倒せなかった俺の方が責任がある」

「いや、貴様は悪くない。何せ、初めから勝てる勝負ではなかったからな」



 まるで、分かっていたような感じで、リーナは言う。

 これには俺も黙るしかなかった。

 実際、スカラの力は俺より遥かに上。

 スキルでどうこうしようにも限界がある。

 リーナは俺ならと思って止めなかったと思うが、結果はご覧の通りだ。



「というか、何だったんだ?さっきのは」



 さっきのスカラのスキルが気になり俺はそう呟くと、リーナが応えてくれた。



「あれはスカラ様の【感情破壊(フィールデストラクション)】。感情によって左右されるが感情が昂れば昂る程破壊の威力や範囲が増大する。しかも、破壊の際相手への魔法防御や耐性などは一切効かない。まさに絶対的な破壊スキル」

「なんだよそれ......」


 

 リーナの説明を聞いて、俺はさっきのを思い出し身の毛がよだった。

 対抗しようとしてたら、あの世行きだったな。



「チートにも程があるだろ.......」

「これからどうする?今なら私が天界に連絡して応援を呼ぶが」 



 リーナに言われ、俺は少し考えたが、首を横に振った。



「いや、いい。それだと応援が来る前にここら辺が破壊されそうだ」



 現に今、山の向こうではスカラが何やら暴れている音が聞こえる。

 この調子だといずれここだけでなく街の方まで被害がいきそうだ。 

 


「では、どうするつもりだ」



 応援を呼ぶのを却下されたリーナは俺に聞いてくる。

 そのリーナの問いに、俺は真剣な眼差しで応えた。



「あいつをぶっ倒す」

「た、倒すだと!?」 



 俺の答えにリーナは予想外過ぎたのか、大きな声をあげ、強く反対しだした。



「き、貴様!あの力を見てなかったのか!?」

  

 

 声を荒げながらリーナを俺に詰め寄るが、俺は動じずただ真っ直ぐリーナに視線を向け、言い放った。



「確かにあいつのレベルは俺より遥かに高いし、絶対破壊なんていうやばいスキルも持っている。先ず真っ正面から行けば勝ち目はない」 

「だったら何故!!」

「このままやられっぱなしなのは嫌だからだ」 

 


 まるで子供の様な言い分にリーナは驚いて何も言えなかった。

 普通ならそんな言い分リーナに通る筈もないが、今の俺からは怒りにも似た執念を放っている。

 


 あんだけやってくれたんだ。

 このまま終わりにはさせねぇ。

 俺から放つ執念さに、次第に諦めたように顔を項垂らせた。



「だが、どうやって勝つ気なんだ。普通にやっても勝てる相手じゃないぞ」

「それには考えがある」



 俺はそう言うと、リーナは気になったのかその策について聞いてくる。



「なんだそれは?」

「スキル頼みだ」



 俺の作戦名にリーナは「は?」っと訳が分からないとばかりに首を傾げる。

 神頼みならぬスキル頼み。

 それは即ち【魔法創造】によるスキル作成で、スカラを倒せる魔法をゲットするということだ。

 打算的な作戦かもしれないが、もうこれしか方法はない。

  


 これを使うと魔力が急激に減ったりするから、戦闘中には使えないが、今はやるしかない。

 最悪、またリーナに魔力を別けて貰おう。

 嫌がるかもしれないけど。



 俺は神頼みをするように掌をパンッと合わせ、【魔法創造】を使用する。



「頼むからいいの来てくれよ」

  


 懇願するように目を瞑り、俺はただ一つのことだけを望む。



(スカラを倒せる魔法を!!)



 念じる俺に応えるかのように、俺の頭の中でいつものアナウンスが聞こえた。



“スキル、【テンション魔法】を習得しました”

“スキルレベルアップにより、【魔法創造】が【スキル創造 (制限付き)】に変化しました”



「え?........」



 だが、いつものアナウンスとは別に、別のアナウンスが聞こえ、俺は一瞬耳を疑った。

 それと同時に、耐え難い頭痛が俺を襲う。



「ぐっ!!?」   


 

 いきなり激しい頭痛に襲われ、俺は頭を抑え、もがき、苦しむ。

 この痛みには覚えがある。

 これは魔力が枯渇して気絶したときと同じだ。

 そういえば、スカラとの戦闘で転移を小刻みに何回も使用したんだった。

 それにスカラを倒せる魔法を願ったんだ。

 当然消費も激しいか。



 突然頭を抑え痛そうにする俺を見て、リーナは慌てた様子をしている。



「ど、どうしたんだ!?頭痛がするのか!?」   


 心配そうに声をかけるリーナに俺は気絶することを言わねばと、最後の力を振り絞ってリーナに告げる。



「リーナ、ちゃっと....今から....気絶...するが.....後、よろしく.......」

 


 少し掠れ気味に、言いたいことを伝え終えた俺は、力が抜けるようにして倒れる。



「お、おい!?しっかりしろ!!」



 倒れる途中、リーナが俺を受け止めて俺に声を掛けてるのを感じたが、そこで俺の意識は途切れた。

おまけ


【魔法創造】


「貴様の【魔法創造】は便利過ぎる気やしないか?」

「なんだ?突然?」

「前々から思ってたんだが、それがあれば何でも出来るだろ」

「いや、何でもは出来ないだろ」

「出来るだろ。例えば人を消したり、全てが思い通りにいく魔法を作るとか」

「あのなぁ、だとしてもよく考えてみろよ」 

「なにをだ?」 

「それ最早魔法じゃないだろ」



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