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首トンって本当に出来るんだ

 夜兎が刑事のおっさんの頼みで人質を解放しに行こうとしていた時、教室の方では、一人のテロリストの仲間が様子見に来ていた。



「よぅ、どうだそっちは?」

「何の問題もない」

「何しに来たんだよ」

「なに、ただの様子見だ」

「なら丁度いい、おい、お前俺の代わりにここ見張ってろ。ちょっと便所行って来っからよ」

「お前........こんな時に何言ってるんだよ」

「いいじゃねぇか。もう漏れそうなんだよ。なぁ、いいだろ?」

「..........早く戻ってこいよ」

「へへ、悪いな。直ぐ戻って来っからよ」



 そう言って図体のでかい男は教室から出た。

 教室から出ると男は薄ら笑いを浮かべながら教室の方を振り向く。



「へへ、誰があんな退屈な所に戻るかよ。てめぇらは一生そこで見張ってろ」



 そう言って男はトイレとは全く別の方向に歩き出した。



「出たはいいが何処行くか。銃を撃つにも音で気付かれちまうし、女犯すにも全員逃げ出してるだろうし。どうすっかなぁ」



 男は歩きながら考えていると、ふと目の前の階段が目につき男は考える様にそれをじっと眺めていると閃いたのか声を上げた。



「屋上に行って警察の様子でも見るか」



 男は早速屋上に向かう為階段を上り始めた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーー






 男が便所に行くと言ってから教室のテロリスト達は軽く雑談していた。



「全く、あいつにも困ったものだ」

「まぁ、確かにあいつ最近少しやり過ぎな所があるよな」

「少しどころではない。あいつはこの前の襲撃戦で味方一人撃ち殺したんだぞ」

「まじかよ。ボスはそれ知ってるのか?」

「知ってる訳ないだろ。知ってたらあいつはとっくにあの世行きだ」



 テロリスト達はそれからも話しを続け暫くして男と交代したテロリストが疑問に思い始めた。



「なぁ、あいつ遅くないか?」

「確かに遅いな」

「まさかあいつ俺達に嘘言って抜け出したんじゃないか?」

「まさか.........いや、有り得るな」

「ちょっと見てくる」



 そう言って男と交代したテロリストは教室を出ていった。

 教室に残ったテロリストはそれを見送ったが、


     

 ドンッ!!


「う゛ぅ」  



 テロリストが教室から出て姿が見えなくなったと同時に鈍い音がとテロリストの呻き声が聞こえた。教室にいたテロリストは若干驚き教室を出ていった仲間にその場から声をかけた。



「おい、どうした。何かあったのか?」



 声を掛けたが返事がない。何が起きたか気になり確認しに行きたい所だが、テロリストにはそれが出来なかった。何せ今彼が動けば人質達に逃げられてしまうからだ。



 どうしたものかとテロリストは人質達の方を見るとそこには異様な光景があった。



「な、何だこれは.........」


 

 見ると人質全員が何故か眠っていたのである。この光景にはテロリストも驚きを隠せずにいた。

 何せ先程まで人質達は暗い顔をしながら座っていたのだから。

 にも関わらず、少し目を離した隙に眠っていた。こんなことがある筈がない。



「本当に寝ているのか?」



 テロリストは不審に思い人質達に近付きよく見てみると、全員寝息をたてながら気持ち良さそうに寝ている。どうやら本当に寝ているようだ。

 


 どうなってるんだ?こんな状況で寝ていられるわけがない。ましてや一人ではなく全員がだ。

 テロリストは思考を凝らして考えているとある結論に辿り着いた。



「眠らされているのか?」

「正解」

「ぐぁ!!」



 次の瞬間、何処からか聞こえる声と共にテロリストの首の後ろに衝撃が走った。

 


(な、何が...........)



 テロリストは意識が朦朧としながら後ろを振り向くと、この学校の制服を着た唯の学生の姿があった。



「き......さま....何..者........だ」

「唯の学生だ」



 そんなわけあるか。テロリストはその言葉をいう前に意識が途切れた。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「これで終わりだな」 



 俺は床に倒れているテロリストを見て言った。いやはや、何とかなったな。最初どうでようか考えてたらテロリストが急に出てきて思わず腹に一発殴っちゃったけど、まあ結果オーライだな。


 

 最初の奴は腹を殴ったけど、二人目の奴には俺が人質である生徒を眠らせた事に気付いた努力賞ということで、首トンにしといた。 



 にしても初めて首トンやったけど、本当に上手くいくとはな。やっておいて何だがあれ漫画の中だけかと思ってたわ。今度から敵倒す時はこれで行こうかな。



 そういえばおっさんには自然にとか言われたが、まあ何とかやってくれるだろ。寧ろテロリストを捕まえる手助けをしてやったんだ感謝して欲しい位だ。



 俺は一仕事終え釜石さんがいる屋上に帰ろうとした時、床に倒れているテロリストのベルトに付いている無線から声が聞こえた。



『おいお前達、私だ。そっちの状況は問題ないな』



 突然聞こえた声に俺は体が固まりじっと無線を見つめた。

 おいおい待て待て、どうする?出た方がいいのか?いや、出たら出たで速攻でバレるだろ。だが、出ないも出ないで怪しまれるだけだしな。



 俺は出るか出ないかの選択に頭を悩ませていると、無線の向こうの人が痺れを切らしたのか催促をしてきた。



『どうした?何をしている。さっさと応答しろ』



 あぁくそ、出るしかないか。

 俺は覚悟を決め無線を手に取った。



「待たせたなぁ、こっちは問題ない。監視を続ける」

『...........』



 ど、どうだ。若干声低くしてそれっぽい感じに言ったが、行けるか?



『誰だ貴様は!!我々の仲間ではないな!あいつらはどうした!!』



 はいバレました。そりゃそうだよな。普通バレるよな。



『おい!お前達!!下の人質がいる教室に行くぞ!!敵がいる!!』



 その声が聞こえたと同時に無線が切れた。

 俺は切れた無線を床に放り投げると、目を瞑り暫し考え込んだ。これってあれだよな。テロリスト全員こっちに来るってことだよな。



 何てこったぁ。俺は一人悶えていると、遠くから階段を降りる音が聞こえた。  

 くそ、やるしかないか。結局こうなるのかよ。

 


「後でおっさんにチャーシューも付けて貰おう」



 俺は一人そう思いながら向かってくるテロリスト達に対する対策を考えていた。



 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 気絶するぐらいの強さで首トンすると、首の骨が折れちゃうらしいです。
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