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②悪役
「私、普段はある資産家の御曹司だけど今は女装しているの」
「へー、でもここにいる店員の女子は皆男装してますけどね」
このツンケンした人が私に声をかける理由が見当たらない。
「貴女、私に話しかけられて嬉しくないの?」
「むしろ話しかけられるのも話をするのも嫌いです」
特に思考の変なヤツとは。
「嘘ね」
「はい」
なんなのこの人…他の人の考えることを、客観的に考えられるならまともな話をしてよ。
「なぜ私が女装をしているか、知りたい?」
「別に」
どうせ理由なんてないただの趣味なんだろうし。
「あれは一年前、私が16の誕生日を向かえた日」
女装の人は急に語りだした。