①
―――なんで私男装してるの?
今日は学園祭、私のクラスでは喫茶店をやっている。
なぜか女子はウェイター、ウェイトレスが男子で。
まあ、お客からの反応はギャグにしかならない男子にくらべれば男装はまだマシのようだ。
むしろ男装の友人が女性客に群がられている。
昨日は男子にモテないと嘆いていた友人が満更でもなさそうなので、ある意味よかったかもしれない。
「お退き遊ばせ」
鋼鉄の扇子を優雅にひらめかせ、喫茶店には目もくれずそのまま通り道を開ける令嬢。
普通ならばこの場でそんな格好をすれば浮くはず。
なのに、貴族の存在しない現代に豪華絢爛なドレスを肉体の一部のように違和感なく着ている。
そんな彼女のまとう雰囲気にここは中世かと錯覚させるほどだ。
まるで美しき女神が理不尽な嫉妬ににより地上に落とされたかの如く整った容姿。
アンティークよりも価値が高い方。
「はあ、なんて美しい方…まるで」
「アナタ、女性でしょう」
「え!?なぜわかったんですか!?(この人喫茶店は眼中になかったのに)」
「同じ匂いがしたからよ」
相変わらず悪役令嬢ってなんだろう?状態ですがお気に召していただければ幸いです。