下校
「ふぅー。やっと終わった」
退屈な授業をなんとか乗り越え、俺は帰る準備をする。ちなみ俺と翠は部活に入っていないため授業が終わるとすぐに帰れる。
「よーし、じゃあ翠一緒に帰ろうぜ」
「はい、今行きま・・きゃっ」
翠が勢いよく立ったせいで机に足を引っ掛けてしまう。
「っとと、大丈夫か?」
俺は倒れそうになった翠をとっさに抱きかかえるような体勢になってしまった。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
翠は俺の胸元に抱きついた状態でお礼を言う。
「・・・翠。そろそろ離れてくれないか?周りの視線が痛いんだが」
さすがに教室だと嫌でも目立ってしまう。
「満さん良い匂いしますぅ///」
「馬鹿言ってないで早くいくぞ」
無理やり翠を引き離し柑菜のところへ向かう
「おっ、いたいた。おーい柑菜ー!」
校門に立っていた柑菜を見つけるとすぐに声をかける。
「お兄ちゃん遅いよー、待ってたんだか・・ら。ってその隣にいる美人さんはだれ?」
柑菜が不機嫌そうに尋ねる。
「柑菜に紹介してやろうと思ってな。今朝言ってた翠。覚えてるだろ?ほら、後輩なんだから挨拶しろよ」
「あ・・・うん。こんにちは柑菜です。よろしくお願いします」
柑菜は興味なさそうな感じで翠に挨拶する。
「こんにちは柑菜ちゃん。満さんの彼女の鳩山翠です♪私のことはお姉さんってよんでくださいね♪」
「ちょ、翠なに言ってんだよ!違うからな柑菜話をk・・痛い痛い!つねるなよ!」
翠が笑えない冗談を言うので柑菜がムスっとした表情でお腹をつねってくる。
「じゃあ、この人とどんな関係なの?」
まだ怒ってる柑菜が聞いてくる。
「なんでもないただの友達だよ。翠も冗談でもやめてくれ」
話しかけても反応がない。翠を見るとまた顔を赤くしてブツブツ言っている。やはり自分の世界へ行ってしまったようだ。
「お兄ちゃんがこの人のことなんとも思ってないならいいんだよ!お兄ちゃんの彼女は私なんだからね!」
「へいへい」
これ以上なにか言うとさらに怒ってしまいそうなので肯定しておく。すると満足したのか柑菜は俺の腕に抱きついてくる。
「はぁ」
俺はため息をつきながら3人で帰った。