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第五話

あの後、他の先生が乱入して戦いは止められた。

鈴木先生は「私は戦うんだ。」とか言いながら連れてかれた。


けれども僕は無事体術で評価5をとり、全測定オール4以上の称号を手にした…まぁそんな称号なんてないんだけど。


村瀬と原野は評価3だったらしく、一般人の評価5は今までもあわせて3回目らしい。

まぁあの程度なら凶禍はもちろんのこと、聖魔典の下っ端でも勝てると思う。


まぁとにかく友人二人には無事祝福された。

ちなみに一般人の評価4は、今年度は二人いたらしい。


その二人とは総代君とその幼馴染だった。

御剣の少女も評価4だったのだが一般人ではないため、話題にはあまりならない。


まぁでも決闘相手よりも体術が優れているのは、安心できるだろう。

そんなこんなであっという間に放課後になっていた。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


<side阿波崎悠凪>


時刻は3時半、今私いや私たち1年生の担当教員は職員会議室というところに集まっている。


その理由は今年度の体術測定で、一般人でありながら評価5をとった久神静夢君のことである。


久神君は入学当初もその美貌で注目を集めていた。

最初はただルックスが優れている生徒だと思っていた。

おそらく誰もこんな爆弾を抱えているとは思っていなかっただろう。


司会進行役である学年主任の坂口玲遠(さかぐちれおん)先生が話し出す。


「えーっ、今回の議題ですが、皆さんも知っている通り久神静夢の体術測定の件です。」


そこで一つの声が上がる。


「この体術測定、鈴木先生が自分の生徒だから高くつけたんじゃないんですか?」


こんな疑念が浮かぶのも仕方ないことだと思う。

それだけ一般人の評価5が異常なのだ。

坂口先生が言う。


「それについては、彼の体術測定の録画を見て判断してほしい。」


見せられた動画はこうだった。

久神君が攻撃を仕掛けたが、軽くあしらわれ転ばされた。

そこまで見た瞬間、私たちはあぁ、高くつけたなと思った。

だが異常なのはそこからだった。


彼は左腕を使い体を回転させ、遠心力を使い伽耶ちゃんのみぞおちを蹴り抜いたのだ。


坂口先生は動画をそこで止めて言う。


「さて、これから見せるのは久神君のプロフィールだ。少し事情が特殊だから生徒には他言無用で頼む。」


そうして配られたプリントを見ると、そこには驚くべきことが書かれていた。

彼は高原中学校に1年生のころ半年間通い、そこから中学校に通っていないのだ。


「さて、彼は半年間通って出席停止になってから、中学校に一度も通っていない。なぜか分かる者はいるか?」


「ただ単に学校が嫌になったんじゃ?」


そう言っているものがいるが、それが違うことは誰にでも分かっている。


会議室に一つの声が響く。


「高原の悪魔。」


そう言ったのは1年の担当教員の中で唯一子どもがいる平塚信彦(ひらつかのぶひこ)先生だった。


みんなが疑問に思った言葉を、坂口先生が代表して聞く。


「高原の悪魔とは?」


「私も息子に聞いた話なんですけど、高原中では一番強い人が魔人と言われるそうです。そしてその魔人になるにはどれだけ喧嘩が強くても普通は1年かかるんです。でも今から三年前、約2週間で魔人になった生徒がいたそうです。」


先生たちが息を呑む音がする。


「魔人になるには、1年かかるんじゃないのか?」


「その理由は1年の最後に一度ある魔人選挙で勝たなければいけないからです。」


「ではだめじゃないか。」


「実はもう一つ手段があるんです。それは当代の魔人に魔人の称号であるバッジを全校生徒の前で受け取ること。」


「だがおそらく魔人になった者にも、プライドはあるはずだ。死んでも渡さないと思うが?」


「だけれどもそれをやってのけたのが、高原の悪魔です。その特徴は銀髪碧眼。そしてたった半年で高原中を停学処分になったそうです。」


「そうなのか、話してくれてありがとう。だが今回は久神君は何もしていない。だから処分はしない。問題を起こしたら処分をするということでいいな?」


その言葉に反対するものはいない。


「それにしても今回の決闘は心配だね。」


隣に座っていた伽耶ちゃんに話しかける。


「確かにそうだな。だが大丈夫だろう。彼女たちが何か久神の気に障ることを言わなければな。」


「まぁそうだね。」


すでに決闘開始の三十分前まで迫っていた。


新入生の一番最初の決闘ということで生徒も注目にているが、体術の評価5の生徒が出ることで教師の注目も集めている。


過去最高レベルの注目度の決闘がまもなく始まる。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


<side久神静夢>


三十分前になり、僕たちの情報が公表される。

もちろん相手の情報も公表されるので、それを見ていく。


ちなみに今僕と村瀬がいる場所は、決闘の待機室だ。

普通はここで作戦の再確認やモチベーションを上げたりするのだが、僕らは気軽そうに話していた。


「いやー、ついにこの日が来ちゃったね。モチベはどんな感じ?」


「最高だね。あの傲慢女子共を駆逐できると考えると、今後不幸なことしか起こり得ない気がするよ。」


ブラック村瀬は絶好調だった。


僕たちがいる待機室に人が入ってくる。

その人が言うには新聞部がインタビューをしたいと言っているため、了承してくれるならここの1個上の階の一番左の部屋に来てほしいらしい。


了承して言われた通りの部屋に行くと、いろいろなカメラが置いてあった。

するとマイクを持った男子生徒が言う。


「おや、白銀の美王(シルバーキング)さんたちがインタビューを受けてくれるそうです。詳しく話を聞いてみましょう。」


そう言ってこちらの方にカメラを向けてくる。


「えーっと、まずは自己紹介をお願いします。」


この部屋に入る前に生中継と聞いていたので、少し緊張する。

決闘場にある巨大スクリーンに流れているらしい。


「はい、皆さんには白銀の美王(シルバーキング)と呼ばれているのかな?久神静夢です、どうぞよろしく。」


できるだけ社交的な笑みを浮かべて話す。


するとマイクを持っていた人が、硬直しているのに気づいた。


「あのー、どうしたんですか?」


「ハッ、君本当に男?俺、今見惚れちゃったよ。じゃあ次に行ってみよー、どうぞ。」


「村瀬優太です。重力を操る異能です。重さを増したりするのは、3倍までできます。以後お見知りおきを。」


僕と違い、流れるような挨拶をする。

これはもう会場の女子たちは、村瀬にメロメロでしょ。


「今回の意気込みをお願いします。」


それに対して村瀬が答える。


「皆さんは火神ハーレムである、あの傲慢女子共に内心怒っているはずです。だから俺が、いや俺たちがあいつらに屈辱を与えます。どうか応援していてください。」


ブラック村瀬が出てきてしまった。

これはマズイと思ってアナウンサーの方を見ると、感動したかのように涙を流していた。


それから少しアナウンサーと会話をして、僕らへのインタビューは終わった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


決闘開始の5分前になり、移動を開始する。


「さて、そろそろか。準備はいいな、村瀬?」


「あぁ、もちろんだ。」


「それじゃあまぁ、勝ちに行きますか。」


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