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第二話

あの後事態の収拾は先生がすると思っていたのだが、世界に絶望したかのような顔をして膝をついていたため質問攻めにあってしまった。


5分ほど生徒たちにもみくちゃにされた後、他のクラスから先生がやってきて事態は収拾に至った。


主な質問はこうだった。

一つ目は親が外国人なのかどうかだ。

だが僕の親はすでに亡くなっており、記憶も失っているため見たことがない。

よって親が幼い頃に死んだから覚えていないと言った。


二つ目はどんな異能を持っているのか?

それに関しては、剣を召喚する能力だと答えた。

こいつ厄神だ、と思われたら駄目なため本当の異能は答えない。

だが嘘の異能を言うのも、バレた時にダメージがでかい。

よって自分の異能の一つである剣召喚と言った。


そして最も多かった質問は、女子生徒からの好きなタイプは?という質問だった。

僕の意見としては自分の意志をしっかりと言える女性かな、と言っておいた。


まだまだ質問をしたそうだったが、先生が来たので渋々ながらも女子たちは席に戻っていった。

いや、先生がいなくても席には座っておくべきなんだけどね!!


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


全員の自己紹介が終わり、僕はふと入学式のマニュアルを見る。

次はホールに移動して歓迎会をするらしい。

クラスメイトたちが続々と席を立ち、廊下に並ぶ。


僕もそれにあわせて、列に並ぶ。

すると隣に並んでいた男子が話しかけてくる。


「ねぇねぇ久神君、なんで君の髪は銀髪なの?」


確かその男子生徒の名前は村瀬優太(むらせゆうた)だった気がする。


「村瀬君だったよね?育ての親が言うには、この銀髪は異能の影響らしいよ。」


「じゃあその碧眼も?」


「まぁ多分そうだと思う。」


他のクラスの生徒も廊下に出てきて移動を開始する。

生徒たちが常人なら聴こえない程度の小さな声で僕を見て話している。

だが僕の肉体スペックを舐めてもらっては困る。

僕の耳は半径50メートルまでなら聞き取ることができる。 


さぁ、なんて言っているんだ!!


「あの娘、可愛くね?」


「何言ってんだ、お前?あの子は男だぞ。」


「まじで!!でもあんだけ可愛いなら、男でもいいかも。」


「聞かなければ良かった。」


そう言うと村瀬君に聞こえていたようで「何が?」と聞いてくる。


「いや、こっちの話ね。」


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


第二異能力者育生高校の創設は今から百年ほど遡る。

主な創設理由は犯罪組織に対抗するためだが、他にも理由がある。


例えば他国との戦争だ。

ミサイルとそれと同レベルの異能力者を動かすとしたら、異能力者を動かしたほうがコストがかからずにすむ。


しかしミサイルと同レベルの異能力者は、当時ほとんどいなかった。

よって日本政府は、異能力者を育てる機関を設立したのだ。


その機関の名が、第一異能力者育生高校。

これは危ない橋を渡ったと当時の日本皇国の皇帝は言った。


第一異能力者育生高校の卒業生が他国に寝返ったり犯罪組織に入ったりしたら、日本中でデモが起きただろう。

だが第一異能力者育生高校の生徒たちは、軍に入ったり旧五星天座に入った。


それにより異能力者の育生機関の設立への目処がたち、今では日本皇国には6つの異能力者育生高校がある。


ちなみに旧五星天座と言うのは、聖魔典、白金、剣鬼衆、天邪鬼、煉獄の5つのことだ。


凶禍は今から3年前にできた組織で、そこから半年で六星天座の序列1位に躍り出た。


今すごいと思ったそこのあなた、センスあるよ。


まぁ冗談はこの辺にしておいて、そろそろ校長の話が終わりそうだ。

司会の1-Dの担任である阿波崎悠凪(あわさきゆうな)が、一人の生徒の名前を呼ぶ。


「新入生総代、火神迅。」


その声に朝、通学路で会った黒髪黒目のイケメンが返事をする。


「はい!!」


そう言って、ホールの壇上に登っていく。


「春の息吹が感じられる今日、私たちは第二異能力者育生高校に入学いたします…」


通学路以外の何処かで見た覚えがあり、記憶の中を辿って探す。


(白金に似たような顔をした人間がいたな。)


確かその男は白金でも最強格の存在で三卿と呼ばれていたなと思い出す。

今度、透に頼んでそこら辺の血縁関係を調べてもらうか。


ふと顔を上げると、新入生総代である火神君と目が合う。

火神君がニコッと微笑む。


普通の女の子なら、これで落ちただろう。

だが僕は男だし、それ以上のイケメンである透や美少女である凛と雫を日頃から見ているため、落ちないのである。


残念だったな、アーハッハッハッ。


とにかく僕は国宝美少女レベルの存在と共に生活をしてきた訳だから、ギリギリトップアイドルに食い込めるぐらいのイケメンなんかになびくわけないのである。


だが先ほども言った通り、普通の女の子はこれで落ちるのだ。

今のを見ていた少女たちは、一部を除いてほとんど落ちたと思われる。


火神君に向けられる視線は主に二つで、女子たちの熱烈な愛の視線と男子たちの嫉妬渦巻く視線だ。


ちなみに言っておくが僕はどちらでもない。

興味が沸かないと言えば理解できるだろうか?

僕の興味を引き寄せたのは、現在凶禍のメンバーだけだ。


(火神迅、君は僕の興味を引き寄せるだけの価値はあるかな?)


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


教室に戻って鈴木先生がやって来ると、校内パンフレットが配られた。

そして1週間の予定と寮の使用方法などが説明された。


僕は高校の近隣に家があるため、寮には入らない。

さらに寮に入っても不便なことしかないため、無意味なのだ。


例えばレポートを送るにしても、同室の生徒の監視があるため二十四時間気を張り詰めることになる。

また、他にもいろいろとあるが今は置いておく。


話しが終わり、今日の過程は終了となる。

他の人たちも荷物を纏めて、教室から出る準備を始めている。


続々とクラスメイトたちが教室を出る中、僕も教室を出ようとする。

すると入学式前に話した村瀬君が再び話しかけてくる。


「久神君、一緒に帰らない?」


僕は特に断る理由も無かったので、提案に乗る。


「そうだね、一緒に帰ろうか。」


そう言って並んで帰る。


「いやぁ、新入生総代の子。めちゃくちゃイケメンだったね。久神君はどう思った?」


「火神君か?そうだね、新入生総代になるだけあって実力は高いと思うよ。」


「いや、そういうことじゃなくて。もしかして久神君って天然?」


「いや、それは失礼だろ。」


すぐさま突っ込む。


馬鹿みたいな会話内容だったが、なんだか笑ってしまった。


「話しを戻すけど、火神君のルックスだよ。久神君ほどではないけど、美少年って感じだったでしょ。」


なるほどと納得して、思ったことを言う。


「彼の容姿は確かに優れていたけど、ひいき目なしで僕の友人のほうが優れているかな。まぁ火神君は、トップアイドルの容姿とギリギリ同レベルくらいだけど僕の友人はほんとに国宝クラスだからね。」


村瀬君はその言葉に驚いているようで、目を点にしていた。


「えっ?久神君、そんな人たちと友達なの?騙されてるとかじゃなくて?」


直球で聞いてきたなと思いつつも、しっかりと疑問に答えていく。


「みんないいヤツだよ。3年間もずっと一緒に生活してれば分かることさ。」


「へぇー、そうなんだ。なら良かった。友達が騙されてたらなんか嫌だし。」


僕はその言葉に驚く。


「村瀬君、僕のことを友達だと思ってたの?」


「えっ、駄目だった?」


「全然良いよ、むしろありがたいくらい。こんなにいい人が高校生活初めての友達だなんて嬉しいからさ。」


下駄箱で靴に履き替えると(入学式の時に上履きに変えておいた)、校門前で何人かの生徒が揉めているのが見えた。


「村瀬君、あれって大丈夫そうかな?」


「まぁ、絡まれたらまた考えよう。多分ありえないけど。」


そう言われて揉めている集団を見ると、四人の女子生徒が一人の男子生徒を囲んで言い争っていた。


何を話しているか、耳を澄まして聞いてみる…あっ、プライバシーの侵害とか言わないでくれよ。


「迅は私と帰るのよ!!」


義兄(にい)さん、こんな女は放っておいてさっさと帰りましょう。」


「あら、迅と5年しか一緒に生活していない義妹(いもうと)は黙っててくれる?迅の気持ちは生まれてから、13年間ずっと一緒にいる私が一番分かっているわ。早く帰りましょう、迅君。」


「け、喧嘩はダメですよー!!」


まさに痴話喧嘩だった。

呆れてものも言えない中、誰を巡って争っているのか見てみる。


その男子はついさっきまで、僕たちの話題に出ていた火神迅だった。

新入生総代が問題を起こしてどうすると思ったのだが、自分には関係のないことだったので放って置く。


絡まれたらめんどくさそうだが絡まれる理由がないので、大丈夫だと判断し言い争っている横を通り過ぎようとする。

しかしこの考えは間違っていたと、すぐに突き付けられるとは思ってもいなかった。


「あっ、君は今朝の。」





僕と村瀬君の表情は絶望に染まった。


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