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第一話

「ヤバい、寝坊した。初日から遅刻はマズイよな。」


そう言って黒髪黒目の少年が、横断歩道を駆け抜ける。

そこに同じ制服を着た銀髪碧眼の美少女が現れる。


「うわっ、びっくりしたー。もしかして君も遅刻?」


すると少女は神々しい雰囲気で、返事をした。


「いや、遅刻ではないな。」


少年は驚いたが、すぐに自分の置かれている状況を思い出す。


「ごめん、悪いけど遅刻しそうだから先行くわ。」


そう言って再び走り出す。


置いてけぼりにされた少女、いや少年は独り言を言う。


「彼、僕を女だと勘違いしてそうですね。後で訂正しておきますか。」


少年こと久神静夢(くがみしずむ)は、その場で全神経を使って最短経路を探索する。

風の通り具合、音の聴こえ方で判断しながら、最短経路を見つける。


「ホームルーム開始は8時20分、現在時刻は8時10分…間に合いますね。」


そうして静夢も疾走を開始した。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


「やばい、普通に間に合わない。」


さっきからやばいとしか言ってない気がするがまあいい。

俺の名前は火神迅(ひがみじん)、今日から高校1年生だ。

そんな俺は今、路地裏を全力疾走している。


つい先程銀髪碧眼の美少女に会ったのだが、そこで長居をしすぎてしまいもともと遅刻しかけていたのが、さらに危なくなっている。


約5分本気で走っていると、ついに俺の通う高校である第二異能力者育生高校の校門をくぐる。

そこでふと時間を見ると、ホームルーム開始まで約一分となっていた。


「これは…まずいな。仕方ない、あれを使うか。」


そう言って発動したのは、俺の異能である身体強化。

発動した瞬間、俺は思いっきり地面を踏みしめて加速する。


(たしか俺のクラスは1-Dだったはず。)


校内系図を通り過ぎる瞬間だけ見て、教室のある階を見つける。

一瞬で通り過ぎたが、身体強化で目も強化していた俺には十分過ぎる時間だった。


「1-Dは二階か。行けるな。」


階段を思いっきり駆け上る。

1-Dの看板が見えてドアの眼の前まで移動する。 そして最後の力を振り絞って俺は、ドアを開けた。


すると目の前には、背後から鬼が見える女教師が仁王立ちしていた。


「えーっと、間に合ってませんでした?」


勇気を振り絞って聞いた俺を褒めてほしい。


「当たり前だー。」


そう言われ俺はこの世の残酷さに絶望する。

だがそこで俺は思い出した…もう一人の遅刻者の存在を。


「先生、もう人俺の他に遅刻した生徒はいませんでしたか?」


そう言われて、先生は不思議な顔をして話す。


「いや、このクラスだけではなく、全てのクラスでお前だけが唯一の遅刻者だぞ。」


俺は少し考えて、例の美少女の特徴を出す。


「銀髪碧眼の生徒なんですけど、この学校の制服を着てて。」


「そんな風貌の生徒なら確かにいる。だがそいつも遅刻はしていない。」


俺は彼女が遅刻していないことを疑問に思いながらも教室を見渡す。

全員が黒髪か茶髪だった。


(なるほど、彼女は他クラスだったか。)


「まぁとりあえず、自分の席に座れ。」


そう担任に言われて、俺は一つだけ空いている席に座る。

位置は窓際の一番後ろの席、俗に言う主人公席という奴だ。


ちなみに隣の席の人は、おっとりとした美少女だった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


校門を通り自分のクラスを思い出す。


「確か1-Eだったかな。ホームルームまで2分か。校舎の方に入ってから向かうと、おそらく遅刻するな。仕方ないけど、あれをやりますか。」


1-Eの教室の方を向く。

脚に力を込めて、1-Eへ思いっきり跳躍する。


窓が空いていることは確認済みのため、あとは入って席に座るだけだ。

無事教室に入ることに成功する。


周りの視線が自分に注目しているのを感じるが猶予はもうほとんど残されていない。


残り15秒、瞬間的に周りを見渡して、空いている席を探す。

席は一つしか残っていなかったから、そこを自分の席だと判断し座る。


僕は席に着いて一言呟いた。


「残り10秒…完璧だ。」


すると教壇にいた女性が、声を張り上げて言った。


「何が完璧だ!!だいぶ問題だぞ。」


僕はその言葉に純粋な疑問を抱いた。

確か教師の名前は鈴木伽耶(すずきかや)だった気がする。


「何か問題行動がありましたか、鈴木伽耶先生?窓も割っていませんし、誰も怪我をしていません。そして僕は遅刻せずに登校しました。その他に僕が何かしましたでしょうか?」


早口でまくし立てる。

すると鈴木先生は、反論できる材料がなかったのか口を噤む。

さらに僕はその話題を潰すために、別の話題を出す。


「そんなことより鈴木先生、ホームルーム時刻になっています。早く進めてください。」


そんな僕の学びたいという熱意に屈したのか、渋々という雰囲気を出しながらも教壇の上で話し出す。

僕はそんな中、この学校に通うことになった経緯を振り返る。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


<2ヶ月前>


VIPがよく使いそうなマンションの最上階に僕たちはいた。

僕たちというのは、六星天座序列1位である凶禍のメンバーのことだ。


厄神である僕こと、久神静夢。

鬼皇こと、白永凛(しらながりん)

死剣こと、九重透(ここのえとおる)

覇天こと、狩魔雫(かるましずく)の四人だ。


僕と透が男で凛と雫が女だ。

今日俺は定例会議と聞いて集まった。

強さでは僕が一番強いが、凶禍のボスは透である。


僕が部屋に入ると、すでに全員が椅子に鎮座していた。

数秒、沈黙が場を支配する。

灰色の髪に紫の目をしたイケメンである透が口を開く。


「静夢、お前には高校に通ってもらいたい。」


僕は数秒間、驚きで声が出なかった。

そんな僕に追い打ちをかけるように透は言う。


「通ってもらいたい高校は第二異能力者育生高校だ。先に言っておくがこれは任務だから断ることはできない。」


僕はようやく状況を理解する。


「待ってくれ、任務っていってもどんな内容なんだ?」


その疑問に答えたのは、金髪赤眼のかっこいい系の美少女である白永凛だった。


「静夢は最近の能力者事情を知ってる?実は最近、能力者の成長が著しくないらいしの。」


その説明に納得して頷く。


「それと私たちが静夢にこの任務を回した理由だけど、静夢に学校生活を通して愛を知ってほしいの。まだ残ってるんでしょう?あの言葉が。」


そう言われ思い出すのは、消えてしまった三年前以降の記憶の中で唯一残ったもの。


「愛してる。」


その言葉の意味を僕は探している。

その意味を知れば何か変わると思っているから。


「ちなみにいつごろ受験なの?」


そう聞いた直後、僕の内心は絶望に変わっていた。


「今から3時間後くらいに試験開始だったから、あと15分で準備して出ないと駄目だね。」


無事試験には間に合ったが、最後のほうだった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


そんな回想をしていると、鈴木先生が僕の方に向けて何かを投げる。

弾き返すことは簡単だが、僕は普通の生徒だ。


この場合の最適解は…避けるだ!!

首を反らしてチョークを避ける。

鈴木先生も他の生徒も口をあんぐりと開けて驚いている。


僕は無表情で聞く。


「どうしましたか、鈴木先生?」


その瞬間、1-Eにいた全員が同じことを思った。


(こいつだけは敵に回したくねぇー。)


「久神、クラスメイトの自己紹介中に寝るな。あと次はお前だぞ。」


至極真っ当な意見だったため素直に従う。


「僕の名前は久神静夢です。」


「ナチュラルボクっ娘…いい。」


変な勘違いをされていたため、間違いを訂正しておく。


「先に言っておきますが僕は男です。」


その日クラスで一番大きな声が出た。


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