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天気と使用用途拡大

7月30日。


ここ数日、天気が悪い。意外だったのは薄曇りでもソーラーパネルでスマホ一台くらいなら充電できるという事だった。だが一方でポータブル電源をに繋いでも10wにも達しないのがもどかしい。大雨でまったく発電できないならきっぱり諦めもつくのだが。


今日もそんな天気の調子で、雲が多めの空を憎々しい視線で見上げる。農家でも無いのに天気に悪態をつく日が来るとは思わなかった。


天気で言えば夏の暑い時間の充電もまた思わぬ障害?があった。自分の買ったソーラーパネルは裏側に小さいボックスがありそこにUSBケーブルを繋げるのだが、気温の高い日の直射日光を浴びると猛烈にボックスも熱くなりケーブル端子も火傷しそうなほど加熱されるのだ。


流石にこれは機器に悪いだろうと思いそのボックスのある部分を日陰にして温度上昇を防いでいる。当たり前の話だがそうすると発電量が下がり効率が悪くなる。


「高熱に強いケーブルってあるんかな」


あったとしても高額の予感がして、私は検索する事さえしなかった。


システムに馴れてくるとより太陽光発電の非効率さが理解できてくる。ほぼ家にいられるリモートワーカーくらいじゃないと十分に使いこなせないのでは無いだろうか。


しかしそれでも私は電力会社に金を払わずにスマホや小型家電を充電できることに悦楽を覚えていた。ここまで来るともう趣味のようなものだ。


釣りやキャンプに行く人に「それ元取れてる?」と言わないのはそれが趣味だからだ。私もこれをそういう扱いにすることにしよう。その方が精神的に良い気がする。


天候のせいでその日充電できなくても、ポータブル電源に50%もプールしておけば三日くらいは充電を担保できる。私はこの50%残すと言うのは割と日常使いと災害対策用とのバランスを取るコツなのではないかと考えていた。


では実際に50%充電するのにかかる時間はという話になるのだが、私の持っている折り畳み式ソーラーパネルだと1時間に10%充電できればいい方である。つまり5時間で50%だ。

もちろん天気が悪ければ充電スピードは低下する。


妙な話と言うか、昨日と同じような晴天に見えても充電効率は倍くらい違うという事はよくあった。また天気は変わらないのに1時間後に半分くらいまで落ちる事もある。角度が悪いのかと思っていろいろ変えても、結局変える前の角度が最適だったというパターンばかりだ。このあたりも素人が太陽光発電にてを出しにくい一因になっている気がしなくもない。とかく現代人は効率を重視し不確定要素を排除したがる。


私は電動ミルをポータブル電源に繋ぎ親戚から押し付けられたコーヒー豆(また増えた)を挽いた。コーヒー一杯分の水を電気ケトルに入れて湯を沸かす。


「このお湯を沸かすのもなんとかできないだろうか」


電気ケトルはすぐお湯が沸かせるという利点がある分、ドライヤーや電子レンジと同じで瞬間的に消費する電力量が高い。残念ながらセールで二万円のポータブル電源ではそういった物は使えないのは承知していた(予算があれば購入したかったが)。


私はふと、一人暮らし用の小さなIH調理機を電気屋で見かけたのを思い出した。あれならこの小さなポータブル電源でも運用できるかもしれない。


ちょうど今日は休みだ。アイスコーヒーを飲み干した私はソーラーパネルを片付けて家電量販店に向かった。


「あったぞ」


いわゆるビルドインでは無い、ホットプレートのように持ち運んでコンセントに差して使うIH調理機のコーナーに辿り着く。よりどりみどり……と言う程では無いがそれなりに選択の幅がある品揃えではある。


家にはガスコンロも電気ケトルもあるため、高性能高価格な商品は除外する。低出力でも使用できてできるだけ安いというのを探していくと、一個だけ条件に会うものが見つかった。


「5000円か」


100wから800wまで段階的に消費電力を変えられる商品だ。あまり安すぎると発火や故障などのリスクも上がるので妥当な金額と判断し購入する。


せっかく外出したので駅前の百貨店の弁当売り場に立ち寄る。


「ヨシ」


崎陽軒の売り場で目当ての物を見つけ小さくガッツポーズをする。買ったのはピラフ弁当だ。普通のシウマイ弁当やチャーハン弁当ももちろん美味しいが私はこれが一番好きだった。しかしピラフ弁当は出荷数が少ないのか売り切れる事も多い。実際この百貨店も一日五個くらいしか入れていない。


小さな幸運を噛み締めつつ自宅に帰った私は早速IH調理機をポータブル電源に繋いだ。湯を沸かすのはコーヒー用の注ぎ口が細いポットを使う。磁石もくっつくし、確かステンレスだったから大丈夫な筈だ。


水を入れたポットを乗せて恐る恐るスイッチを押すと、IHのファンが回りだし加熱が始まった。続いてポータブル電源のファンも回り始める。排熱用のファンが内蔵されているのは知っていたが実際に回るおとを聞くのははじめてだ。


「おいおいマジか」


今までに見たことの無いスピードでメーターの残量が減っていく。五分も経っていないのに10%の電気が無くなった。


「これ、沸騰するまでにどのくらい使うんだ?」


ビビリながらポットの蓋を開けるが沸騰どころか気泡のひとつも見当たらない。ポットの側面を触ると温かさを感じるので加熱しているのは間違いなさそうだが。


結局お湯が沸騰したのは10分後、ポータブル電源の23%の電力が無くなっていた。


(フル充電でコーヒー4杯しか飲めないという事か)


何か物悲しい結果を見せられた気がする。しかし考え方を変えれば停電時にカップラーメンくらいは食べられるという事でもある。徐々に災害対策が強化されているような気分になり、今回の結果をポジティブに受け止める事にした。


以降、不定期更新になります。

新しい感想や使用用途の変更、機材の購入などがあり次第加筆する予定です。

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