ソーラーパネルとポータブル電源を買う
2023年7月15日
私の名は筒賀那邦夫。神奈川県で暮らす会社員(39歳独身)である。
先日、少ないボーナスで前から気になっていたソーラーパネルとポータブル電源を購入した。
先にお断りさせていただくと、私は別に太陽光発電推進派ではない。某大手電力会社が嫌いで、できるだけその会社にお金を払いたくないというのが主な購入動機だ。
とはいえ、ソーラーの事に詳しくない身でいきなり何十万もするパネルと蓄電池を買うほどの豪胆さ(あるいは無謀さ)は持ち合わせておらず、とりあえずアウトレットで半額になっていたポータブル電源(約二万円)と家電量販店においてあったパネル(約三万円)をチョイスした。
ポータブル電源は297wh。容量は約8万mAhでUSBの差し込み口が四つ、コンセントの差し込み口が二つ。ソーラー以外にコンセントと車のシガーソケットから充電可能という物だった。
ソーラーパネルはUSBの出力ポートを三つ持つ物で総発電能力は100w。折り畳みができ取っ手もついているので持ち運びができる。重さも大した事はない。
「さて、やるか」
幸運な事に私の借りているアパートは日当たりがよくそこそこ広いベランダを備えている。時間は朝九時(工場で夜間調整等の仕事をしているため昼前までが私の自由時間だ)。空にはやや小さな雲が漂っているくらいで、晴れていると言っていいだろう。太陽光発電に申し分ない状態のはずだ。
説明書に従いケーブルを繋ぐと、すぐにポータブル電源のメーターがピコピコと動き始めた。
「おおお」
テンションが上がり、つい声が出てしまった。
私は子供の頃からメーターの類が好きだ。自動車の速度計、学校にある温度計、デジタル腕時計の秒を示す四角マス、果ては工事現場にある騒音表示。最初にポータブル電源に興味を持ったのもそのインパネの表示がSF作品の宇宙船やロボットの操縦席のモニターみたいだなと思ったからだった。
だがそんな事の為だけに五万円も投資した訳ではない。しっかり発電できているのか確かめなければ。なにせ初めての本格的な太陽光発電。自分で購入しておいてこんな事を言うのもどうかと思うがこんな黒い板に太陽を当てただけで実用的な量の電気が生まれるのか半信半疑である。
10分ほど見ていたが、発電中である事を示すメーターは動いているが容量の%の数字は変化がない。これは故障なのかパネルの方に問題があるのか、もしくは容量が大きくて1%分も発電できていないのか。
もう一つ気になることがある。インパネの画面に発電のワット数が表示されているのだが30w前後しかない。確かにちらほら小さい雲があるとはいえそんなに低いものだろうか。
「はて、どうしたもんか」
両方とも初めて買ったジャンルの品なので不良品なのかどうかもわからない。メーカーに問い合わせることも考えたが、まずは自分で検証できることをやってみる。
まず、ポータブル電源に繋げているUSBケーブルを抜いてスマホに繋げてみる(このポータブル電源は一般的なタイプと違いUSB-C接続で充電が可能であった)。スマホの充電ランプはすぐ点灯したため、電気が流れてきているのは間違いなさそうだ。
今の残量が48%。ちょっとこのまま様子を見てみよう。その間にソーラーパネルの説明書をもう一度良く読む。
「マジか」
どうやら総出力100wというのは、三つのポートの合計値らしい。一番上のポートがメインで43、あと30と15の出力ができるとの事だった。
三つ合計しても100wに達していないのでは?という疑問はともかく、この仕様については事前に調べておかなかった自分のミスなので諦める。
(つまり43w以上の発電環境になってもメインのUSBポートからは43wまでしか使えないという事か)
それは勿体ない。貧乏性の(そして事実裕福ではない)私は部屋からポケットWi-Fiと充電ケーブルを持ってきて二つ目のポートに繋いだ。
「お、発電しているぞ」
どうやらスマホと二つ繋いでも両方充電できているようだ。これなら災害等で停電してもパネル一枚で複数のスマホを同時に使えるという事になる(一応、災害対策も購入理由に含んでいた)。これはポジティブに受けとる事もできる。
そして三分程度しか繋いでいないがスマホは数%充電されていた。つまりソーラーパネルとこのケーブルはちゃんと働いているという事だ。
「もう少し様子を見てみるか」
私はスマホとポケットWi-Fiをソーラーパネルから外し再びポータブル電源に繋ぎもうしばらく置いておく事にした。
軽く部屋の掃除や仕事道具の整理をし時計を見ると、繋ぎ直してから30分が経過していた。期待を込めてメーターを見に行く。
「んんん?」
やはり蓄電量を示す%のところは数字が変わっていない。
故障なのだろうか。それとも発電量が全然足りていないのだろうか。少し悩んでからメーカーのお問い合わせフォームに使用している機器とスマホは充電できた等の状況を記載し聞いてみることにした。
「ふう」
できるだけ簡潔にまとめるよう努力をしたが、結構長い文章になってしまった。もう昼が近い。パネルやポータブル電源を部屋の中にしまい、私は夜勤のために睡眠を取る事にした。