表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/135

70


 突然僕は、何も分からなくなってしまった。

 まるで、とんでもない熱病に襲われて、一瞬で気を失ったかのような。

 だけど、ついには僕も目を覚ます。

 そして気が付いたのは、自分がもはや潜水服の中にはいないということだった。

 水圧に耐えるため、サイレンライダーの潜水服は金属で作られている。

 頭の部分には、ガラス窓の付いた特大の植木鉢のようなヘルメット。

 でも今の僕はそうではなく、裸ではないけれど、水着素材でできた通常服だけの姿で、コバルトの腕の中に抱きかかえられていたんだ。

「トルク大丈夫か? 生きているか? 何か言え」

 僕が呼吸できるように、コバルトは海面に浮かび上がっている。

 海と波と空と、見回すと遠くにスノーマンの姿をとらえることができた。

「コバルト、何が起こったんだい?」

 珍しいことかもしれないが、コバルトは自嘲気味に笑った。

「偶然だが私たちは、ゴーストとスノーマンの中間にいたらしい。ゴーストが発射した魚雷のひき逃げにあったのだよ」

「ひき逃げって?」

「予告もなく、背後から突然現れた。私はかろうじて逃れたが、お前はドンくさく直撃を受けたのさ」

「ドンくさくないさ。直撃?」

「いや、ドンくさいね。ヘルメットがカボチャのように割れた。お前は生きているのが不思議なくらいさ」

「潜水服は?」

「もはや使用には堪えず、捨てるほかなかった」

「ふうう」

 僕の口からは、ため息とも安心とも、自分でも区別のつかない息が漏れた。

「それでコバルト、魚雷はスノーマンに命中したのかい?」

「ケガの功名だな。お前にぶつかって魚雷の針路がずれ、スノーマンは命拾いさ」

「じゃあ海面にペイントを流さないと」

「それはそうだが、問題がある」

「どんな?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ