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66(第4部 大爆発)


 いつものように僕とコバルトは、基地の長いトンネルを抜けて出かけた。

 晴れた波の静かな日で、コバルトは機嫌がよく、鼻歌を歌っているのがかすかに聞こえる。

 コバルトはよく歌を口ずさんだが、サイレンの国の歌なのか、僕が知っているメロディだったことは一度もない。

 だけど、どこか懐かしさを感じる不思議な曲ばかりなのだ。

 僕は黙りこくっていたのではないが、口を開くタイミングを計っていたのは事実だ。

 僕が口を開けば、きっとコバルトは機嫌を悪くするだろう。それが心配だった。

 だが、いつまでも黙ってはいられない。やがて前方には、いつもの沈没船の姿がぼんやりと見え始めた。

「コバルト、ちょっと話がある」

「どうした? 今日はリリーは来ないのか?」

「来ないよ。今日からは当分、新人サイレンの訓練教官になるんだってさ」

「そうかい」

 リリーの処遇については、コバルトは関心がなさそうだ。いかにも聞き流している。

 そこへ僕の次のセリフ、

「あんたと僕は、今からゴースト退治に参加するんだよ」

 コバルトの片方の眉が、バネ仕掛けのようにピクンと上がった。

「ゴースト? ということは、前回の作戦では撃ち漏らしたのか。まあ、そうだろうな」

「だから今回は、古い駆逐艦をオトリに使っておびき寄せて、そこへ空から爆雷の雨を降らせるんだって」

「なんとまあ、大げさで物入りなことだな…。だが待て。ゴーストが接近したことを、誰がその駆逐艦に警告するのだね?」

「駆逐艦スノーマンだってさ。ここからがすごいところだよ…」

 と僕は口を開いたが、説明を続けるとコバルトがどんな顔をするか、ちょっと楽しみでもあった。


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