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 敵潜水艦がついに速度を落としたのが、ほぼ半日後のこと。

 僕はつい居眠りをしていたが、

「おいこら、仕事中に寝る軍人があるか!」

 とコバルトが優しく揺り起こしてくれたのだ。

 おかげでヘルメットの中であちこちぶつけ、僕の額はズキズキしている。

 でも耳を澄ませると、確かにモーター音が小さくなり、潜水艦は浮上する気配を見せているじゃないか。

 距離をとって待ち構えると、潜水艦がゆっくりと浮上を始めたので、僕がどれだけドキドキしたことか。

「ここはどこ? 港じゃないよね?」

 いかにも呆れた顔で、コバルトは口から息をゴボッと大きく吹き出した。

「寝ぼけ頭を振って、よく見ろ。港ではないが、まわり中が船だらけではないか」

「ちょっとごめんよ」

「やれやれ、お前はまた私の柔肌にクツの跡をつけるのか」

 僕はコバルトの肩の上に立ち上がって、波の上にそっと頭を出してみたんだ。

 波の穏やかな日で、日はとっくに暮れ、星の多い晴れた夜空が頭上に広がっている。

 だが静かな夜ではない。

 この潜水艦だけでなく、周囲はいくつものエンジン音で満ち、海上は時ならぬ混雑を見せていたんだ。

 もう一度見回し、意外さに僕は口をあんぐりと開けた。

 大洋の中央にサンゴ礁があり、これを目印に集合しているのは間違いない。

 でも月光に照らされた鉄のシルエットが遠く近く、いくつも波の上に影を落としている。

 なんのことはない。

 僕は巨大な敵艦隊の真ん中にいた。

 日本の連合艦隊だ。


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