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「それで、悪いニュースが2つだって?」

 本人は気づいていないが、コバルトは深みのある実にいい声をしている。僕は耳にするだけで気持ちがよかった。

「どっちのニュースから聞きたい?」

「どちらでも」

「じゃあ日本の話をしよう。日本軍が飛ばしている戦闘機のことは知ってるよね?」

「ジークのことか?」

「そうそれ。正式名称が分からなくて、アメリカ軍が適当につけた名前だけどね。こいつの性能が抜きんでていて、海軍も空軍も苦労してる」

「格闘戦が特にうまいと聞いたが」

「そうらしい。弱点を探るための研究をしたいのだけど、とにかく1機でも実物が手に入らないことには手の付けようがない。だから『遺棄された機体を海上で発見した場合には傷をつけず、万難を排して持ち帰れ』という命令が海軍全体に出た」

「そうかい?」

 どうもまだコバルトは、話の行き先が読めていないようだ。僕が表情をのぞき込むと、リンゴほどもある青い目玉で、じろりと見つめ返してきた。

「それでね、今から数時間前、海面に浮いている1機が発見された。パイロットの姿はなく、不時着したらしい」

「ならば、それを拾い上げればよいではないか」

「だけど沈んでしまった。場所はここから200キロ南方。水深は1000メートル内外と推定される」

 ゆっくりとだが前進を続けていたコバルトの尾が、ピタリと停止してしまった。

「まさかお前、私にそれを取りに行けというのではあるまいな。私は落し物係ではないぞ」

「そういう命令が出ちゃったんだよ。さっき中隊長から言われた。今日のパトロールは中止だよ」


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