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 やがて、青い水中を進む黒く長い影が、遠く前方に浮かび上がることになった。

 だがまだ形ははっきりせず、僕の目には、潜水艦なのだかクジラなのだか区別もつかない。

「あれかい?」

 聴覚だけでなく、サイレンは視力も非常に発達している。

「間違いなく潜水艦だ。モーター音が聞こえる。潜水しているということは、多少は周囲を警戒しているのだろう。合衆国の潜水艦なら浮上したまま、ディ-ゼルエンジンをガンガン鳴らして進むはずだからな」

「これは手柄ものかもね。あいつは海岸へ接近しようとしてるよ」

「日本人め、どうせ立ち小便でもしたくなったのさ」

 コバルトの機嫌には関係なく、初手柄を夢見て僕の気分は高まったが、結論に飛びつくわけにはいかない。

 合衆国のものか日本国のものか、まず潜水艦の種類をはっきり見分けなくてはならないのだ。

「ねえコバルト、魚雷発射管の数を数えてよ」

「お前の仕事だろうが」

「僕にはまだ見えないよ」

「正面に近寄ってやるから、自分の指で数えろ」

 実はコバルトとは、彼女の本名ではなかった。

 わが合衆国とは一応の協力関係にあるものの、どこでどうヘソを曲げたのか、

「人間なんぞに私の本名を教えてやれるものか」

 と本人が頑張るものだから、仕方なく海軍はあだ名をつけた。それが瞳の色からコバルト。


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