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「ねえコバルト、あの潜水艦の艦名が分かるかい?」

「それは無理だな。船体には何も書かれていない……。だが名無しでは不便だ。お前が適当に名付けるといい」

 僕はしばらく考えた。

「ホットドッグ」

 コバルトは笑い、

「腹がすいたのか? だが食事をする暇などないから、タコのように自分の指でもかじっておいで」

 このころには、ホットドッグはもう完全に真南を向いていた。

 パールハーバーを離れ、そのまま元来た道を戻ってゆくのだ。

「それでコバルト、どこの誰が僕を嫌ってるって?」

「ツンドラ提督ではないか?」

「ツンドラ?」

「ゴーストを葬り去るはずの作戦は、お前のせいで大失敗……」

「僕のせいじゃないよ」

「それはわかっているが、ツンドラはそう思っているのさ。次は私にスパイの濡れ衣を着せようとしたが、これまたうまく行かなかった。ツンドラにとって、お前と私は、親の仇よりも憎いに違いない」

 それは、なるほどと思えなくもない。コバルトの言う通りかもしれない。

「だけど、それとホットドッグがどう関係するんだい?」

「現在ホットドッグは潜航中で、動力はもちろん電池とモーター。ディーゼルエンジンは停止している。この状態の潜水艦は音が小さく、サイレンの耳でも探知は難しい」

「そういう往復を、ホットドッグは四角環礁とパールハーバーの間で繰り返しているのかい? 何のために?」

「何のため?」

 首を曲げて僕をまっすぐに見つめ、コバルトは嬉しそうにニヤリとした。あれはもう完全に悪女の顔だったよ。


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