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 リリーの言うとおりであれば、ここは知る者とてない海の真っただ中。小さなサンゴ礁の一角で、しかも洞窟の中だ。

 死んだ気になって泳いで、たとえ一時はリリーの目を逃れて洞窟から脱出しても、その先がいけない。僕の力だけでは、サンゴ礁を離れることさえできないじゃないか。

 これはまずい…。

 ところが状況は、まったく予想を外れた方向へ走り出した。このとき洞窟の中に、ある声が突然大きく響いたのだ。

「これは何だ? お前たちの愛の巣か?」

 話し手の姿を求めて、僕とリリーはキョロキョロと見まわした。

 誰の声だろう?

 それどころか、あまりに耳慣れたその話しぶりに『そんなんじゃないよ』と僕はとっさに言い返そうとしたぐらいだ。  

 でも僕の口からは、どんな言葉も出てこなかった。僕はそれほど驚いていたのだろう。

 僕の目玉は、きっとゴルフボールのように大きくなっていたに違いない。

「コバルト!」

 そばの水面が突然ザザッと泡立ち、水が割れたかと思うと、その姿が見えた。

 そこには、もちろんコバルトがいた。すねた子供みたいな顔をして、僕を見てニヤリと笑っているんだ。

 見たところコバルトに異常はなく、負傷しているようにも見えない。


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