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「じゃあクイズを出すよ。『朝は4本足。昼は2本足……』」

 だけどコバルトは、最後まで言わせてもくれなかった。

「その答えは『人間の一生』だ」

「……」

 考えてみれば、コバルトのような読書家が、こんなに有名な話を知らないわけがない。

 コバルトは楽しそうにフフフと笑い、

「また私の勝ちだな。ボガート大佐は、さらに一歩地獄へ近づいたぞ」

「ねえコバルト、本当に見殺しにする気かい?」

「相棒をコケにされたのだ。黙っていられるものか」

「だけど、僕がいいって言うんだから……」

「お前の言葉でも、これだけは従えないよ」

「ああそう?」

 この時の僕の声の調子に、コバルトも何かを感じ取ったかもしれない。僕に注意を向けたことが感じられた。

「何をやらかすつもりだね、トルク? ジャンケンとクイズの次は、あやとりか?」

 この瞬間、水中に響き始めた音がある。ゴボゴボという激しい泡の音だ。

「トルク、何をしている?」

 水中の泡には、実は超音波を乱す作用がある。

 だから、いくら優れたコバルトの聴覚からも死角になったに違いない。

「それは何の音だ? どこから空気を出している?」

「さあ、どこだろうねえ? 僕の手が一番届きやすいと言えば、やっぱり解放レバーだよねえ。それを半開きにした」

 解放レバーというのは、ヘルメットを一瞬で押し開けて、僕が潜水服の中から緊急脱出するときに使うものだ。

 コバルトの声に緊張が走ったことが、はっきりと感じられた。


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