かつては栄華を誇った場所。
エドガーは心が張り裂けそうな思いで言葉を漏らす。
「こいつは酷い……。」
……半日ほど前この事、城壁の門前にて。
「おいおい、どこでこんな上物を拾ってこたんだ?」
門兵が質問する。
「良いだろ?ジジイが運転台から降りたからそのまま頂いたまでよ。」
盗賊が答える。
「荷物を確認する少し待て。」
別の門兵が荷台を確認し始める。
「おい、何か良い匂いがするが何を乗せてたんだ?」
門兵が尋ねる
「そう言えば荷台に商人の女が乗ってた様な……。」
盗賊が答える。
荷台の隅で幌を被りやり過ごすつもりがやはり見つかってしまう。
バサッ
「おいおい上玉じゃ無いか」
荷台を確認していた門兵に見つかってしまう。
「きゃっ」
メアリーが思わず声を出してしまう。
「これはこれは……へへっ、お頭から褒美が貰えそうだ。」
盗賊が運転台でニヤつきながら手綱を引く。
「門を開け!」
門兵が内側に合図を送る。
城壁内に城の面影はない瓦礫の山が積み重なり沢山の建材が朽ちて所狭しと落ちている。
盗賊達は一部開けた所と瓦礫と持ち堪えた建物を利用して屋根がわりに使っている。
馬車が瓦礫の城跡へ運ばれる。
瓦礫の城跡には盗賊のごろつきが野営している。
ホールの階段だった奥からお頭が現れる。
「おい、荷馬車じゃないか、そろそろ欲しいとは思ってた所だ、どいつだ手に入れたのは!」
運転台から降りてくるなり名乗りをあげる盗賊。
「私めでございます。荷台に女もおります。」
誇らしげにニヤける。
「ほぉ、売り物まで連れてくるとはお前には褒美を取らさねばな、また考えておこう。」
顎に指を掛け何やら考えている。
「どれ、女と言ったが……ふむ、育ちのいいのは商品になるが、育ってないのもいるのか、小さいのは地下牢にでも入れておけ、育てる余裕なんぞ無いからな。」
二人は分けられてしまう。
「リタちゃん大丈夫かなぁ…。」
メアリーは自分の身のことよりリタの事を心配している。
メアリーに手枷が掛けられる。
逃げ出さないためだった。
「何するのよ、どこへ連れて行くつもり?」
盗賊たちに見張られながら檻に放り込まれる。
檻の中にはメアリーと同じくらいの女の子が5人ほど俯いて座り込んでいた。
「大人しくしておけ、明日には出発する。その次の朝にはもう別の国だろうよ。」
不適な笑みを浮かべるお喋りな盗賊から話を聞いた。
どうも集められた女の子は売られるかそれとも…。
「小さい子はどうなるの?」
メアリーは勇気を出して聞いてみた。
「地下に連れて行かれれば可哀想に3日も持たんだろうよ」
メアリーは青ざめる。
お喋りな盗賊がその顔を見てより不気味な笑みを浮かべる。
「……クックックッ。」




