電光石火。
まるでイタチの様な動きで屋根から屋根に飛び回り激しい戦いの広場を駆け抜けて夥しい数の岩の破片が飛び散る中をも物ともせず掻い潜る。
城壁を目前にしたその時、目の端に光の乱反射の様な違和感を感じる。
その瞬間に鼻先を掠めるかの様にナイフがエドガーの目の前を通過していく。
大慌てに腰に仕込んでいたナイフを両手に構え辺りの様子を伺う。
「こちらの動きを悟られた……。」
2段階の陽動作戦もタイミングも全て予定であったはず。
こちらの動きを見透かされるとは思ってなかった。
屋根の上で警戒を続けていると背後から忍び寄る嫌な気配を感じたその時、同業者だっと気付く。
建物の影から急に複数の姿を現わす。
見つかってしまっては仕方ない、ココは戦って切り抜けるしか無いと決心するエドガー。
目にも止まらない速さで斬撃が飛ぶ。
年甲斐もなく背丈をも越える双頭の刃に反動を乗せて流れる様に屋根を飛びかけよるジーク。
勢いと回転力を使い刃は敵兵を薙ぎ倒していく。
「よお、間に合った様じゃな。」
ジークが勿体ぶって話しかける。
「うっせなぁ、これからってところだったのによ。」
強がりを言いながらそっぽむく。
ジークが双頭の刃を軽く回して構えに入る。
「ココは任せよ。 お主には期待しておる。」
ジークはニッコリ笑う。
「あぁ、死ぬなよ。」
エドガーがそれを見て茶化す。
「抜かせ、ワシを誰じゃと思っておる。」
エドガーはそれを聞き軽く笑いの表情を浮かべ路地に降りた。
屋根の上でも戦闘が予想される以上はコースの変更を余儀なくされる。
ココは元々城下町。
地下からのルートに切り替える事に。
「暑っ!なんだよ、水路に水は無いし中は灼熱地獄だし……。」
マリィの魔法陣の影響で地下の地脈周辺の火属性の魔石が活性化して地下道は灼熱地獄になっていた。
暑ささえ我慢すれば敵兵も居ないただの通路となっている、ただし閉鎖された空間では暑さがかなり辛い。
ようやく水路から城の地下に続く道へと入って来た。
流石にこの灼熱地獄を退路にはできないと心で嘆きながら前に進む。
城の地下には牢屋が幾つか存在した。
鉄格子で閉じられた謎部屋の中には弱り果てた冒険者や連れ去られた人などが収容されていた。
ただ管理は行き届かず押し込んであると言うのが正しく衛生状態どろこか健康状態も怪しい。
見るに耐えない光景を目の当たりにしていた。




