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忘れられし都の錬金術師。  作者: 暁
人情と人肌の暖かさは癒しのひと時
22/61

旅の恥はお湯に流すに限る。

「ただいま、お客さん連れて来たぞ」

農夫が勢いよくドアを開けての第一声だった。

「なんだい、藪から棒に外をフラついて帰ってきたと思えば…」

奥さんが顔を出す。

「あら可愛らしいお客さんだわね。」

奥さんが農夫を睨み付けて言い放つ。

「可哀想に泥だらけじゃないの…アンタ風呂の用意してあげなよ、お客さん連れてくるならもっと早めに行って欲しいものだわ。」

風呂は家の裏手にあるらしく一度外へ出て脱衣所に通される。

リタはフロがわからなかった。

いつも汗は拭うだけしかして来ていない、文化が無かったのだ。

メアリーは泥だらけなので脱衣所が汚れると申し訳ないと外でローブとレギンスを脱ぎ溜めてあった樽から水を拝借して少し泥を落とす事に。

建物の影から声がする。

「風呂沸いたからはいっていいぞ」

そう言って農夫は立ち去る。

リタも倣って足首あたりまでの泥を洗い流す。

身体が冷えて来たのでお風呂をいただく事に。

脱衣所でまごつくリタを見かねたメアリーがお手伝いする。

人前で肌を晒すことが少なかったので抵抗がある様だ。

促されるがまま服を脱ぎ浴室へ向かう。

人の家の勝手はわからないので片っ端から使ってみる。

泡立つ石があったので沢山泡を作ってから身体を洗う。

泥は泡に包まれ上手く取れた様だった。

髪の毛もギシギシしていたのが少しサラッとした気がする。

リタがもう一つ石を見つける何やら良い香りがする。

多分奥さんの泡立つ石なのだろう。

気が引けるからそっと棚へ返す。

「リタちゃん良い匂いしない?」

勘付かれる…。

流石、変な才能を発揮させる。

良い香りのも混ぜて洗いっこしようと誘ってくる…。

洗いっこってなんだと首を傾げる。

リタは突然メアリーに抱きつかれされるがままに綺麗さっぱり洗われてしまった。

そのまま湯船に放り込まれる。

メアリーは入念に泥を洗い落とし続いて湯船にへ。

無言の時間が過ぎる。

「リタちゃん余りお喋りしないね。」

唐突な話題を持ちかけられる。

やはり沈黙が続く。

「無理言ってごめんね、コレから農夫さんたちとお話しになるからその前に少しお話しできたらと思ったけど…。」

気を使わせてしまった。

でもこんな時はお姉さんの様で頼もしい。


程なくして奥さんが引き戸越しから声をかける。

「タオルと服を用意したから着てちょうだい。私のお古でごめんね。」

湯船を上がり脱衣所へ。

脱ぎ散らかした服がカゴに畳まれ別のカゴには体を拭くタオルと大きめの服がそれぞれ用意されていた。

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