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忘れられし都の錬金術師。  作者: 暁
人情と人肌の暖かさは癒しのひと時
21/61

方々彷徨う。

リタはメアリーと共に王都は向かう道を進んでいるはずだった。

メアリーの方向音痴は素晴らしくとんでもない道や川や魔物とも出会える才能を持っていた。

街道にはいつ着くのだろう…。

そんな気持ちを抱くのも仕方がない。

そして不安は的中する。

平原がいつしか葦が生い茂る湿地帯に変わる。

一体どこを目指しているのか道なき道を突き進むと背後に何やら気配を感じる。

葦は背が高く周囲の警戒は難しく足元も良くない。

ココで襲撃には会いたくないなどと考えていたら案の定。

「お〜い、アンタたちどこに行くんだ?」

突然背後から声がする。

ビク付く二人を他所に話し始める。

「そっちは深くなってるからやめた方がいいぞ」

振り向くと気を利かせて追いかけてきてくれた地元の農夫さんだった。

せっかくなので話しかける。

「道に迷ったのですが王都への道を教えてください。」

それを聞いて呆気に取られる農夫が一転、笑い出した。

「そうだったのか、ならもっと早く声をかけりゃよかったなぁ…悪い悪い。」

警戒心が解け二人は安堵した。

ホッとしたのも束の間、和む空気を破る様な悲鳴が走る。

「うんぎゃっ」

メアリーが泥濘に足を取られ深みに倒れ込む。

「もうすぐ日暮だ、家に寄ってかないか?かぁちゃんの飯でも食ってけ。」

お言葉に甘えて寄せてもらう事に。

全身泥塗れになったメアリーを連れて湿地帯を引き返す。

暫く歩くと煙突から煙の上がる家が目に飛び込む。

近づくに連れて良い香りが鼻を掠める。

「…グルグルグル。」

思わずお腹が反応して答える。

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