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第五十一話 旅の終わり

リュウと私は王様のお城に戻ったけど

王様とリュウが二人で話したので、

私はその間にまた肖像画を観賞した。

そこにいたのは、あの無愛想な使用人だった。


「この肖像画を描いた人は、他にも絵を描いていますか?」


「当然」


「どんな絵か見せてもらえますか?」


「なぜ」


「私は画家を目指したいと思うからです」


「勉強したいという事ですか。では許可をもらえるか聞いてみましょう」


私が将来の目標を言ったら、感じ悪かったその人の態度が急に親切になったから私は驚いた。

そういうもの?

相手の態度が変わるとか、予想できないし。

だけど、とりあえず今はありがたい。


しばらく待っていると誰か連れてきた。


「先生本人が案内してくれますよ」


嬉しそうに言う。

いつの間にか私側の見方になってるし。


連れてこられた人物は、王様やルナのおばさんの

肖像画を描いたその人だった。


で、その日から私は、先生に絵の描き方を教えてもらうことになったのだ。

あれから十年経った今も先生には、年に数回挨拶に行く。


そんななりゆきから、私は王都に住むことになった。

それで、翌日にはカーラとセーラに会いに行ったし

3日でベリーも見つけた。


3人とも


「どうしてグレンがここにいるの?」


と言ったけど、また会えるねと喜んでくれた。

友達とも思っていなかったのに、なんで私は

彼らに会いに行ったんだろう?

会いたかったわけではなかったのだ。


だけど、この街で私が知っている人といえば

絵の先生の他には彼らしかいなかった。

私はその場しのぎのやりかたで、寂しさを紛らせてしまったのかもしれない。


リュウはどうしたかって?

私は絵のことで頭がいっぱいになっていたから

彼の話をあまり聞いていなかった。

でも大丈夫。リュウは予定通り、ライが死んだあのお城で領主をやることになったから。

どこに住んでいるかわかるから安心だし、なにより

どういうわけか時々彼の噂が王都にも流れてきた。


どこどこの新しい領主があんなことをした、こんなことをした、って。

明らかに嘘とわかる噂もあったけど。

他の領主の噂なんて聞いたことがなかった。つまり彼はなぜか人気があったんだ。


領主の妻に憧れる女性もいた。

びっくりだよね。

リュウと別れたあと、私は

ぜったい3年以内に結婚したい、と思っていた。

リュウに迎えにこられたら嫌だから。


彼のことは嫌いではない。

でも私は、領主と結婚したくなかった。

身分の高い正妻がいて、ほかにも妻がいるかもしれない領主とはとくに。


だけど私は結婚しなくて、3年が過ぎたころ

ひやひやした。

リュウから手紙が来たら嫌だな。

でも結婚したって嘘をつくのも嫌だし。


そうしたら、何の連絡もなかった。

ほっとした。

このまま忘れて欲しい、私は画家として平穏に暮らしたいと思った。


それなのに彼は私のことを忘れていなかった。

私もベリーも、カーラとセーラも覚えていた。

自分のアトリエを持ったとき私はリュウにそれを

教えなかったけど、あれから十年後、彼はここに来た。



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