第五十話 真相はわからない
私はこっそり、お城の門の中に戻った。
リュウたちがどこにいるかわからないけど
日も暮れてきたし、たぶん建物の中だろう。
私は気をつけながら庭園に回った。
ライがもし誰かを殺していたら
きっと庭園に死体を隠すんじゃないか?
埋められるし、草で隠せそうだし。
運が良ければ何か見つかるかも。
私は穴を掘った跡がないか念入りに探した。
けれど、不自然なところは見当たらなかった。
そのうち辺りが暗くなってきて、これ以上探しても無駄に思えた。
お城の中で寝られたら楽だろうけど、私は建物の中に入らないことにした。
こんな広い建物に入ったら迷いそうだし、寝ているときにとつぜんライが現れて殺されたら嫌だ。
リュウとはちあわせて、不審者と間違われて殴られても困るし。
もちろん、外なら安全なわけではないけどね。
そういえばライの他に、本当に誰もいないって保証はないんだ…。
でも晴れていてよかった。
星明かりで、多少のものは見える。
眠れなくてもいいから物陰に座って休もうと思って、私は建物に沿って歩いた。
すると一頭の馬がつながれているのを見つけた。
ライは馬を持っていないと思う。これは領主の馬?それとも…
いろんなことが考えられる。
いやだ。いやな感じしかしない。
馬を驚かせないように、私はもと来た道を戻った。
そのとき、入り口の近くで大きな物音がした。
ドン、ガタン、という音だ。
私は早足で入り口に近付いた。
壁の陰からこっそり覗いていると
扉が開いてリュウが出てきた。
「リュウ!大丈夫?」
私は駆け寄った。
「あ、グレン。戻ってたんだ」
「うん。近所でリサーチしたよ。みんなこのお城はおかしいって言ってる」
私が言うとリュウはため息をついて
「ライに自殺されちゃったんだ」
と言った。
「え?」
「最初、ライは僕を殺そうとした。
部屋と通路を利用して、僕のうしろにまわろうとしてたんだ。だけど僕はこっそり彼のあとをつけた」
「阻止したんだね」
「うん。彼は振り返らなかったからね。
僕たち、もといた場所に戻ってしまった。
僕が笑ったら、ライも少し落ち着いた。
それから、ここで何があったのか僕は追及しようとしたんだ。ライは少し話してくれたけど、話の途中で怒り出した」
「残念だね。
彼は何を話してくれた?」
「領主は2年前に病死してたことと、そのとき領主の親戚に連絡をするために出かけた人たちが誰も帰ってこないことと、お城に残った人たちの間で、領主が生きているふりをするかどうか意見の食い違いが出て、けんかになったこと」
「そうなんだ。
じゃ何故、今ライ一人しかいないの?」
「うん。
おそらく殺し合いをしてしまったのだろうけど、それを話してくれなかった。
彼はまた僕を殺そうとして、今度は飛びかかって失敗した」
「当たり前だよね。リュウのほうが強そうだもん」
「まあね。
だけど彼はその勢いで自分の首を切ってしまったんだ」
リュウは悲しそうな声でそれを話した。
「グレン、僕は王様のお城に戻らなきゃいけない。報告しなきゃ。
グレンは一緒に来てくれる?」
「いくよ。他に用もないし」
私たちは外屋根の下で眠った。
翌朝、なぜリュウがお城の中で寝ようと言わなかったのかわかった。
エントランス近くにライの死体が倒れ、大量の血が床にたまっていたのだ。
明るいときでないと、血を踏まずに歩くことはできなそうだった。




