第四十九話 リサーチ
リュウが戻るまで、なにもしないで待つなんてもったいない。
私は近所の人に話を聞いてみることにした。
だけどお城の隣が町じゃないから人が少ない。しばらく歩いてようやく荷物を持ったおじさんを見つけた。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
「ちょっと聞きたいんですけど、最近あちらのお城にお客さんが来てませんでしたか?」
「うーん、誰か来たかもしれないね」
「それって何日か前ですよね。馬に乗った人」
「いつだったかな。誰か探してるの?」
「いや、お城の人に用があったんですけど、手伝いの人しかいなくて話が通じなかったんで」
「あ、そう」
「お城から、みなさんどこかへ出かけてしまいましたかね?」
「出かけたか知らないけど、たくさんの人が出たり入ったりしていたのは、2年位前までかな」
「そうですか。困りましたね。
さっき馬に乗った人が来たか聞きましたが
その人が帰るのを見ましたか?
どっちに向かったか、とか」
「いやー、わからない」
「そうですか。忙しいところありがとうございました」
「うーん、わからなくてごめんね」
私は警戒されて当然。一から十まで教えてもらえるとは思ってない。
だけど少しは面白い情報をもらえた。この2年は、お城にたくさんの人は出入りしていないのだ。そしてそれは、以前とは違うことなのだ。
2年前に何かがあった。その前後から、領主は病気だか不在だか、もしかしたら死んでいるってことだ。
私は畑のほうに向かった。
畑に作業中のおばあさんがいたので話しかけた。
「お仕事中ごめんなさい、ちょっと教えてもらえますか?」
「なんですか?」
「お城の人に用があって、さっき寄ったのですが
手伝いの人しかいないんですよ」
「はあ、そうですか」
「急ぎの用で困ってまして。
みなさんどこかへお出かけですかね?行き先を知っていそうな人は誰でしょうか?」
「さあ、誰も知らないのではないかしら?
あのお城は、誰もいないのかと思っていましたよ」
「そうなんですか?」
「そうですよ。去年小麦をおさめに持っていったら、受け取る係の人がいなくて。
それでも仕方なく置いて帰りましたけどね。
お友達は持って行かなかったのよ。そうしたら催促もないですもの」
「あー、それはおかしいですね」
「私が置いてきたものは誰かにとられてしまいました。
私より後に行った人が、何も置いてなかったと言っていたから」
「ひどいですね」
「そうよ。一体どうなっているのかしら?こちらが聞きたいわね」
「そうですね。私ももう少し調べてみます」
なんだ、近所の人はみんな、おかしいって気付いてる。
なのにどうして王様に伝わっていないんだろう?
ライがごまかしているから?
手紙を受け取っちゃってるし、ライは王様に対して、領主がいるふりをしているんだ。
リュウも今ごろ私と同じ結論にたどり着いているかな?
広い道をぶらぶら歩いていると
若い女性の二人連れに出会った。
「こんにちわ。あれは誰のお城ですか?」
私が質問すると二人は顔を見合わせた。
「お城に行かないほうがいいですよ」
一人が言った。
「そうなの?」
「行ったら帰ってこれないって。噂」
「えー、怖い」
「前は領主様のお城だったって、聞いたわ」
「そうなの。なんで領主様のお城じゃなくなったの?」
「知らないわ」
「いつの間にか、怖いところになっちゃったってこと?」
「たぶん」
もう間違いないじゃない。
領主はいない。
だけど、領主以外の人たちはみんなどこへ行ったの?
行ったら帰ってこられないという噂も気になる。
誰か帰ってこなかった人がいるわけ?
それって、殺されたってこと?
だとするとその人を殺したのはライかもしれない。
私はリュウと早く合流したくて、お城に戻ることにした。




