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第四十七話 謎の人

「のどかないいところだね」


「うん。私たちも怪しまれていないみたいだし、見かける人がみんな優しそう」


「このへんは畑が多いね」


お城に近付くと、リュウはこれから自分が領主になることを意識し出したのか、地域の様子に興味を持ち始めた。


暮らしてみなければ本当のところはわからないけど

なんとなく雰囲気の良い地域でよかった。

ところがお城に着くと、なんともいえない不穏な暗さがあって、私は気味悪く感じた。


「なんだろう、お城に来たら急に不気味ね。

リュウは何か感じない?」


「わからない。

建物が大きいから威圧感があるかな?

そういえば、王様のお城には門番の人がいたけど

ここにはいないね。そういうものなのかな?」


「たしかに。もし留守とかトラブルだったら嫌ね。

さっきすれ違った人に、お城の様子を聞いてみればよかった」


「とりあえず入ってみようか」


門は閉じていたが、リュウが片手で押したらすぐに開いた。


「留守ではないね。留守ならきっと、開かないようにしておくよ」


「そうね」


私たちはお城の入り口に向かう小道を歩いた。


不気味な感じは相変わらずで、私は門が閉まらないように全開にしてロープでくくっておきたい気持ちだったけど、警戒心をむき出しにしすぎると信用を失ってしまうと思ったから、やめておいた。


私はなにげないふりをしてあたりを見回した。

お城の窓からこちらを矢などで狙っている人がいないか?横から飛び出してくる人がいないか?

ときどき後ろも振り返ったけど、誰もいなかった。


入り口の扉をリュウが叩いた。

しばらくたって、人が現れた。


「よかった、留守かと思いました」


リュウが言うとその人は


「お約束の方でしょうか?」


と言った。


「僕はリュウといいます。王様の紹介で来ました」


「ああ、お待ちしておりました」


嬉しくもなさそうにその人は言った。


「ありがとうございます、もうご存知でしたか」


「お手紙を頂きました」


「王様から?」


「はい」


「わぁ早い!いつ受け取りましたか?」


「4日前になりますか、リュウ様は歩いて来られましたね?お手紙は馬で持って来られましたから」


「そうですか。

僕たちも馬を貸してもらえばよかった」


「馬に乗られますか」


「乗れますよ。そうだ、君のことは何て呼べばいいでしょうか?」


「ライと申します」


リュウは楽しそうに談笑しているが、私は

ライと笑って話す気になれなかった。

なんだか嫌な感じがしたし、そもそも

彼は私を無視していた。


「ライは何をする人ですか?」


「書類の整理をしております。まあどうぞ中へ」


リュウについて私も建物の中に入った。


「今日は領主さんに会えますか?

ご挨拶したいし、紹介状を読んで頂きたいです」


「いいえ、このごろお加減が悪いのでお会いになれません」


「それはたいへんだ。どんな具合ですか?」


「ご気分がすぐれません」


「そうですか。

それにしてもここは静かですね。ライの他に誰もいないのですか?」


ライが明らかに詳しく言うことを避けているのに、リュウはストレートな質問を次々する。

私はひやひやした。だけどライは質問に対しては淡々と答えた。


「今日は皆さん出払っています」


「お仕事ですか?」


「じつはご主人様が体調を崩されてから長くなりまして」


「そうでしたか、いつからですか?」


「もう2年は過ぎましたか」


えー?本当?


「それは心配ですね」


「ご主人様の親戚を探しに行くと言って10名ほど出ていきました」


「だから人がいないのですね?」


「それもあります。…着きました。どうぞ、こちらのお部屋をお使いください。

従者の方は休むときは隣の部屋でどうぞ」


あ、私は従者だと思われていたのか。


いやー、それにしてもおかしい。

10人は親戚を探しに行っていて、他の人は出払っている?

書類を扱う人が留守番に残る?


王様からの手紙の内容を知っていたし

もしかしたら、家臣のふりをしているけど

こいつが領主本人ではないか?と私は内心疑った。


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