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第四十話 喧嘩

「僕の故郷に来てくれるのは嬉しいけど、

ベリーは畑作業したことないよね?

急にやるのは大変だよ」


ベリーがリュウの故郷についていくと再び言ったら

リュウは今さらそう言い出した。

もっと早く言えばよかったのに、と私は思ったけど

彼の次の言葉を聞いたら、もしかして計画が変わったからかもしれないと思った。


「それに、王様と話し合った結果、僕は故郷とは

全然別の地域の領主になることにしたんだ。

故郷には一度帰るけど、すぐにまた旅立つよ」


「え?」


私たちはお城から出て大通りを歩いているところだったけど、立ち止まった。


金銀を乗せたら漁師さんに借りた台車の車軸が

重みで折れてしまったので、仕方なく鉄製の

戦車にできそうな台車をもらってそれに乗せた。


ぼろぼろの台車だったから壊しても

漁師さんには怒られなさそうだったけど

海で鉄はすぐ錆びそうだから、この

新しい台車を返しても喜ばないかもしれない。


台車の前をリュウが引いて、ベリーと

私とカーラ、セーラが後ろから押していた。


リュウが故郷じゃない地域の領主になるとは

私はちょっと納得できなかった。

それって、ただ貴族になるってことじゃない。


「故郷を良くする話は?」


私は台車の横から顔を出して聞いた。

リュウは振り返った。


「その問題は、僕じゃなくて今まで通りの領主さんが解決することになったよ」


「じゃ、あんたは何をするの?」


「僕は、後継者がいなくて困ってる高齢の領主さんのあとを継ぎに行くんだよ」


「え?そうなの?

そんなことになったの?…あんた何者?」


「普通の人だよ。ただしドラゴンの卵を見つけた人の子孫だ」


いつもそうやってはぐらかされる。

今度こそ問い詰めたいけど、大通りで話すことではないと思ったからあきらめた。

私はそれよりもリュウの命を心配した。


「それ…騙されてない?貧乏くじって言うか。

行きたい人がいないところに、ちょうどいいカモが来たって。

どうせ誰がやっても失敗するとか、殺されそうとか。

殺されてもいい人を待っていたのかもよ」


すると彼は驚くわけでもなく苦笑した。


「心配しすぎだよ。

そうかもしれないけど、僕はやることにしたんだ。

グレンも、行くところがないなら手伝ってよ」


さらっと答えて、リュウは再び台車を引いて歩き出した。

するとベリーが怒り出した。


「リュウ、ちょっと待って。

あたしが、あなたについていくって言ったの。

あたしは、あなたの行き先に行くのではなくて

あなたと一緒に生きていくって言ったのよ。

理解してくれてると思ったのに」


「理解したし、来ちゃ駄目だなんて言ってないよ」


リュウは言った。


「踊り子が領主の奥さんになってもいいんじゃない?

慣れればつらくなくなると思うよ。

普通の暮らしをやめたくないなら村にいてもいいんだよ。僕にそっくりな兄弟もいるし。

だけどそのときは、村の生活に合わせてもらわなきゃいけない」


「ひどい!こんなひどい人だと思わなかった」


私はベリーの顔を見た。

とても怒っていた。


その時、タイミング悪くルナが合流したので

リュウとベリーの話は途切れた。


「会見どうだったかしら?うまくいったみたいですね」


喧嘩に気付かないルナが言った。

まあいいか。

ベリーはきっと漁師さんに台車を返すときまでには、本当にリュウのあとを追いかけるかもう一度よく考えるだろう。


「あのさ、今だから言うけど」


私はルナに言った。


「ルナ、あんたお姫様でしょ。

肖像画、赤いドレスを着たやつね、本当にそっくりだった」


すると私以外の全員がびっくりして立ち止まった。



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