第三十九話 肖像画
私たちはお茶を飲みながらリュウを待った。
「リュウは何の話をしてるんだろね」
「さあ?難しい話じゃないかしら」
「あいつ何者?」
「あたしは知らないわよ。本人に聞けば?」
ベリーの態度はむかつく。さらにむかつくことに
カーラとセーラが相変わらず私をパパと呼ぶ。
だけど、こいつらとももうすぐお別れだ。
ベリーはリュウの故郷についていくって言うし
カーラとセーラは街の魔法使いの弟子になるんだ。
一緒に旅してきたけど、私にとって
仲間と思えるのは結局リュウだけかも。
ちょっと残念だけど、他はただの道連れかな。
「グレンはこれからどうするの?
今のうちに決めておいたほうがいいんじゃない?」
ベリーが言った。
そんなこと、私もわかってる。
お金だけもらって終わりじゃ、わざわざ
お城に来て王様に会った意味がないって。
だけど私は正直、お金に困らないなら仕事なんてしたくない。
故郷には帰りたくないし、街も好きなわけじゃない。
世界を旅するとしても、目的のない旅はイヤ。
いろんな生き方が私は嫌いだけど、嫌いな中から
どれかを選ばなきゃいけないだけ。
「なんとかなるよ」
私は言った。
それよりも早くルナに会って、肖像画の絵が
本人にそっくりだと伝えてやりたかった。
そわそわしてきた私は席をたって、お城で
なんか知らないけど働いてるっぽい人に話しかけた。
「さっき肖像画を見かけましたが、もう一度
見せてもらっていいですか?」
「なぜ?」
その人はとても感じ悪く答えたけど、私は平気だった。
「王様の肖像画がとてもそっくりだったので」
とっさにその場をとりつくろうと
その人は少し機嫌を良くして絵の場所に
案内してくれた。
「この人たちはお母さんと娘ですか?」
私はその人を勝手に、案内係として使うことにした。
ところが
「とんでもない、なんてことを!」
私の一つ目の質問に、その人は早くも怒り出した。
「違いましたか、じゃ誰です?」
「なんて失礼な!黙って拝見しなさい」
私は肩をすくめた。
絵について、より良く理解したいと思っただけなのに。
仕方ないから黙って観賞した。
黙って観賞しても私はじゅうぶん楽しめた。
世の中に肖像画というものがあることは知っていたけど、こんなにそっくりでしかもそれが単なる似顔絵ではなく作品として完成していることに、私は感動した。
「これを描いたのは誰ですか?」
私は自然に質問していた。
「あなたには関係ないでしょう」
王様たちのためだけの、専門の画家がいるのだろうと私は思った。




