第三十八話 王様と魔術師
リュウが毛布をめくってみせて後を続けた。
「これは昔ドラゴンが持っていた秘宝でしたが
いつのことか、海に沈んだのです。
そして村に伝わる伝説の通りの場所で僕たちは
これを見つけました」
伝説についても、今回のいきさつについても
どちらもかなり省略しているが
まあそんなものだろう、と私は思った。
大きな珠は、彼が毛布で念入りに磨いたおかげで
白く輝いていた。
「それは面白い」
声がして、王様らしい人物がゆったりと姿を現した。
威厳はあるが、とても機嫌が良さそうだから
私はほっとした。
王様は横にいる人物に指示を出して
5人の高齢の男女を連れて来させた。
彼らは珠に触ったり手をかざしたりして
何やらヒソヒソ相談した。
そして最も高齢と思われる老人が
「これはドラゴンの卵ですな」
と言った。
えーっ!卵?宝石じゃないのか?
びっくりしたけど、そう言われてみると
そんな気もする。
「面白い。孵るかね?」
と王様が言った。
「もうすぐ孵ります」
「わしにも世話できるかね?」
「孵ったときの姿によってそれは決まります」
「では買おうじゃないか」
やった!買ってくれる!
でもちょっと寂しい。
どんなドラゴンが産まれるのか私も見てみたかった。
王様は私たちに向いて
「いくら欲しいのかね?」
と言った。
リュウが答えた。
「これは値段をつけようがありません。
僕たちの提案はこうです。
まず、この毛布で包めるだけの金銀を下さい。仲間と、海底から引き上げるのを手伝ってくれた漁師に配るためです。
次に、僕に領主の地位を下さい。故郷を良くしたいからです。
最後に、この二人の子どもを優れた魔術師の弟子にして下さい。旅の途中で偶然出会った孤児ですが、魔法ができます」
「ふむ」
王様は少し眉を上げた。
のんびり屋だと思っていたリュウが
順序良く話をするから私は驚いた。
王様はリュウに向かって軽く頷いた。
「毛布で包める量の金銀、これは問題ない。このあとすぐ与えよう。
領主の話は難しいが、もう少し詳しく聞かせてもらおう。
その前に魔術師だ。子どもたちはどの程度の魔法ができるのかね?」
王様の言葉を受けて、5人のうち優しそうなお婆さんが笑顔で双子に近付いた。
「私たち5人はみんな魔術師なのよ。
あなたたちができる魔法を私に見せてごらん」
カーラとセーラは素直に
火の玉と水の玉を作ってみせた。
「他にできる魔法はある?」
二人は首を横に振った。
するとお婆さんは
「もしかしたら街の魔法使いさんに
教えてもらったほうがいいかもしれないわよ。
いい人を紹介してあげましょうね」
と優しく言った。
王様も頷いている。
そうか、二人の魔法は大魔術師の弟子になれるほどの才能ではないのか。
何も教わっていないだろうに魔法が使えてすごい、と思ったけどなぁ。
お婆さんたちは子どものころから、もっといろいろな魔法ができたのだろうか。想像もつかない。
さてリュウは一人で王様と面談することになった。
他のメンバーは、ゆっくりできる部屋で
待たされることになった。




