第二十六話 教会
だいぶ夕陽が赤くなってきたころ
やっと建物の前にきた。
「ついたー」
「教会ー」
カーラとセーラは大喜びだ。
だけど、その建物は教会っぽくなかった。
麓から見えていたのは崩れかけた砦だった。
近くで見て驚いた。これが教会に見えたのか。
その近くに木造の小屋が二つと、小さな畑。
民家か?
教会にもいろんな種類があるのかもしれないけど
これはおかしいと思った。
よくわからないけど、私はくたくただ。
神父さんとやらに交渉を持ちかける体力が
残っているだろうか…。
「こんにちは。
この辺に教会があるって聞いたんですけど、知ってますか?」
ちょうど建物の外におじさんが出てきたので
私は話しかけた。
「教会?」
「そうです。そこの村の人が言ってました」
おじさんは首をひねって
「ちょっとわからないな」
と言った。やっぱりここは教会ではなかった。
でも親切な人で
「他の人に聞いてみるよ」
と建物の中に戻っていき、しばらくして
やせた僧侶と言えなくもない人を連れてきた。
「それはここのことですね」
その人は言った。
「村の人はそういう言い方をすることもあるようですから」
「そうですか。ここは本当は何なのですか?」
「共同生活の場みたいなものです。
どうぞ良かったら入ってください」
私たちは小屋のひとつに案内された。
そこには10人ぐらいの男女が
それぞれの毛布を敷いて
寝そべったり座ったりしていた。
「この人たちは病人ですか?」
私が小声で質問すると、
「病気の療養をされている方もいらっしゃいますけれど、旅の方などいろいろですよ」
と僧侶っぽい人は答えた。
「実は、後から私の仲間が三人来るはずなんです」
「三人ですか、かまいませんよ」
「というか、ここに神父さんがいると聞いたから来てしまったのですが」
「神父さん?ああ、師匠のことですね。
村の人たちは師匠のことをなかなか理解できないようだから。
でも君たち、今から山を下りたら夜になってしまうよ。今晩はここに泊まりなさい」
師匠の話をしたらその人は急に態度が横柄になった。
なんだか感じが悪いけど、他に行くところがない。私は
「じゃあ、そうさせてもらいます」
と答えた。
「ところで、あなたはここに住んでいる人ですか?」
「そうですよ」
「師匠には会えますか?」
私が質問すると、僧侶改め住人は嫌そうな顔をした。
「なぜ?」
「病人を村で助けてもらおうとしたら、神父さんのお告げのせいで助けられないみたいな感じのことを言われたんですよ」
「そんなはずはない」
「でもそうなんですよ。
ちなみに、ここに連れてきたら治療してもらえますかね?」
「病人を山の上まで?」
「仲間が今、そいつを連れてここに向かってるはずなんですよ」
住人は驚いた様子で、正気か?と呟いた。




