第十七話 執念深い子ども
「グレン、だいじょうぶ?」
落ち着きを取り戻したベリーが少し離れたところから言った。
「大丈夫じゃないよ。
なんだこいつら」
私は服のすそにつかまっている子どもたちを振り払った。
「私はあんたらのパパじゃないぞ。
残念ながら人違いだな。
わかったらさっさと行け」
それなのに。
なのに!
「パパ助けてー」
「助けてー」
ガキ二人は執念深く寄ってきた。
「ダメダメ。
私たちは大事な旅の途中なんだから。
知らない人の相手をして遊ぶ時間はないの!
帰れ帰れ」
ようやく振り切って、宿の受付に急ぐ。
さっさと部屋をとって移動した。
「まだいるよ」
ロビーを振り返ってリュウが言った。
「ばか。振り返るな!
付け込まれるぞ」
「ごめん…」
私たちは部屋に入った。
荷物を置いてゆっくりする。
ふと、窓の外を眺めながら
ベリーがムカつくことを言い出した。
「ねえグレン、あなたがあの子たちの
パパじゃないことはわかりきっているけど、
なんだか似てたわね」
「似てないよ。ひどいな」
「ううん、私が言いたいのは
あなたって、もしかして
あの子たちと同じような環境で
育ったんじゃなくて?」
「いや違うね」
「それは、あなたは田舎で
あの子たちは都会育ちだけど、なんていうか。
どっちもがりがりにやせてるし」
「がりがりで悪かったな」
「そうじゃないの…そうじゃなくて」
するとリュウが
「僕たち仲間だけど、お互いのことを
ぜんぜん知らないね」
と言い出した。
「宝探しの間だけの付き合いかもしれないけど
その宝を換金して一生暮らそうとしてるなら
一生の付き合いと同じだよね」
私は彼が何を言っているのかわからなかったけど
ベリーは
「そうね」
と相づちをうった。
その時、誰かがドアをノックした。
「誰?」
とリュウが言っても返事がない。
私たちは顔を見合わせた。
再びノックされた。
警戒しながら私はドアを開けた。すると
「パパー」
「パパー」
例の子ども二人組だった。
私はそいつらをドアの外に蹴り出してやった。
「ここまでどうやって来たのかしら…?」
ベリーが驚いて言った。
私はドアを押さえながら
「宿の人、おかしいよな。やつらを客室に入れちゃダメだよね!
さっき入り口でもめてたのを見てたくせに」
と怒った。
「そうだね、だけど隙を見て入られたのかもしれない。宿の人が一緒にいないから」
リュウが言った。
「そうか!なるほど。
あいつら、ずる賢そうだもんね。
さっきも宿の入り口に入った瞬間に、タイミングを見計らって飛びついてきたもんね!」
私は二人組に対する怒りがますます
こみ上げてきた。




