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第一話 盗賊

5人が集まったのは10年ぶりだった。

場所は裏通りにある私のアトリエだ。


「グレンは一人が好きだね」


リュウが言った。

そうかもしれない。

それなら私はこいつの何を知っているだろう?


呑気でお人よし…?


そんなやつが10年も領主でいられるわけがない、と私は思った。



私がリュウってやつに出会ったのは、

村外れの、森と街道の間にある寂しい原っぱだった。


それは原っぱとしか言いようがない所で

畑でもなく、ろくな木も生えていなかった。

そこに一本の細い道が通っていた。


その日、私はいつものように森へ出かけた。

大きな森だろうと思うが、それがどんな森かなんて事に俺は興味がない。


どうせ私は、決まった範囲にしか入らない。

自分で言うのもおかしいけれど案外、まじめだから。


私が森に行く目的は食べ物だ。


猿みたいに木登りして

たいして中身も入ってない

うまくもない木の実を取って食い、


川に行って熊みたいに

じーっと水面を覗き込んで

チョロチョロ泳いできた小さい魚を

やっとつかまえて、焼いて食べた。


腹いっぱいにならないまま

日が落ちる前に私は寝ぐらに帰った。

ひと眠りして体を休めると、あたりは薄暗くなっていた。


私はナイフを持って盗賊がよく出るあたりに向った。


弱そうな盗賊がいれば金目のものを奪うし、

ある程度以上の強さの盗賊がいたら

そいつらが通りがかりの人を襲おうとしている後ろから近づいて、ポケットや荷車の中の金目のものを擦る。


隙がなかったら仕方なく我慢して待ち、

おこぼれが無いか様子を見る。


それが、その頃の私の生活だった。

私は盗賊が嫌いだから、少しでも奴らの取り分を減らしてやりたかった。


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