転職とはある意味生まれ変わり+1
「ようこそ異世界へ。私の名前はアンゲルス。天使の一人でございます。私が貴方の転移担当者となりました短い間ですがよろしくお願いしますね!」
身長130センチくらいの女の子で見た目は子供ぽいが職業案内をしているくらいだから18は超えているはずだ。見た目かなり若い中学生くらいに見える。綺麗な金髪に緑の瞳、そして謎の白い羽をつけたコスチューム。
「あの、なぜコスプレを?」
「はい?私は天使ですよ。あのほらよく女神様とかが異世界転生させてくれるじゃないですか?今回は私天使のアンゲルスが担当します」
「いや、意味わかんないっす。異世界転生とか女神様とか常識のように語られてもちょっと…っていうかなんで俺ここにいるんですかね?さっきまで部屋にいたはずじゃ?」
いや、マジでやばいところに来ちまったかもしれん。なんだこの状況、いきなり知らない場所で知らないコスプレ女と対話とか怖すぎる。てかめっちゃこの部屋白い。まじであたり何もないんだがそういう洗脳するための部屋があるって前ブラック企業の先輩から聞いたことあるぞ。
「え!ええとすいません?普通わかりません?異世界転移したらこうな感じって?」
「え?だからわかんないっす?ちょ家に帰してもらってもいいですかね?」
やばい、やばいやばい。たぶん目の前の女の子は洗脳されている。まずは穏便に帰って警察に通報しよう。こちとらようやくホワイトなライフが待ってるっていうのにこんなヤバげな場所で人生終わりたくねえ。
「あの異世界転生物の小説とか読んだことありません?あ、あと帰るのは無理ですよ?」
「読んだことないです。てかこちとらブラック企業に五年間勤め上げ俗世のことなんてほぼほぼ知らないですよ」
なんだ異世界転生ものって?この子の宗教かなんかの教本かなんかか?待て、そんな事よりも今帰れないとか言わなかったか?
やばい隙を見て逃げねえと。
「あのですね、ここから出たい気持ちはわかりましたがもう貴方は元の世界に帰ることはできません。求人票にちゃんと書いてありましたよね?思い出してください。」
くそここから出ようにもこの白い空間ドアがねえ。元の世界に帰る事ができないって?そんな事書いてなかったぞ…なかったはずだ。いや待てよ、確か勤務地は物凄く遠い場所になるみたいなことは書いてあった気がする。
「あのですね!確かに俺も地元愛なんて別にないんで転勤ありだぜなんて思ってOKしましたが国外どころが地球外転勤なんて聞いたことありませんよ!?」
おいおいこの茶番も終わってくれ、早く解放してくれ頼むから。
「あ〜あのですね、我々の業界ではこれは常識なんですよ。それに私が今まで担当してきた方は全員すんなり理解してましたからね。貴方が特殊なケースなのはわかりました。少し上に連絡取るので待っていてください。」
やばい、本格的にやばいかもしれない。なんか俺がやばい客みたいな扱いを受けている気がする。そういえばニュースで最近異世界ものが流行っているとかなんとか見ていた記憶がある気がする。
最近は異世界に転職するのが当たり前になっているのだろうか?とりあえず現状は受け入れていくしかないだろう。前向きになろう。もう疲労と理解できないこの現状にパニックになっているその時、白い空間の奥の方にある宝箱?のようなものが目に入った。
「なんだこれ?」
近づいてみてみると、数十個近い宝箱がある。木製で金銀財宝が入っているような海賊のそれを連想させる作りだ。
「見るだけなら構わないだろ。まぁまずはこの1番豪華そうなやつから開けてみるか。」
10個の宝箱はそれぞれ宝石や竜の形などの装飾がされていて、その中でも一際存在感のある宝箱にだんだん手が引き寄せられていく。
空けてみると何やら紙が入っていた。なんだって?
(アイテムガチャ:レア度★★★★★★★★★★)
という紙が入ってた。手に取った瞬間ちょうど、見た目は可愛い洗脳されっ子が帰ってきた。
「ただいま戻りました。えっとですね、いろいろな説明があるんですがまず貴方は少し特殊なケースでして特別に特典のレア度を上げて抽選させていただきます」
えへんどうですか?嬉しいですか?ってドヤ顔してる顔は可愛いです。けど特典とかマジで怪しい宗教感出て怖いんだが。
「その特典っていうのはどんなもんなんですか?」
「それはですね、スキルと言ってこれから貴方が冒険する中で大活躍するものですよ」
どうやら俺の持っているスキルを紹介する時が来たらしい。
「俺は、プログラミングに簿記などの事務所理系から写真家検定1級などさまざまなスキルを持ってますよ」
そう、これは唯一あのブラックな会社に感謝している事だ。スキルの多様性、仕事中に様々な経験を積む中で色々な資格を取らされた。他方な仕事に使えるものから趣味にしか使えないようなものまで持っているのだ。ドヤ。
「あの〜気持ち良くなってるとこすいません、そういうスキルじゃないんです」
え、気持ち良くなってすいません。ていうか何が違うんすか?え?
「スキルというのはですね、魔法や剣による攻撃から回復まで様ざものがあります。」
魔法や剣なるほどまるでゲームじゃん。高校生くらいまではよくゲームをしてたがなんだ擬似VR RPGみたいなイメージでいれいいのか?
「ほうほうそれで?」
「お!ようやく前向きになってくれましたね!偉い子です!どんどん説明していきますよ〜」
「偉い子って年下の女の子に言われるとなんかむず痒いな」
見た目的に15歳くらいに言われる大人としては気恥ずかしいぜ。
「?いえ私は貴方よりずっとずっと年上ですよ?」
はて?この子は何を言っているんだろう。ああそうかこの子自称天使だったな。
「そうだね。ごめんねお姉さん!」
「ちょっと可哀想な子を見る目はやめてください。もう、せっかくいい子になってきたと思ったのに勘違いでしたね。」
ぷいっと顔を背けてしまう自称天使ちゃん。年相応で案外可愛いじゃないかしょうがないここは俺が一歩引いてやるか。
「いや俺が悪かったです。なるべくいい子でいるようにしますよ」
「はい。協力的な姿勢はプラス点です!ではええとそうでしたスキルについてもう少し詳しく説明しますね!スキルは生まれつき持って生まれるものともう一つ特別な方法で手に入れる事ができます」
なんだがすごい勿体ぶるな。おそらくそれがさっき言ってた特典なんだろうな。
「なんかその異世界とやら世知辛いですね。生まれた時からスキルが違うってけっこうゲームバランスおかしくないかですか?」
さっき補足説明であったがスキルにもランクがあるらしい。
「それは貴方のもといた世界でもそうなのでは?顔や体格才能そんなに変わりませんよ。世界は残酷でもあり、慈悲にも溢れているのですよ」
おお、急に天使っぽいこと言い始めたな。さっきまで天使の名を自称するただの職場案内人だから天使?ってなってたけどお兄さん今感動しちゃった。
「それで、そのもう一つの特別な方法とは?」
「ええ、それは今回の特典でもあるスクロールです。スクロールと呼ばれる紙はスキルが封印されていて使用者がスキルを得ることができるのです!」
なんだか見覚えがあるぞそれ。
「そして今回は特別に普通なら完全ランダムなスキルを★★★以上確定にして差し上げます。これはですね冒険していく上でこれが有ればかなり食いっぱぐれないって言うスキルですから将来が安定しますよ。」
やっぱりその★見たことあるわ。
「では早速スキルを贈呈しましょう!」
うきうきな自称天使ちゃん、まずい。このタイミングは非常にまずい。しかし言わなければならないのだ。ええいままよ。
「天使様。ご報告があります。この哀れな罪人の質問と罪を許してはいただけないでしょうか?」
両膝を突き、拝むように両手に挟んだ紙をクシャリと丸ながら俺は罪を告白する。
「え〜なんですか?急に辞めてくださいって私天使って言ってもまだまだ下級なんですから〜!もうでもそんなに真摯に言われては仕方ありません!罪を告白しなさい。そして、その罪を大いなる慈悲で許しましょう。」
よし!言質は取ったぜ!
「私のだこの手に持っている紙がだいぶ前から徐々に光り輝いております。どうすれば良いでしょうか?」
そう言って、おそらく抽選で選ばれるかもしれなかった一つの紙を両手で掲げて上げる。
「え?えーとそれはスクロール?え?なんでどうして持ってるんですか?」
さっきまでの尊厳な態度の天使はそこにはいなくまるで新人のようにあたふたしている。
「天使ちゃんの後ろをご覧ください」
俺は指で指して俺の罪を伝える。
自称天使ちゃんが後ろを恐る恐る振り返ると
「あーーー!悪い子!宝箱が空いてる!?」
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数十分後、やつれた表情の天使ちゃんがぶっきらぼうに言い放つ。
「さっきいい子にするって言ったばっかじゃないですか?」
「それは罪を犯した後ですよ」
そう、そう言った後は特に問題は起こしてないはずだ。
「これは天界の転移法令に違反する行為ですよ。最悪魂の消失まで考えられる事案です。」
おいおいおい。待て待て待て、そんなこと聞いてないぞなんだよ魂の消失って天使ってより悪魔じゃねえか?
「待ってくれよ天使ちゃん?さっき大いなる慈悲でその罪を許そうって言ってたぜ?天使の言葉ってのはそんなに軽いもんなんですかね?」
ここは押し切るしかない。
「ぐぅ!それは言いましたがことの大きさが、」
「事の大きさ!?言ってしまえば天使ちゃんが何も言わずににどっか行ったのが悪いんじゃないっすかね?あんな宝箱有れば男なら誰だって開けちゃうよ!」
「ぐぅううそれはそうですけど、確かに上に確認取る前に伝えるべきでした。」
よし!いけるぞ!押し切れ俺!
「今回のこと抽選でこのスクロールが当たったことにすればいいじゃないですか?ほらそうすれば、天使ちゃんの責任にもならないし、俺もなんか良さげなスキルゲットできてWIN-WINな関係ですよ!」
「それはできません!これは私の責任なので上に事情をお伝えしてきます。」
おいおい、天使ちゃん一人に責任負わせるのは流石に後味悪すぎる。
「責任なら俺も一緒に取るんでもう一回やり直せないですかね?スキル返すとか?」
「いえ、それはもう無理です。スクロールは光始めるともう使用開始状態なのでもう既に取り返せる状態ではありません。
でも責任一緒に取ってくれるって言う言葉は嬉しかったですよ。上に伝えてきます…あ、絶対動かないでくださいよ。」
それから間も無く天使ちゃんがまた帰ってくるとなんか色々変わっていた。
先ずは、コスプレ状態ではなくなっている。状態で表すなら翼が消え豪華な衣装も消えただ本当に15歳くらいの美少女になってしまったという事だ。
「あの、天使ちゃん何がどうなったか聞いてもいい?」
「あ、もう天使じゃないんで普通にアンゲルスでいいですよ。あっ天使じゃないからアンゲルスでもないですね。はは…。」
やばい完全に天使じゃなくなったらしい。それになんかじゃっかん病んでるくさいぞこの子。
「お兄ちゃん責任取ってくれるって言ってましたよね?」
やばい、嫌な気しかしない問答だかここは答えるしかないじゃん。
ていうかさっきこの子自分の方が年上とか言ってなかったか?
「うん。言いました。」
「私、天使やめさせられて下界に降りることになりました。一緒に着いてくのでよろしくお願いします。」
まじか、知り合いが一緒にいるって俺的には心強いな。まじ申し訳ない気持ちはあるが助かるぞ。
「一緒に転職頑張ろうぜ」
「うん。よろしくねお兄ちゃん」
俺は人生で転職は生まれわることのように感じるって思ってたけどもと天使ちゃんは文字通り生まれ変わっちゃったな。
こうして、元自称天使で歳上のお姉さんで今は妹みたいな元アンゲルスと俺は下界に降り立ち事になった。