⭕ 夜の墓場で、かくれんぼ 5
「 ディープ…なんですか? 」
「 えぇ、オカルトはかなりディープよ。
ユタク君、オカルトの世界へいらっしゃ〜〜い♥ 」
「 …………心の底からお断りしたいです… 」
「 えぇ〜〜〜、鬼狐もユタク君を気に入ってるのにぃ〜〜 」
「 …………妖かしに気に入られても困るんですけど…。
だけど…どうしてサユタ達が呪術返りを受けたんですか?
サユタ達が誰かを呪ったって事ですか? 」
「 そゆこと〜〜。
でもねぇ、実は呪術返りだけが原因じゃないのよね 」
「 他にも原因があるんですか? 」
「 彼等はねぇ、既に呪われていたのよ。
呪われてるのに呪術返りなんか受けちゃうから、あんな酷たらしい無惨な目に遭ったの 」
「 サユタ達が呪われていたって……、どうしてですか? 」
「 さぁね〜〜。
それはアタシにも分からないわよ。
アタシは呪術者じゃないもの 」
「 それなら、どうしてサユタ達が “ 呪われてる ” って分かったんですか? 」
「 鬼狐が教えてくれたからよ。
彼等が誰を呪ったのかは知らないけど、呪術は失敗して──、彼等は呪術返りに遭った。
呪いと呪術返りが反発し合って、怪奇が起きてしまったのね…。
鬼狐が教えてくれたわよ、彼等は墓場で怪異の被害に遭ったってね 」
「 …………怪異が犯人だから、警察には捕まえられない…。
じゃあ、この事を警察に話さないと! 」
「 ユタク君、警察は頭でっかちでプライドの塊だから、オカルトなんて信じないわよ。
『 怪異が犯人だから逮捕は出来ない 』なんて言ったって、笑われて門前払いされるだけよ。
馬鹿にされて頭の病院を紹介されちゃうわ 」
「 え…そんな…… 」
「 それに遺族だって納得しないわよ。
『 あなた達の息子さん達は呪われていて、誰かを呪った失敗で呪術返りに遭って、墓場で怪異の起こした怪奇に殺されました。怪異は人間じゃないので逮捕なんて出来ません。諦めてください 』なんて遺族を前にして言える? 」
「 …………言え…ない……と思います… 」
「 警察は捕まえられない犯人を探し続ける事になるわね。
それだけじゃなくて、この男子高校生殺害事件は未解決事件として捜査は打ち切られるわよ 」
「 ………………そんな事って…… 」
「 これが事件の真相よ。
怪異が相手じゃあ、天下の警察もお手上げ〜〜〜ってね!
こんな事件はゴロゴロあるわよ。
ふふふ…。
オカルトってディープでしょ♥ 」
「 ………………僕…オカルトには関わりたくないです… 」
「 何言ってるの?
ユタク君は既に胸までどっぷりオカルトにハマってるのよ 」
「 え゛ぇぇぇええええっ!?
そんなの嘘ですよねぇ!! 」
「 嘘なんて言わないわよ。
さっきも言ったでしょ。
ユタク君は鬼狐に気に入られてるから♥ 」
「 …………僕は旅館を継ぐ跡取りなんですよ〜〜。
オカルトに関わるなんて……嫌なのに… 」
「 残念でしたぁ〜〜。
大丈夫よ〜〜、ユタク君は旅館を継ぐ必要なんて無いから。
旅館は別の人が継いでくれるわよ❇ 」
「 …………どういう事ですか… 」
「 さぁねぇ…。
鬼狐が教えてくれるのぉん♥ 」
「 もうっ、40歳なんですから、可愛子ぶらないでください! 」
「 可愛子ぶってないわよ〜〜 」
「 ──あっ、ユタク君。
パフェお代わりするわね〜〜 」
「 ちょっ──、有明古さん!!
僕のお小遣いを減らさないでくださいよ!!
もうっ…… 」
ユタクは追加注文をしたパフェを美味しそうに食べている有明古を両頬を膨らませて睨み付けるのだった。
「 あぁ、そうそう…。
お墓でねぇ、絶っ対したらいけない遊びがあるのよ。
ユタク君は知ってる? 」
「 知るわけないじゃないですか…。
大体、普通はお墓で遊ばないでしょう。
罰当たりになるんでしょ? 」
「 それがねぇ、最近の子供は “ 罰当たり ” が何なのか知らないしみたいなのよねぇ。
だから──、お墓で肝試ししたり、人様の大事な家墓を乱暴に蹴り倒したり、墓石にスプレーで落書きしたり、墓石に立ちションしたり、罰当たりな事も平気でしちゃうのよ! 」
「 た…立ち……(////)
幾ら何でも…それは── 」
「 まぁね〜〜、罰当たりな事は色々あるけど、断トツで1番やったらアウトなのが、“ かくれんぼ ” よ 」
「 はい?
“ かくれんぼ ” ……ですか? 」
「 そうよ!
墓場や墓地で “ かくれんぼ ” をする事は、禁じられてるの。
世界共通で “ 禁じられた遊び ” って言われているの 」
「 …………それ、本当何ですか?
どうして “ かくれんぼ ” がいけないんですか? 」
「 連れて逝かれちゃうのよ。
肉体から霊魂を離れさせる為に霊魂の器でもある身体を痛め付けて壊しちゃうの。
2度と使えないようにね。
器を壊された霊魂
「 …………何
「 さぁね。
それは分からないわ。
でもね、これも怪異の仕業なのよ。
墓場や墓地でする “ かくれんぼ ” は一種の呪われた儀式ね 」
「 呪われた儀式…… 」
「 だから、ユタク君は墓場や墓地で “ かくれんぼ ” に誘われても受けちゃ駄目よ。
ちゃんと断らないと酷
「 …………頼まれても墓場や墓地で “ かくれんぼ ” なんてしませんよ!
罰当たり──なんでしょ? 」
「 あっはは──、そうね 」
「 …………サユタ達は…墓場で “ かくれんぼ ” をした──って事はないですよね? 」
「 どうかしら?
彼等
「 …………そう、ですよね… 」
「 ユタク君、サンドイッチも追加ね♥ 」
「 はぁぁぁぁっ?!
駄目に決まってるじゃないですか!!
パンケーキ一皿とパフェ2つも食べてサンドイッチですか?!
止
「 ユタク君の分も頼んだから、一緒に食べましょ♪ 」
「 もぅ〜〜〜有
いい加減にしてください!! 」
◎ 訂正しました。
怪奇 ─→ 怪異