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光のユートピア  作者: 小雀日狩
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第1話 理想

「妖夢!」

「日狩?」


妖夢が嬉しそうに返事をする。


「大好きだよ」

「妖夢も、日狩の事大好きだよ!」


ただ純粋にお互いを愛している。


「これからもずっと一緒にいような」

「うん!」


こんな事を言えるのは二人の性別が違うからだろうか。もし同性だったらこの様にはならなかったのだろうか。


「俺の事どう思う?」


でも、二人が出会ったのが運命だとしたら。この理想郷が人生だとしたら。


「日狩は、妖夢にとって…」


この物語が終わる事の無いものだとしたら。きっと僕は…。






「光だよ。」






涙が溢れる。






「おい!」

「はっ!?」

ふと目を開けると見慣れた顔が目に映る。

「何寝てんだよ」

「ごめん、最近疲れてて…」

「今は部活の時間だろ」

「すまん、許して♡」

「何だこいつ」

他愛もない会話で時間が過ぎていく。毎日がこれの繰り返し。

「そう言えば地理楽しいよね!」

「な!まじ地理好き!」

「好きな単語とかある?」

「あるよ!大鑽井盆地w」

「分かるw」

はっきり言って俺は多趣味だ。地理も好きだし歴史も好き。なんせ今は天文部の活動中だからもちろん天文学も好き。軽音楽にも所属してるほど音楽が大好き。あと、ゲームも好き。東方projectって言うシューティングゲームが大好き。キャラも音楽も大好き。

「お前、それw」

「ん?ああ、東方のキャラだよ!」

「名前何て言うの?」

「魂魄妖夢!可愛すぎて癒されるわ〜」

「また二次元かよw」

最近、思う事がある。二次元が馬鹿にされている。実際にはいないだとか言いやがる。オタクなんかも嫌がられる。それだけでモテなくなる。

「別にいいだろ、東方が好きなんだから」

「あ、うん別にいいんだけどね」

俺の友達は良い方だが、世間は二次元に対して厳しい事が多い。でも、俺は幻想郷は存在すると思っている。実際に存在するかは関係無い。存在すると願わなければ存在しなくなる。だから俺は必ずあると信じている。宗教と同じくらい強く。激しく。儚く。

「じゃあね!」

「また明日」

そんな日が毎日繰り返される。現実はつまらなく、退屈。だから人々は理想を追い求める。そう、ユートピア。俺の理想郷は幻想郷だ。東方のキャラがいる幻想郷だ!煙草の煙や排気ガス、公害も法律も無い幻想郷だ!


幻想郷に行きたい。

いや、






幻想郷で生きたい。






寺からの警鐘。

遠くで聞こえる木霊。

夜雀の歌声。

かすかに聞こえるせせらぎ。


ここは…?


幻想郷。


「ここは…?」

「だから、幻想郷だって!」

「わっ!?」

心底驚いて後ろを振り返ると、次元を超えて見知っていた妖精がいた。

「お前、誰だよ!」

「日狩…。小雀日狩」

「こすずめ、ひかり?聞いたことないな」

「え、あ、もしかして、その…」

俺は戸惑いながらも勇気を振り絞って誰なのか尋ねようとした。

「ん?あ、あたい?あたいの名はチルノ!氷の妖精よ!まあこう見えて結構頭良いのよ。最強だからね」


涙が溢れる。


「え、ちょ、ちょっと!いきなり泣いてどうしたのさ!」

「ごめん…。感動して」

「は、感動?」

「俺、チルノの事知ってるよ」

「やっぱりあたいの名を知らない奴なんていないか、だって最強だもんね!」

「違うよ。ずっと前から、ここに来る前から、チルノの事を知っていたんだ」

「お前頭大丈夫か?あたいが永遠亭に連れて行こうか?」

「永遠亭!」

聞き覚えのある言葉を聞く度に、感極まって泣いてしまった。

「わっ!?な、泣くんじゃないよ。誰か助けてー!大ちゃーん!」

そう言ってチルノは俺を置き去りにして遠くに行ってしまった。


心の動揺が隠しきれない。心臓の鼓動が激しい。ここは幻想郷なのか?いや、幻想郷なんだろう。だとしたら嬉しいことじゃないか。ずっと願っていた、幻想郷。でも何故か大きな不安でいっぱいだ。東方のキャラとか言ってた割にはどうやって会うのかすらどうやって仲良くなるかすらも分からない。人間の分際だから人里で大人しく暮らすしかないのだろうか?でも、違う。俺は、皆と理想郷で暮らしたいんだ。そうずっと思ってきたんだ。そして、幻想郷に行けた。本当にありがとうございます、神様。この感謝の気持ちを忘れる事はありません。なんたって、幻想郷は僕にとっての…






光だから。






「師匠ー!」

「人間?」

「はい、霧の湖で倒れていたそうです」

「人間が何でそんな所で倒れる必要があるのかしらね…」

「分かりません」

「まあいいわ、ほらうどんげ。治療の準備をして」

「はい師匠!」






「藍、力を感じるわね」

「力、ですか?」

「式神と言えども感じる事は出来るはずよ」

「すみません紫様…」

「…まあいいわ。藍、私は闇の力が弱まった様に感じるのよ」

「闇、ですか?」

「ええ、つまりどういうことかというと分かる?」

「常闇妖怪が死んだとかですか?」

「死んではいないわ」

「それか、闇に対抗する何かが現れたとかですか?」

「半分当たりね。闇の反対は何?」

「光、ですかね?」

「ふふ、そう思うかしら。私は、光と闇は表裏一体だと思うの。光の力が強まれば闇は弱くなったりしない。かえって強くなるのよ」

「光の妖怪かなんかが現れたのかと思いましたが、そうなると闇の力が弱まる原因の解消には至らない訳ですね」

「そうよ、藍。でも、表裏一体という事は、光の力が闇の力にもなっている可能性もあるわね」

「でもそうすると、闇の力が増幅するのでは?」

「闇は闇でもお互い違う闇だとしたら、拮抗するわ」

「光と闇も違うものなのでは?」

「あくまで可能性の話よ。実際、私には光の力を強く感じるわ。でもそれは闇を打ち消したりはしていない。正しくは闇になった光が闇を打ち消してると見ているわ」

「なるほど…」

「難しい話をしてしまったわね。とにかく、言いたい事は…」






「小雀日狩を殺すのよ。」

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