実験
魔術学園への入学が決まったあと、その場はお開きとなり勇者は用意された部屋のベッドに飛び込んだ。
『疲れた、、』
学園のある帝都への移動を明日に控え部屋で休むようにいわれ今に至るが、1人になると緊張がとけどっと疲れがやってきた。
それにしても勇者か、、そしてここは異世界であるらしい。
そして魔族に魔法。よくグルーシスと会話しているとき、平然と話せたものである。
『言霊か、実際どんな能力なんだろうな、、火よつけ!とか言えばつくの、か、なぁ?!』
枕元の花瓶に刺さった花に向けて手を伸ばしながらそんな事をいうと、ボッと花が燃え始めた。
『え、マジ?!、ってやば!水!水!水!!』
その時想像したのは滝の様な水。そしてどこからともなく想像通りの水が既に消えかかった火を消し去るとこちらにもなだれ込んできた。
ドゴーっとおとをあげ湧き出る水にあたふたしてるとそば付きと紹介されたメイドが飛び込んできて驚愕し、ポカンと口をあけ固まっていた。
そのあと新しい部屋を用意してもらったのは言うまでもない。
『疲れた、、』
さっきのデジャブのように新しく用意されたベットに倒れこむとふと先ほどの事を考えていた。
(本当に喋るだけで火とか水が出てきた。自然や世界の法則に干渉できるとか言ってたよな。もしかして。)
勇者は1つの仮説を考えた。この世界には魔法が存在する。しかし物理法則が無いとは思えない。そして世界に干渉できうるということはもしかすると物理法則にも干渉できるのではないか、と。
火だの水だの出してる時点で既に干渉してるようなものだか、、
しかし思ってしまった以上やってみないと好奇心が収まらなくなってしまった。
『自分よ浮け!』
ふわっと自分が浮いていった。
『おー。浮いた!でもなんか自分よ浮けってカッコ悪いな。』
そんなように他に考え事をするとドスンとベットに落ちた。
そして何度も試行錯誤を繰り返すと1つの法則を導き出した。
その法則とは、発する言葉よりもイメージが重要ということだった。
例えば自分を浮かせようとしたときは自分が浮くのをイメージして言葉を発すればいいのだ。しかし意味のない言葉や、意味の違う言葉ではダメということだ。逆に自分よ浮けと言葉を発しても自分が浮く事をイメージしないと浮く事はなかった。
『フライ』
今ではそんな言葉で宙を浮くことができるようになっていた。
疲れていたのもあるだろうが実験に成功しやり遂げた満足感から睡魔に襲われ浮くことから意識を外し、ベットに降りると睡魔に身を委ねた。