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転生

”帝国は偉大なり”


物心着いてから幾度となく聞き、叫び、何の疑いもなく信じて来た言葉だ。


この言葉を聞くと恐怖を感じるようになったのはあのときからだ。


逃げ惑う民間人ごと街一つを飲み込んだあの業火を見た時から。。。




あるときアジアの島国でブレイクスルーが起きた。電気に支配された世界にとってそれはとてつもない大発明だった。


何と電気を作る事が出来るのだ。


何を当たり前のことを、と思うだろうが文字どうり作るのだ、”無”から。


こんな大発明は初め受け入れられなかった。しかし、翌年その島国は国名を帝国と改め世界に宣戦布告したのだ。


自称帝国は実際に侵略を開始した。しかしまだ世界各国は資源を他国に依存しており、石油が尽き、貿易赤字で疲弊仕切った一国に油断をしていた。


そして3年後ユーラシア大陸は帝国領となった。




戦時中であるため小学校、中学校は軍隊の育成学校となっていた。そんな学校で教育を受ければ言わずもがな、帝国とは誇り高いものであると刷り込まれる。


例にもれず俺も帝国は偉大だと思っていた。


そして戦場で帝国は悪だと知った。


力を持て余した力に溺れる悪だと。


でも抗う力などない自分にはどうすることもできず、ただ流されていった。


逃げ惑う民間人を殺しても吐かなくなった。


罪悪感もなくなった。


殺して、殺して、殺して、、


そして殺される番が自分に回って来た。




酷い人生だった。


過去の出来事が浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。


これがいわゆる走馬灯ってやつなんだろうか。


そして浮かんできたのは、あのときだ。初めての戦場で緊張していたが帝国に貢献できると目を輝かせて降り立った敵国の街、駐在軍を蹴散らしこれから捕虜をとってこの街を占領するのだと思った矢先、上官がこんなことを言い出した。”狩りの時間だ”と。


なにを狩るのかと質問しようとした矢先、街に火の手が上がった。


そして逃げ惑う民間人を慣れた手つきで殺し始めたのだ。


狂気に満ちて殺すもの、無機質にただただ殺すもの、様々だったが誰一人ためらうものはいなかった。


、、、、、


それにしても長い走馬灯だ。このままじゃ物心着いてから死ぬまで行きそうだ。


、、、、、


そして走馬灯の中でも死んだ。


ブラックアウトしてからどれぐらいだっただろうか。


『いや、長いって笑』


声が聞こえた。そう自分の声が聞こえたのだ。


『え、なんで??』


またしても間抜けな自分の声が確かに聞こえた。まるで生きている時のように。


そして気づいた。周りのブラックアウトの黒の質感が変わっていることに。


そして。自分を見ようと”身体”が動き、”手”が見えて確信した。


『、、生きてる、、え、なんで??』


またしても間抜けな声が響き、終わるはずが、新たに音が響いた。


『”勇者様”転生おめでとうございます』と。


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