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目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜  作者: 石化
現代

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第73話 恐怖の大王 急

 

 彗星の破片は尾を引いて落下してくる。



 自衛隊のミサイルと一緒にぶっ放すのが一番いいんだよな。


 偽装できるし。


 俺の上からレーザーを放ったら流石にバレる気がする。



 あと、放射能出ないよね。


 ミトが飲むだけで放射線を消す薬を開発したそうだ。この子有能すぎる。


 明の有能枠が奪われる日も近いかも知れない。


 俺がせっかく作ったあの放射能吸収服の意味がなくなってしまった。

 でも、ルナは気に入ってくれているみたいでずっと着ている。今も制服の中に着てる。

 嬉しい。


 ミトの技能「諜報」により、自衛隊の迎撃予定がわかった。


 それに合わせてせいぜい派手にやろう。


 あとはそうだな。


 やっぱりあれだ。見られちゃまずいので、ここら辺を監視してるカメラを全て映らないようにしたい。


「明、愛。報道対策を頼む。」


「へ?お母さんとおばあちゃん?」


 ミトが驚いている。


 下を見る。


 そこには六人の姿があった。


 なんでもミトの書き置きを発見して心配でやってきたらしい。それはそうだ。


 でも、自分たちでやりたいという意志を尊重して任せることにした。

 だから、俺にだけは知らせても、二人は気づかないようにしていた。輝夜は気づいていたみたいだったけど、気を使って黙っていた。



 だが、流石に偽装工作はミト一人じゃ手が足りない。


 能力のある二人に割り振るべきだ。


「わかりました。」


「お母様と二人なら余裕です。」


 二人は任せろと胸を張った。うん。お前たちならできるさ。


 他の四人は心配そうにしながらも見守る姿勢を崩さない。


 今回の主役は自分たちではないとわかっているのだろう。


「よし、ミトは引き続き情報収集。自衛隊がいつミサイルを撃つのかを調べてくれ。」


「わかった!」


「ルナ。準備はいいか?」


「だいじょーぶ。」


 大丈夫かなあ。ルナだけ不安だ。不思議っ子というか、独特のリズムがある。


 まあ、ルナでダメでも輝夜はいるしな。


「そろそろ、自衛隊ミサイル発射だよ。」


「ルナ、レーザービームだ!」


「がおー!」


 気の抜けた叫び声とともに、紫色のレーザービームが空に向かって放たれる。


 かつて、自衛隊の戦闘機すら撃ち落とした光だ。


 それは、まっすぐに、彗星の欠片へ飛んで貫いた。


 技能「自動迎撃レーダー」は彗星を撃ち落とす今回の出来事を迎撃と判定したのだろう。間違ってはいない。



 ミサイルだけでバラバラになりかけていた彗星のかけらは、駄目押しのレーザー光を受けて、さらに小さくなった。

 ほとんどの小片が大気圏で燃え尽きるサイズのようだ。

 それは花火のように夜空を彩る。


 輝夜の備えは必要なかった。


 ルナがすごいのだろう。


 さすが俺の最大戦力だぜ。昔は輝夜だったけど、今はルナだな。


 えっ? 悔しいから輝夜もレーザービーム覚えるって?


 ⋯⋯体内で核分裂起こさないといけないと思うからやめた方がいいよ。


 放射能で汚染されると死ぬかも知れないし。


 ルナはうまく放射能を進化に使うか、抑えてるかしてるみたいだけど。


 わざわざ死にに行くような真似はしなくていいはずだ。



 なんとか思いとどまらせることができた。よかった。


 ●


 恐怖の大王問題は解決した。


 ということでお祝いに、樹上で宴会をすることになった。


 飲めや歌えやの大騒ぎ。

 愛と明の力で、今この場所はいつもと変わらない光景として映っているはずだ。


 ルナとミトをみんなで褒めた。二人はとっても嬉しそうで、それを見る俺たちも嬉しかった。



 こうして俺たちは、世紀の大予言者、ノストラダムスの大予言に打ち勝つことができたのだった。


 ⋯⋯これが、恐怖の大王じゃなかった仮説を提唱するのはやめにしよう。


 確かに確定してはいないんだけどさ。


 キリがない。


 あれが恐怖の大王だった。閉廷。




 2000年になった。


 何事もなかった。よかった。


 閉廷して大丈夫だったらしい。



 所々で話題になっていたという2000年問題も、結局混乱はなかった。


 なんでもコンピュータが誤作動を起こす可能性があったとか。


 よくわからない。


 近頃の技術進歩についていけていない気がする。


 スマホに近づいているとは思うんだが。


 あれって、いつ開発されたんだろうか。わからない。


 現代知識は人間の頃はあったけど、今は忘れてしまった。


 如何せん木だった期間が長すぎる。


 リハビリしていこう。


 それと言っておかなきゃいけないことがある。


 観光客が増えた。


 バリケードを押さないでほしい。人気者はつらいぜ。



 求めることは一つ。


 もう少し遠巻きにしてほしい。


 神様の土が痛んでいる気がする。


 人の数という名の暴力は恐ろしい。


 愛に言って、何かの解決策を探させることにした。



 えっ? 展望台を作る? 俺の高さに届くように? ついでに電波塔としての役割も持たせる?


 スカイツリーじゃん。何メートルなんだ。634mだった。


 まだ名称はなくて新東京タワーという名前が仮に名付けられていた。


 なるほど、歴史の強制力というのはそういう具合に働くのか。


 一つ賢くなった気分だ。


 俺の横に建つらしい。展望台としての役割を兼ね備えるのなら妥当なところだろう。


 電波塔に関しては俺で遮られないか心配だけど、俺が心配する義理はないか。


 とりあえず今はまだ計画段階みたいだ。


 あと10年ちょっとで俺がこの4000年積み上げてきたものに追いつかれるとあっては複雑なものがあるけど、仕方ないか。人類がよく頑張った。


 さて、これで俺が634mを超えないのはかっこ悪い。


 一番最初からここまでずっとそこが目標だったんだ。最後の追い込み、やってやるさ。





月曜日に発表になりましたが、書籍化します。

読者の皆様の応援のおかげです。

これからもよろしくお願いします

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