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目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜  作者: 石化
現代

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第70話 地下鉄サリン事件

 

「知れば知るほどひどい組織ね。」


「あの尊師とかいう男、捻り潰してええやろか。」


「我慢して。あいつは、情報を集める上で有用だから。」


 銀孤と愛はこそこそと話をしていた。


 二人はオウム真○教に潜入している。


 色々と大変だった。


 やばそうな薬を渡されては修行だから飲めと言われるわ、左道タントライニシエーションと称して性行為を強制されるわ散々だった。


 どちらも物理的に潰したが、その結果、尊師と呼ばれる男は警察の介入を疑い始めている。


 見張りや密告を行わせ、教団内部に疑心暗鬼が広がっていた。


「ちょっとやりすぎたかもね⋯⋯。」


 愛は反省していた。


 興味本位で近づいていいものではなかったようだ。


 洗脳してるし、拷問してるし、変な薬物を作っているみたいだし。


 どう考えてもやばい組織だ。


 証拠を押さえたら、警察に任せた方がいい気がしてくる。


 だが、指導者の男が自慢げに話していた事によると、警察内部にも信者がいるらしい。


 下手に伝えても握りつぶされる可能性がある。


 愛は迷っていた。

 抜け出すか、このまま残るかである。


 情報に関してはこちらにいた方がいいが、そろそろ勘づかれている可能性がある。


 指導者の男はともかく、その周りにいる幹部たちはかなり優秀だ。



 油断して捕まってしまったら目も当てられない。


 愛は決断した。


 情報は独自に集めつつ、銀孤との連絡を取れるようにする。


 彼女は一旦、教団から離れた。


 追っ手が差し向けられたが、やり過ごすことなど愛にとって造作もない。



 呪術「変化」で体を変えられる銀孤はまだ潜入を続けるようだ。


 バレても変化すれば大丈夫である。


 ギリギリの綱渡りだが、まだ疑われはしなかった。


 むしろ密告情報が錯綜して、さらなる不安を産む始末である。



 指導者の男は我慢できなくなった。


 松本にサリンを撒いたあと、警察の捜査は厳しくなっている。


 強制捜査が入るのも時間の問題だ。


 教団の中の謎の人物の噂も彼の不安を増幅させた。



 捜査の混乱を目論むことにした。


 地下鉄に毒ガスを撒くのだ。



 パニックを起こせば、警察も捜査する能力はなくなるだろう。


 無論そんなことはないのだが、今の彼に正常な判断力はなかった。


 幹部の一人に実行の指示を出す。



 三月十八日のことだった。


 幹部はさらに、実行役を集めた。五人である。

5つの地下鉄に撒く計画だった。




 その中の一人に銀孤が化けていた。


 指示を聞く振りをしながら愛に連絡を取る。



 小太郎、輝夜、愛、将門の四人が、迎え撃つことになった。


 あらかじめ、阻止することもできるが、その場合、教団は言い逃れの道を見つけるだろう。


 実行するところを押さえるのが一番いいという判断だった。


 警察にタレコミをして、見張ってもらう。


 将門の重い声が役に立った。


 深刻な調子に子供のいたずらとも思えなかったのだろう。


 各駅に見張りがたてられる。



 銀孤の連絡が来た。それぞれの入場駅が告げられる。


 さらに、服装の情報も。


 マスクをつけ、ビニール傘を持っているという怪しい格好らしい。



 毒物を持っていることは確かだ。危ない。



 とはいえ、大和杉の愉快な仲間たちに捕捉された以上、もうこの計画が成功することはあり得なかった。


 千代田線(代々木上原行)車内。


「技能派生「単体麻痺付与」」


 小太郎の言葉で男は痺れてしまった。


 危なげなく、警官に引き渡す。毒ガスも確認され、警察内にさらなる緊張が走った。


 小太郎は、隙をみて逃げ出した。


 多分、捕捉されてるとは思う。紅毛碧眼は目立つ。


 有名企業の社長と結びつけて考える人は流石にいないだろうが。


 丸ノ内線(荻窪行)車内。


「技能「全体麻痺付与上級」」


 輝夜の言葉でそこにいた全員痺れた。まだ単体麻痺付与はできていないらしい。


 謎の怪現象に誰もが驚く。


 ついでに、とんでもない美少女が怪しげな男の手を捻って確保した。


 乗客の心は一つになった。ああ、映画の撮影なんだなと。


 カメラが見当たらないのには気づかないふりをするのだった。


 こちらも、少しだけトラブルはあったが、無事に確保に成功するのだった。



 日比谷線(東武動物公園行)車内。


 ここは愛が守っている。


 小太郎と輝夜は麻痺付与があったため、安全だった。

 だが、愛にはその技能はない。


 満員電車の中、動くのも困難な状況。


 一番危ないのは愛かもしれない。


 とはいえ、愛も1000年以上第一線で戦ってきた人物だ。


 この程度で止められるはずがない。


 出入り口付近に立つ、実行役の男のそばににじり寄る。


 電車が恵比寿駅に到着した。


 男は、自らの持っている袋を傘で刺そうとした。


 これが噂の薬物だろう。


 そんな簡単な手段で撒くとは思わなかった。


 愛は、驚いてしまう。


 とはいえ、ためらう必要はない。


 技能「房中術」を使用して、触るだけで腰砕けにした。


 急に力が入らなくなった男は戸惑い、手に力を込めるが、傘を押すこともできない。


 そのうちドアが開き、彼は押し出された。


 もちろん愛が、巧みに体を操っている。


 袋は割れず、彼も動けない。


 こうして、この車両でもサリン事件は未然に防がれた。






 日比谷線(中目黒行)車内。


 ここは将門が担当していた。


 彼の持つ技能で現実世界に効果があるのは軍勢召喚のみだ。


 ゾンビなので死ぬことはないだろうが、阻止するのは難しい。


 そこで、将門は驚きの方法を考え出した。


 犯人が乗り込んだ車両を自分の召喚した軍勢で埋めたのである。



 当然、乗り込んでいた人々は不審に思ったが、将門の軍勢は一騎当千のツワモノばかり。


 端的に言って恐ろしげな顔と体をしている。


 聞けるような勇気のある人物は存在しなかった。


 こうして、擬似的に満員電車を作り出す。


 通勤するはずの客も、その凄まじい乗車率を目にして諦めた。


 もともと一人なのに。迷惑である。


 サリンのことでいっぱいいっぱいだった実行役の男は、車内の様子に気づかなかった。



 秋葉原駅にて散布を開始しようとした。だが、周りの乗客に取り押さえられてしまう。

 全員将門の軍勢だ。


 周り全員がなぜか自分を狙ってくる状況はかなりホラーだったようだが、自業自得である。


 少しだけサリンは漏れ出したが、将門には効果がなかった。


 確保に成功する。



 こうして、前代未聞の化学テロ。地下鉄サリン事件は未然に防がれたのであった。


 実行役の男たちは自供した。


 随分前から怪しまれていたオウム真○教についに本格的な捜査の手が伸びる。


 常軌を逸した行動が判明し、サリンを撒くように指示したのが、指導者の男だったことも判明した。



 オウム真○教の幹部たちは軒並み逮捕されることとなった。



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