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目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜  作者: 石化
第四章 近代

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SS 木の切り方

 この俺。大和杉が木の切り方について説明しよう。腐っても林業技術者だからな。それくらいできるさ。


 平野とか外国とかの林業に適した地形のところではハーベスターとか言うショベルカーの変形バージョンみたいなやつで切っているらしい。一回見学したことがあるが、あれはすごかった。ぐいっと掴んで、ヘッドを回せばもう木が切られているんだ。


 その上、木を送って加工しやすいサイズに切断することまでできる。


 俺の担当区もあれが使える環境なら楽だったんだろうが、嘆いても仕方ない。


 上の事情もあったんだろう。なんでも1000万とかするらしいし。



 そんなのは使えない俺たち一般の林業従事者は、チェンソーを使っていた。


 よく殺人鬼が持っているあれだ。

 木になった今となっては文字通り殺人していた気分になって思い出したくない。


 いや、忘れてくれ。木の切り方だったな。


 まず、切り倒す木に目星をつける。


 そして、周りの人々に離れるように言う。


 木はどこに倒れてくるかわからないからな。


 せめて樹高分は離れていてほしい。



 そして、切り倒す方向に受け口を作る。


 基本的に下の方に向かって作るな。


 斜面上に倒れたら滑ると危ない。


 受け口ってのは、三角形の切れ込みだ。

 だいたい直径の三分の一くらいをつける。


 それでも普通の木は倒れたりしない。木ってのは頑丈なんだ。


 そこで今度は反対側に回って、追い口ってのを作る。


 作った受け口の少し上だ。


 そこにまっすぐに切れ込みを入れていく。木屑が吹き出すが我慢する。



 半分くらい切ると木は自分の重みで受け口の方に倒れていく。そんなもんだ。


 この程度の知識は林業に従事する者として当然の常識である。


 S○Oででかい木を切り倒す場面があったが、一方向からしか剣を入れていなかった。


 それで切り倒せるのかとか、切り倒せるとしても自分の方向に倒れる気しかしないぞとか思ってしまった。


 こんなことが気になるのは俺たちくらいだろう。


 まあ、そこは良いんだ。


 あれも俺に匹敵はしないまでも大木だったなと、そう思っただけだ。


 ファンタジーじみた世界だからこそ、できた芸当なんだろう。リゼ○でも白鯨戦で倒してたしな。

 木はもっと自衛してほしい。


 で、言いたいことなんだが。


 もう、俺を切断できるものはないんじゃないだろうか。


 チェンソーで切り倒すにしてもめちゃくちゃでかいのが必要だろうし、他の方法だったとしても個人で倒せるとは思えない。


 国が全力を尽くしたらワンチャンあるかもしれないが、そんな大義名分などでっち上げられるはずがない。


 何より、俺が生えているのは市街地の真っ只中だ。俺を切れば、その分被害が拡大する。


 追い口受け口を作ってもなお、木がどちらに倒れるのかは完璧にはわからない。


 このあたり一帯を全て立ち退かせるでもしない限り、危なくてやっていられないはずだ。


 心配ない。俺が日本国民の不利益となると言う認定をされなければ大丈夫である。



 フラグみたいだけど、絶対に気のせいだ。





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