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目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜  作者: 石化
第一章 古代

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第15話 東下り 

古文は読まなくても大丈夫です。ただ、最後の和歌は頑張ったので見てもらえると嬉しいです。

学校で東下りを習った人は作者と握手



 東下あずまくだり 




 昔、男ありけり。


 その男、身をえう無き者に思ひなして、京にはあらじ東の方に住むべき国求めにとていきけり。


 もとより友とする人、一人二人して、行きけり。


 道知れる人もなくて惑い行きけり。


 から衣 着つつ慣れにし つましあれば 

 はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ


 と詠めりけり。見事な歌なり。


 なほ行き行きて武蔵国と下総国との中に、いと大きなる木あり。


 それを大和杉といふ。


 その木のねもとにむれゐて、思ひやれば限りなく遠くもきにけるかなと、わびあえるに、美しき女、あらわれり。


 楽しく語らふに夜になりけり。


 月を眺めつつひ飽きたり。


 忽ちに紅き髪をした鬼、現れけり。


 逃れんとするもえ起きず。


 しかるに鬼、共にひたり。


 いと楽しき夜なりけり。


 朝になりて、怪しかりけることに女も鬼もなかりけり。


 ただ、徳利の転がるのみ。


 歌


 敷島の 大和に名だたる ひすぎに 

 幻見るとは 思わざりけり



 ———


 なんか、都落ちしてきたみたいな貴族の人が俺の下で酒盛りをしていた。


 一応愛に調べさせたけど、やっぱり都落ちしてきた人たちみたいだ。


 会話がなかなか面白くて、興味深かった。

  多分かなり教養ある人だ。

 和歌とか詠んでるもん。

 自然と出てくるもんじゃないでしょそれ。


 いい感じに盛り上がってたので小太郎にいかせてみた。輝夜はダメ。

 お前の美貌は色々ひどいことを巻き起こす。


 初めは戸惑っていたけど、酒が入って気持ち良くなっていたからだろう。

 すぐに小太郎も打ち解けていた。


 そのまま夜中まで酒盛りしている。楽しそうだ。

 輝夜がいきたそうでウズウズしている。

 いきたいのは俺も同じだよ。


 とりあえず一人になるのは寂しいので輝夜は引き止めた。


 樹液生成などという技能を作り出す羽目になるとは。


 満足そうに飲んでいる。輝夜、それ、俺にもくれない?

 えっ、もともと俺の血? 

 それはそうだけど、美味しそうすぎるんだよ。

 ずるいぞ。


 なんだかんだ、輝夜と二人でいるのも楽しかった。




 朝、貴族たちが起きる前に小太郎たちを撤収させる。

 酔いが見せた幻覚とでも思ってもらおう。



 貴族の一人は六歌仙として有名な在原業平だったようだ。

 俺を詠んだ歌が百人一首に入ったりしたら面白いのにと思う。


 まあ、旅先でのことだしなかなか難しいだろうが。




 そんなこともあったが、概ね平和だった。


 輝夜は小太郎と愛の技能を覚えようとしているらしい。


 成長設定を成長速度upにしていた影響で別の技能でも練習すれば取れるということだった。


 小太郎と愛を固定で生み出したのは失敗だっただろうか。

 いや、あの時はあれが最善だった。

 二人とも今のままで十分役に立ってるしな。


 特に愛なんて、いなかったら俺が立ち行かないぞ。情報は大事だな。


 ところで、房中術は仕込まなくていいからね。輝夜はピュアなままでお願い。


 無言でニッコリ微笑まれた。怖い。最後に生まれたはずなんだけど、妙な迫力がある。


「さすがにそこまではしませんって。」


「安心した。」


「ただし、貸しですからね。」


「えっ。」


「それはもう。輝夜の好奇心をはぐらかさないといけないんですから。これからの気苦労を思うとそのくらいは安いですよ。」


 笑顔は変わらない。だが、愛の表情で一番怖いのは笑顔だ。

 俺と小太郎、そして輝夜も賛同してる。あのモードに入った愛は無敵だ。勝てる気がしない。


 あとで何を請求されるんだろう。すごく不安だ。


 置いておこう。気にしていても仕方がない。


 そう。

 この頃使っていなかったというか、輝夜たちが生まれたから忘れてた。


 よく考えたら、俺葉っぱを飛ばせたわ。


 金太郎の経絡秘孔を突いておけばこの前あんな焦ることにはならなかったのに。完璧に忘れていた。



 彼のことだから、もしかしたら俺の葉も弾くのかもしれないけど。⋯⋯射出速度上げておくか。


 まあ、あれだ。自分のできることは絶えず確認していないとダメってことだ。


 久しぶりにあの表を出しとくか。機能ウィンドウだ。



 →耐火性

  樹高

  幹周り

  強度

 しなやかさ

 葉の数

 葉の鋭さ

  葉の射出

  根

  森人生成

 樹液生成”NEW"

 

 *光合成効率を変える際はここを押すこと。今の属性は陽です。



 どこを強化しますか

 →1〜100m

  101〜200m

  201〜300m

 301〜400m

 400〜500m

 500m〜

(現在の樹高は581mです)


 なんか、樹高欄が追加されてるな。

 何メートルかわかりづらかったからありがたい。


 俺の本分は大きくなることだ。


 ほぼほぼ心配いらないとはいえ、これから伸びないでいいというわけではない。


 少しずつ上げていかねば。

 森人作成が目玉能力でこれ以上は現れない気もする。

 木の機能になくてもそっちで追加した方が自由度は高いからな。


 ついでに言うと輝夜の現在の技能はこんな感じ


 技能

「黄金生成」

「全体自動回復」

秘道具アーティファクト生成」

「忍術初級」



 忍術初級なんてものがあるらしい。

 忍術は最初から完成した状態だが、覚えるなら初級から中級、上級とステップアップしていく必要があるようだ。

 めんどくさいな。まあ、成長設定固定組のためだろう。

 そんなにすぐに手に入れられたら悲しいもんな。




 そういえば、愛は貸しで俺の樹液を要求してきた。それでいいんだろうか。

 俺に気を使ったのかもしれない。気にしなくてもいいのに。




 樹液生成


効果:杉にあるまじき美味しい樹液が作れる。大和杉が輝夜のために生み出した味。普通の杉の樹液は食用には適さない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 東下りめっちゃ懐かしいです。 物語をこの話に取り込む作者様の手腕は素晴らしいですね
[良い点] 酔い過ぎ と杉 を合わせたなんかの技ですよね! 技法の名前は忘れてしまいましたが、笑
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